食品表示について
5. アレルギー表示をしなければいけない品目は?
食物アレルギーとは、「食物に含まれるタンパク質などのアレルゲンを原因とし、これを摂取することで起きる過敏な免疫反応」のこと(消費者庁の資料より)。湿疹、下痢、嘔吐、喘息など症状は多岐にわたり、場合によっては呼吸困難や血圧低下、意識消失など、重篤な症状を引き起こすこともある。
「そのため食品衛生法では、流通過程にある食品および添加物について、アレルギー物質の表示が必要だと規定しています。表示が義務付けられているのは卵、乳、小麦、えび、かに、そば、落花生という、重篤度・症例数の多い7品目の特定原材料。また、過去に一定頻度で健康被害が見られた18品目(右表参照)についても表示が推奨されています」(佐川氏)。
表示が義務付けられている7品目(特定原材料)
- えび
- そば
- かに
- 落花生
- 卵
- 乳
- 小麦
表示が推奨されている18品目(特定原材料に準じるもの)
- あわび
- 牛肉
- 鶏肉
- やまいも
- いか
- くるみ
- バナナ
- りんご
- いくら
- さけ(鮭)
- 豚肉
- ゼラチン
- オレンジ
- さば
- まつたけ
- キウイフルーツ
- 大豆
- もも
6. アレルギー表示をする際、つい見落としがちなことは?
食品は、様々な食材と調味料の組み合わせにより作られる。その際、少しでも7品目の特定原材料が含まれていれば表記しなければいけないが、慣れないと見落としがちな盲点もあるので注意が必要だ。
「例えば醤油の場合、原料の大豆については常識として省略が認められています。これを大豆の『特定加工食品』と言います。一方、醤油には微量の小麦も含まれるものが多いですが、醤油は小麦の特定加工食品ではないので、醤油を使うときは小麦の表示が必須になります。ほかにも多数実例があるので、消費者庁発行の資料などで調べてみるといいでしょう」(佐川氏)。
7. 店内のメニューブックにも、アレルギー表示はした方がいい?
アレルギー体質を持つ人の数は着実に増えている。国民の1~2%、乳児に限ると約10%が、何らかの食物アレルギーを持っているとも言われている。
「店内メニューの場合、表示は義務ではありません。ただし、これは聞かれたときに答えられることが前提。お客様の安心と安全を考えれば、今後は少なくとも特定原材料7品目については、店内のメニューブックにも記載した方が親切だと思います」(佐川氏)。
8. 米の産地情報は、店内で必ず表示しないといけない?
農産物や加工食品などが、どこから来たものなのかを簡単に把握できるようにするトレーサビリティ制度。昨年7月から施行された、米トレーサビリティ法により、飲食店でも米および米飯類の産地情報伝達が義務付けられた。
「個人経営の飲食店でも、米飯類についてはお客様にわかるように産地情報を表示しなければいけません。ただ、そのやり方はお店に任されています。メニューブックに載せてもいいし、店内に、『当店では○○産のお米を使用しています』と貼り紙をしてもいい。『産地については店員にお尋ねください』と表示する方法でもかまいません」(佐川氏)。
※ 食品表示については、農林水産省、厚生労働省の下記の資料も参照してください
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/pamph_i.pdf
http://www.maff.go.jp/j/jas/hyoji/pdf/shitte_full.pdf
http://www.caa.go.jp/foods/pdf/syokuhin18.pdf