2024/11/01 特集

2024年12月更新。いま、飲食店が使える補助金&助成金まとめ

国や自治体でさまざまな補助金や助成金が用意されているが、今、飲食店が使えるものにはどんなものがあるのか。条件や補助額、対象経費、活用法などについて中小企業診断士の野竿健悟氏に話を聞いた。

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記事初回公開日:2022.12.23

【最新トピックス】
補助金 最新公募の締め切り
事業再構築補助金
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・13回公募
未定
小規模事業者持続化補助金
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・17回公募
未定
IT導入補助金
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・通常枠
8次公募:未定
・インボイス枠(インボイス対応類型)
13次公募:未定
・インボイス枠(電子取引類型)
8次公募:未定
・複数社連携IT導入枠
5次公募:未定
ものづくり補助金
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・19次公募
未定
事業継承・引継ぎ補助金
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・7次公募
未定

飲食店が使える補助金の情報をまとめて紹介!

 今、飲食店が使える補助金や助成金にはどんなものがあるのか。「事業再構築補助金」「小規模事業者持続化補助金」「IT導入補助金」「ものづくり補助金」「事業継承・引継ぎ補助金」について、概要や申請条件、補助額・補助率、対象経費、具体的な活用例について、企業に対し補助金関連のアドバイスを行っている株式会社トライズコンサルティング代表取締役で中小企業診断士の野竿健悟氏に話を聞いた。また、「雇用調整助成金」「キャリアアップ助成金」や今後の資金繰りについてのポイントなどについてもまとめて紹介する。

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目次
【はじめに】補助金の利用率はわずか6%。リスクを抑えて新事業に取り組むために活用を!
事業再構築補助金
小規模事業者持続化補助金
IT導入補助金
ものづくり補助金
事業継承・引継ぎ補助金
雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)
キャリアアップ助成金
都道府県ごとの補助金・助成金
【まとめ】補助金申請にも資金調達はマスト。早めに金融機関に相談を

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ぐるなび - 飲食店様のお役立ち情報

株式会社トライズコンサルティング 代表取締役 中小企業診断士 野竿 健悟 氏
飲食業や製造業、サービス業など、幅広い業界の補助金申請支援で高い採択実績を持つ。元システムエンジニアであり、知見を生かしたシステム開発の補助金申請の支援実績も多数。https://trise-c.jp/

まだまだ低い補助金の利用率。リスクを抑えて新事業に取り組むために活用を!

 中小企業を対象にした補助金はさまざまあるが、現状の利用率は約6%と言われており、まだまだ認知度も低いのが実情だ。「特に飲食店は、コロナを機にイートイン以外の事業に参入するケースも増えているので、利用しないのはもったいない。うまく活用すればリスクを抑えながら新事業にチャレンジできます」と野竿氏。では、具体的に飲食店が使いやすい補助金や助成金はどんなものがあるのだろうか。国による補助金と助成金の内容を紹介していく。

この記事は5分で読めますが、お急ぎの方はこちらからお問い合わせがオススメです

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事業再構築補助金

制度の概要

新型コロナウイルス感染症の影響や原油価格・物価高騰の中、今後の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編といった中小企業などの取り組みを支援する。申請用に用意された枠(以下、申請枠)は以下の通り。 赤字 は、飲食店の申請に向いている(もしくは申請例が多い)枠。

成長枠
成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業向け
・グリーン成長枠
研究開発・技術開発または人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取り組みを行う事業者向け
・卒業促進枠
成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業などから中堅企業などに成長する事業者向け
・大規模賃金引上枠

成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者向け
・産業構造転換枠
国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業など
・最低賃金枠
最低賃金引き上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者向け
・物価高騰対策・回復再生応援枠
業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業など、原油価格・物価高騰などの影響を受ける中小企業など

対象企業の条件

下記の条件全てに当てはまる中小企業および資本金10億円以下の中堅企業。
(1)経済産業省が示す「事業再構築指針」に沿った3~5年の事業計画書を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けていること
(2)補助事業終了後3~5年で付加価値額を年率平均3~5%(事業類型により異なる)以上増加させること。または従業員一人当たり付加価値額を年率平均3~5%(事業類型により異なる)以上増加させること

対象経費

建物費、機械装置・システム構築費、研修費、廃業など(一部の経費には制限あり)。

補助額・補助率

申請枠 補助上限額(※1) 補助率
成長枠 2,000万~7,000万円(※2) 中小企業:1/2(一部2/3)
中堅企業:1/3(一部1/2)
グリーン成長枠 <エントリー>
中小企業:4,000万~8,000万円(※2)
中堅企業:1億円

<スタンダード>
中小企業:1億円
中堅企業:1.5億円
中小企業:1/2(一部2/3)
中堅企業:1/3(一部1/2)
卒業促進枠 成長枠・グリーン成長枠に準じる 中小企業:1/2
中堅企業:1/3
大規模賃金引上促進枠 3,000万 中小企業:1/2
中堅企業:1/3
産業構造転換枠 2,000万~7,000万円(※2) 中小企業:2/3
中堅企業:1/2
最低賃金枠 500万~1,500万円(※2) 中小企業:3/4
中堅企業:2/3
物価高騰対策・
回復再生応援枠
1,000万~3,000万円(※2) 中小企業:2/3(※3)
中堅企業:1/2(※4)
(※1)補助下限額は100万円、(※2)従業員規模により異なる、(※3)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは3/4、(※4)従業員数5人以下の場合400万円、従業員数6~20人の場合600万円、従業員数21~50人の場合800万円、従業員数51人以上の場合は1,200万円までは2/3

申請スケジュール
第13回公募:未定

公式サイト
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/

【申請&活用のポイント】別業態の新店出店やテイクアウトも対象。飲食店との相性◎

「飲食店の業態変更やテイクアウトなど新事業の参入に使えるのが事業再構築補助金。飲食店の申請事例で最近多いのは居酒屋から焼き肉店へといった事業転換。自社の強みを生かせて、既存事業とのシナジーがあると採択率が高まります。例えば、新たに始める焼き肉店から既存の店舗に利用客を引っ張って来られるか、テイクアウト用に新商品を提供することでイートインの売上向上が見込めるかなどがポイントに。同じ焼肉業態でも、立地が好条件の高級系を展開するなど、『強みがあるからこそリスクがとれる』という根拠があるとより高く評価されます。逆に、飲食店からエステや脱毛サロンに転換するなど、もともとの専門性からかけ離れていたり、シナジーが期待できない事業は申請が通りにくいです。また、コロナ禍で影響を受けているアルコール業態への転換などもハードルが高いです。たとえ居酒屋による申請でも、食事を打ち出したり、テイクアウトを充実させるなど、コロナ禍の影響を加味している必要があります。なお、FCは自社のノウハウや知見を生かせていれば、申請が通るケースもあります」(野竿氏)

【こちらもチェック!】
飲食店開業に向けての事業計画とは?準備と作成方法について
※「テンポス フードメディア」へジャンプします。

小規模事業者持続化補助金

【詳細はこちらをチェック!】
最新!飲食店向け「小規模事業者持続化補助金」申請&活用ノウハウ

制度の概要

小規模事業者などが経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓を支援する。申請枠は以下の通り。 赤字 は、飲食店の申請に向いている(もしくは申請例が多い)枠。

通常枠
自らが作成した経営計画に基づき、商工会・商工会議所の支援を受けながら販路開拓などの取り組みを行う事業者
・賃金引上げ枠
販路拡大の取り組みに加え、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より+30円以上とした事業者
・卒業枠
販路拡大の取り組みに加え、小規模事業者として定義する従業員数を超えて規模を拡大する事業者
・後継者支援枠
販路拡大の取り組みに加え、アトツギ甲子園のファイナリストなどとなった事業者
・創業枠
過去3年以内に「特定創業支援事業」による支援を受け創業し、販路拡大に取り組む事業者

対象企業の条件

(飲食店の場合)常時使用する従業員数が5人以下の事業者

対象経費

店舗改装、広告掲載、展示会出展費用など

補助額・補助率

申請枠 補助上限金額 補助率
通常枠 50万円
※インボイス転換事業者は100万円
2/3
※「賃金引上げ枠」のうち、赤字事業者の場合は3/4
賃金引上げ枠 200万円
※インボイス転換事業者は250万円
卒業枠
後継者支援枠
創業枠

申請スケジュール
第17回公募:未定

公式サイト
https://s23.jizokukahojokin.info/

【申請&活用のポイント】集客・販促を目的とした店舗改装、宣伝広告や機械導入に活用を

「地道な販路開拓を支援する補助金なので、取り組みの内容が集客や販売促進目的であることが原則です。飲食店の申請例で最も多いのが、広告宣伝費や、店舗リニューアルなどに伴う店舗改装費。広告宣伝費のみでも大丈夫なので、比較的使いやすい補助金の一つといえるでしょう。広告宣伝費扱いであれば、ぐるなびのようなサイトの掲載料にも活用できますが、こういったサービスのいわゆる「加盟料」のようなものは要件を満たさない可能性があるので要注意。あくまでも露出を増やし、店をPRするために支払う費用である必要があります。また、『今までにない新メニューを作り集客につなげる』という目的で低予算の機械を購入するなど、販路開拓と合わせて行えば、業務効率化や生産性向上のための機械の購入にも活用できます」(野竿氏)

IT導入補助金

制度の概要

業務の効率化やDXの推進、セキュリティー対策のためのITツール等の導入費用を支援する。申請枠は以下の通り。 赤字 は、飲食店の申請に向いている(もしくは申請例が多い)枠。

・通常枠
生産性の向上に資するITツールの導入費用などを支援
インボイス枠(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した会計ソフト、受発注ソフト、決済ソフトに特化し労働生産性の向上をサポート。
・インボイス枠(電子取引類型)
インボイス制度に対応した受発注システムを商流単位で導入する企業を支援。
・複数社連携IT導入枠
業務上つながりのある「サプライチェーン」や、特定の商圏で事業を営む「商業集積地」に属する複数の中小企業・小規模事業者等が連携してITツールを導入し、生産性の向上を図る取り組みを支援。

対象企業の条件

中小企業・小規模事業者

対象経費

ソフトウェア購入費、クラウド利用料、導入関連費など

補助額・補助率

申請枠 補助額 補助率
通常枠 5~450万円 最大1/2
インボイス枠
(インボイス対応類型)
インボイス制度に対応した会計・受発注・決済ソフト
上限350万円


PC・タブレット・レジ・券売機など
上限20万円
最大4/5
インボイス枠
(電子取引類型)
最大350万円 最大2/3
複数社連携IT導入枠 最大3,000万円 最大4/5

申請スケジュール

・通常枠
8次公募:未定

・インボイス枠(インボイス対応類型)
13次公募:未定

・インボイス枠(電子取引類型)
8次公募:未定

・複数社連携IT導入枠
5次公募:未定

公式サイト
https://it-shien.smrj.go.jp/

【申請&活用のポイント】補助金額の上限を考慮し、「費用の一部を賄う」を前提に申請を

「POSレジ、モバイルオーダーシステム、自発注システム、ECサイト、クレジット・モバイル決済サービスといったソフトウェアを導入するものは、すべてデジタル化基盤枠で申請可能です。ただし、POSレジなどの場合は補助額が限定されているので、金融機関からの融資を受けつつ、一部を補助金で賄うことを前提とした活用を。飲食店の場合、「デジタル基盤枠」での申請がほとんどですが、顧客管理システムなど業務効率化のためのITツール導入は、通常枠に当てはまる場合があります」(野竿氏)

【IT導入補助金を活用して導入の検討を!】
tenposAirPro」(POSレジ)
ぐるなびFineOrder」(モバイルオーダーサービス)
ミステリーショッピングリサーチ」(覆面調査サービス)

ものづくり補助金

制度の概要

新製品・サービスの開発や生産プロセス改善などを支援する。申請枠は以下の通り。 赤字 は、飲食店の申請に向いている(もしくは申請例が多い)枠。

通常枠
新製品・新サービス開発・生産プロセスの改善に必要な設備投資及び試作開発を支援
・回復型賃上げ・雇用拡大枠
業況が厳しい事業者が賃上げ・雇用拡大に取り組むための革新的な製品・サービス開発または⽣産プロセス・サービス提供方法の改善に必要な設備・システム投資等を支援
・デジタル枠
DXに資する革新的な製品・サービス開発又は⽣産プロセス・サービス提供方法の改善による⽣産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
・グリーン枠
温室効果ガスの排出削減に資する取組に応じ、革新的な製品・サービス開発又は炭素⽣産性向上を伴う⽣産プロセス・サービス提供方法の改善による⽣産性向上に必要な設備・システム投資等を支援
・グローバル市場開拓枠
海外事業の拡大等を目的とした設備投資等を支援

対象企業の条件

以下の要件を全て満たす事業計画(3~5年)を策定・実施する中小企業など
(1) 付加価値額が+3%以上/年
(2) 給与支給総額が+1.5%以上/年
(3) 事業場内最低資金が地域別最低賃金+30円

対象経費

商品(料理)を開発(調理)するための機械の導入費用など

補助額・補助率

申請枠 補助上限 補助率
通常枠 750~1,250万円 最大2/3
回復型賃上げ・雇用拡大枠 2/3
デジタル枠
グリーン枠 750~4,000万円
グローバル市場開拓枠 3,000万円 最大2/3

申請スケジュール
19次公募:未定

公式サイト
https://portal.monodukuri-hojo.jp/

【申請&活用のポイント】製造だけでなく、加工や冷凍に使用する機械の購入費用も対象に!

「製造だけでなく加工や冷凍に使用する機械の購入費用も対象になるので、例えば、『鮮魚の急速冷凍機や真空パックの機械を導入しECサイトで販売する』といったケースも当てはまります。ただし、ものづくり補助金は基本的に製造業向けで、補助が出るのは機械の導入やシステム開発費のみ。広告宣伝費や建物費にも補助が出る事業再構築補助金のほうが汎用性は高く、飲食店の場合は後者で申請するケースが多いです」(野竿氏)

事業継承・引継ぎ補助金

制度の概要

事業承継・M&A後の経営革新や、M&A時の専門家の活用などを年間を通じて機動的かつ柔軟に補助する。申請枠は以下の通り。 赤字 は、飲食店の申請に向いている(もしくは申請例が多い)枠。

経営革新事業
設備投資・販路開拓等、事業承継・M&A後の経営革新に係る費用
専門家活用事業
フィナンシャル・アドバイザーや仲介に係る費用、デューディリジェンス、セカンドオピニオン、表明保証保険料など、M&A時の専門家活用に係る費用
廃業・再チャレンジ事業
原状回復費・在庫処分費など、事業承継・M&Aに伴う廃業に係る費用

対象企業の条件

事業承継やM&Aを行う企業

対象経費

事業承継・M&A後の経営革新に係る費用、M&A時の専門家活用に係る費用、事業承継・M&Aに伴う廃業などに係る費用など

補助額・補助率

対象事業 補助上限額 補助率
経営革新事業 600~800万円 最大2/3
専門家活用事業 600万円
※M&Aが未成約の
場合は300円
廃業・再チャレンジ事業 150万円 2/3

申請スケジュール
7次公募締め切り:最新スケジュールが更新次第アップします。

公式サイト
https://jsh.go.jp/r4h/

【申請&活用のポイント】店の買収やそれに伴うコンサルティング費用も対象の範囲内

「廃業を含めた事業継承やM&Aに関わる費用を幅広く網羅した補助金です。補助が出るのは大きく分けて二つ。一つ目は、事業継承やM&Aをした後に実施した、ほかにはない革新的なサービスや取り組みに対して。二つ目は、それらを行うにあたり、アドバイザーや事業調査といった仲介事業に対して支払った費用です。この補助金はコロナに関わらず、中小企業の取締役の高齢化に伴い、よりスムーズに事業を引き継げるようにという目的で用意されたもので、親から子へ、社長から従業員へと事業を引き継ぐ際や、事業を買収した場合など、売り手・買い手のどちらも対象になります」

【こちらもチェック!】
飲食店経営には必須知識!利益率計算から資金繰りを考える
※「テンポス フードメディア」へジャンプします。

雇用調整助成金

制度の概要

経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を助成。

助成の要件

以下のすべてに該当する業種の事業主
(1)雇用保険の適用事業主である。
(2)売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3カ月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少している。
(3)雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3カ月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していない。
(4)実施する雇用調整が一定の基準を満たす(詳細はこちら)。
(5)過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を超えている。

助成額・助成率

助成内容と受給できる金額 中小企業 中小企業以外
休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)
※対象労働者1人あたり8,490円が上限(令和5年8月1日現在)
2/3 1/2
教育訓練を実施したときの加算(額) (1人1日当たり)
1,200円
(※1)売上高などの生産指標が最近3カ月平均で前年同期、前々年同期または3年前同期に比べ30%以上減少している企業 (※2)緊急事態宣言の実地区域、またはまん延防止等重点措置の対象区域において営業時間の短縮等の要請等に協力する企業 (※3)「判定基礎期間」とは、事業所における賃金締切日の翌日から次の賃金締切日までの期間のこと

申請スケジュール

判定基礎期間の末日の翌日から起算して2カ月以内に申請


公式サイト

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

【申請&活用のポイント】一部、支給の対象にならない従業員や日(期間)があります

「基本的に条件を満たせば支給されますが、退職願提出者、長期休職者や解雇予告されている従業員、労働組合専従者、在籍出向者などは助成の対象になりません。また、産前産後期間、法定の健康診断受診日、就業規則などに規定がない慣行上の休日は支給の対象日とならないので注意が必要です」(野竿氏)

キャリアアップ助成金

制度の概要

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という)の企業内でのキャリアアップを促進。申請コースは以下の通り。 赤字 は、飲食店の申請に向いている(もしくは申請例が多い)コース。

正社員化コース
有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換、または直接雇用した事業主に対する助成
・賃金規定等改定コース
有期雇用労働者などの基本給の賃金規定などを改定し、3%以上増額した事業主に対する助成
・障害者正社員化コース
障害のある有期雇用労働者などを正規雇用労働者などに転換した事業主に対する助成
・賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者などと正規雇用労働者との共通の賃金規定などを新たに規定・適用した事業主に対する助成
・賞与・退職金制度導入コース
有期雇用労働者などを対象に賞与・退職金制度を導入し、支給または積立てを実施した事業主に対する助成
・短時間労働者労働時間延長コース
有期雇用労働者などの週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険を適用した事業主に対する助成
・社会保険適用時処遇改善コース
有期雇用労働者等に新たに社会保険を適用させるとともに、労働者の収入を増加させる

助成の対象

正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主

申請スケジュール

対象者が正社員として働き始め、6カ月分の賃金が支払われた翌日から申請が可能


公式サイト

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

【申請&活用のポイント】雇用契約書などの作成・管理を適切に行うことが大前提です

「キャリアアップ助成金を活用するためには、法令に基づく各種手続き、賃金の支払い及び雇用契約書、出勤簿、賃金台帳などの作成・管理を適切に行っていることが前提となるので要注意です。また、事業主や取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族および姻族)の方に対して行った取り組みについては助成対象外となるので、家族経営の飲食店では注意が必要です」(野竿氏)

都道府県ごとの補助金・助成金

 これまで紹介した国の補助金や助成金のほかに、都道府県をはじめとする地方自治体が独自に行っている補助金や助成金の制度もある。「ただ、こういった情報は日々更新されていくため、最新情報が掲載されているサイトを確認するとよいでしょう。『J-Net21』は、都道府県ごとに補助金や助成金の最新情報が掲載されており、セミナーやイベントの情報も検索できるのでおすすめです」(野竿氏)。

東京都では、「インバウンド対応力強化支援補助金」として飲食店に対し上限300万円を補助を実施するなど、さまざまな飲食店向けの補助金があるので要チェック。


【都道府県ごとの補助金・助成金の最新情報はこちらをチェック!】
「J-Net21」(運営:独立行政法人中小企業基盤整備機構)

補助金の利用が前提でも資金調達はマスト。早めに金融機関に相談を

 補助金は事業を行った後から支払われるものなので、融資を含めて資金は事前に用意しておくことは必須。まれに、補助金が採択されても当座の資金が用意できず頓挫してしまうケースもあるという。「申請の準備には、事業内容や見積もりがほぼ確定した状態でも1カ月以上は必要です。構想の段階で早めに金融機関に相談し、しっかり融資を取り付けてから申請を進めましょう」(野竿氏)。

 また、事業内容の検討や補助金の申請にあたっては「商工会議所や商工会など、無料で頼れる身近な人や機関を頼りましょう。その上で、補助金を利用しながら強みを磨き、売上につなげていくのがベストです」と野竿氏。まずは自社の状況や発展性を鑑みて実現可能な事業計画を考案し、内容に合った補助金を検討しよう。

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