2012/04/09 繁盛の法則

野菜類450gをのせるタンメン専門店とは

ヘルシーさを訴求するトナリ 丸の内店に学ぶ-1杯分に野菜450gを使うボリュームたっぷりのタンメンを開発し、サラリーマンの人気を博しているのが「トナリ 丸の内店」だ。東京で有名なつけ麺店「六厘舎」の系列店。

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トナリ 丸の内店

個性的な飲食店が並ぶ東京ビル TOKIA地下1階にある、カウンターのみ16.5坪17席の店舗

Key Point

  1. 野菜類をたっぷり入れた独特のタンメンを開発
  2. アイテム数を絞り、専門店として訴求
  3. タンメンと対照的な肉を使った副菜を用意

コクとボリュームのある
タンメンを開発し、専門店を出店

「ラーメンは好きだけれど、栄養のバランスがあまり良くないから」と、少々後ろめたさを感じているラーメンファンは少なくないかもしれない。そこで、1杯分に野菜450gを使うボリュームたっぷりのタンメンを開発し、サラリーマンの人気を博しているのが、「トナリ 丸の内店」である。

東京で有名なつけ麺店「六厘舎」の系列店で、当時、大崎にあった六厘舎本店の隣に2009年1月に出店したことから、「トナリ」という店名をつけた。「トナリ 本店」は同年9月に東陽町に移転し、2010年6月に「東京ビル TOKIA」の地下飲食店街に「トナリ 丸の内店」を出店した。なお、六厘舎本店も新天地を探すため2010年8月末にいったん閉店し、現在は週1回、土曜日のみ営業しているほか、東京駅八重洲南口の「東京ラーメンストリート」内に「六厘舎TOKYO」を出店している。また5月には「東京スカイツリー」内への出店を予定している。

一般的にタンメンというと、炒めた野菜をのせた、あっさりした塩味のラーメンというイメージだが、同店のスープは濃厚で、独自の平打ち麺を合わせているところにも特徴がある。スープは、鶏のモミジ(足)と豚骨を主体に、キャベツ、ショウガ、鶏油(チーユ)などを加え、8~9時間かけてとる。 特製の塩ダレで味付けし、しっかりとしたコクのあるスープに仕上げている。具材は、モヤシ、キャベツ、白菜、玉ネギ、ニンジン、ニラ、ホウレン草、小松菜、チンゲン菜、トウモロコシといった野菜類に、豚肉、イカのゲソ、カマボコと、量だけではなく種類も豊富。ニンジンなど茹でて加えるものと、モヤシやキャベツなど、シャキシャキした歯ごたえを残すためラードとゴマ油で一気に炒めるものがあり、合わせて麺の上に盛り付けると、丼からあふれんばかりの量になる。麺は170gで、ボリュームも味わいもダイナミックで個性的なタンメンとなっている。

麺類は、「タンメン」720円のほか、中太麺を使ってつけ麺にする「タンつけ」850円があり、18時からは辛みそ仕立ての「辛タンメン」820円が加わる。サイドメニューとして、ギョウザ400円、大きめにカットした鶏モモ肉の唐あげ400円、ライス80円を提供している。それらのセットメューが、「タンギョウ」(タンメンとギョウザ)、「タンカラ」(タンメンと唐あげ)各880円、「タンギョウライス」「タンカラライス」各950円であり、個性的な主力商品を核に、アイテム数を絞り込んだ専門店として営業している。客単価は890円で、男性客が7~8割を占めるが、最近は女性客も徐々に増えてきている。

1人前に野菜類450gを使い、たっぷりのショウガを添えた看板商品の「タンメン」720円と、鶏モモ肉を使った大きめの「唐あげ」400円。セットメニューの「タンカラ」は880円

おすすめトッピングのショウガや
肉を中心にしたサイドメニューも好評

タンメンを提供する直前に、必ずスタッフが「ショウガ入れますか?」と一人ひとりに声をかける。同店のタンメンに合うトッピングは何かといろいろと試した中で、一番相性が良く、タンメンをあっさりさせるショウガのみじん切りを、積極的に勧めているのだ。当初は、「いらない」と断るお客もいたが、「おすすめなので、少しずつ入れてみてください」と別皿で提供するようにし、今ではほとんどのお客がショウガ入りをオーダーしている。さらに常連客の約半分は、ショウガを大さじ2杯入れる「ダブル」を希望するほどになっている。

野菜を主体にしたタンメンと対照的に、サイドメニューは肉をメインとする存在感のあるメニューを提供している。唐あげは、鶏モモ肉をよくたたいて柔らかくし、大きめにカットしてショウガとニンニクでしっかり味付けし、片栗粉を付けて揚げている。ギョウザもニクニクを利かせた大きめの肉ギョウザとした。女性の場合は、タンメンだけでも食べ切れないお客も少なくないが、男性客には「タンカラ」「タンギョウ」などが好評を得ている。

同店がタンメン専門店としてビジネス街で健闘している要因は、以下の3点であろう。

1野菜類を450gとたっぷり使い、コクのあるスープ、平打ち麺と合わせた独特のタンメンを開発している。
2アイテム数を絞り込み、タンメン専門店としてアピールしている。
3大きめの唐あげ、肉ギョウザといった、タンメンと対照的な肉メインのサイドメニューを用意している。

オープン当初はそれほど客数は多くなかったが、リピーターや口コミで増えてゆき、半年後には今と同様、行列が絶えない繁盛ぶりを見せるようになった。現在は平日で1日平均330人、土・日には270~280人が来店している。

「4月には3店目となる木場店の出店を予定していますし、今後もトナリとして店舗展開を進めていく計画です」 と、木村正光店長は述べている。

住所
東京都千代田区丸の内2-7-3東京ビル TOKIA B1
TEL
03-3240-6066
営業時間
11:00~22:00(21:30LO.)
定休日
ビル休館日に準じる(1月1~3日、5月第3日曜)