2023/11/08 特別企画

「冷食」が飲食業界を救う!? 冷食自販機は第2ステージへ

飲食店にとって効率的な運営は喫緊の課題。その解決策の一つとなりそうな存在が自動販売機です。「ど冷えもん」のヒットを背景に、冷凍自販機を通して飲食業界の課題解決に取り組んでいる企業にスポットを当てます。

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新型コロナウイルス感染症は「収束」に向かい、街には活気が戻ってきました。しかし、飲食店に来店客がどこまで戻るかは手探りの状態がいまだ続いており、効率的な運営は喫緊の課題です。それなら今、話題のDX=デジタル革命によって飲食店の働き方を変えてしまおう! というわけで、冷凍食品で飲食業界の課題を解決している企業を紹介します。

「ど冷えもん」の大ヒットから新しいビジネスが生まれた!

今、イオンなどの大手スーパーが冷食に力を入れています。冷食業界はもともと業務用に力を入れていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は一変。自宅勤務が当たり前になり、家事の時短がますます求められるなかで、食品メーカーは一般家庭向け冷凍食品の商品開発を強化するようになりました。その結果、一般消費者の多くが冷凍食品は「おいしくなった」と言います。この一般消費者の“冷食に対する意識の変化”が「ど冷えもん」大ヒットにつながったのではないでしょうか。

「フードストック」事業を展開する株式会社ボイスは早くから冷凍自販機に注目し、販売代理店になりランディングページを立ち上げたところ、1カ月で20件の問い合わせが飲食店から入ったそうです。

「このまま冷凍自販機は普及していくだろうと考えました。しかし、そうなればこれまでとは違った、新しいビジネスチャンスがあるのではと考えたのです」と、開発責任者の原健一郎氏は当時を振り返ります。

実際、冷食自販機の普及の追い風になっているのが飲食店からの注文でした。「ど冷えもん』は2022年12月に累計販売台数が6,000台を突破、現在も注文が続き生産が追いつかない状況だと言われています。さらに、富士電機からも冷凍自販機「フローズンステーション」が発売され、ますます冷凍自販機市場はヒートアップしていくだろうと考えたボイス社は飲料自販機をヒントに、新ビジネス「フードストック」事業を立ち上げました。

「冷凍自販機は設置した当初こそ物珍しさで商品を購入してもらえるのですが、消費者は常に新しいものを求めているので、同じ商品だけだとすぐに飽きられてしまいます。というのも、飲料自販機にはいろんな商品が並んでいるから人々は利用し、230万台まで普及したわけです。となると、お店のメニューの商品だけでなく他店の看板メニューやデザートなどが購入できる冷凍自販機があれば多くの人に利用されるだろうと考え、全国の冷凍自販機のオーナーさんたちがネットを通じて飲食店の冷凍食品を売買出来るプラットフォームを作りました。それが『フードストック』なんです」(原氏)。

株式会社ボイスが立ち上げた冷凍食品の卸ECサイト「フードストック
フードストックのビジネスモデル

料理の新しい販売経路、それが冷食自販機だ

ボイス社では、冷凍自販機が飲食店を中心に普及し、いつでも自店のメニューを食べてもらえるようになりつつある現状をファーストステージだと捉えています。セカンドステージは、地方の過疎地や、マンション・集合住宅での冷凍自動販売機設置の拡大です。こうした段階を経て、全国規模で冷凍自販機の需要は高まっていくと考えられますが、実際どれくらいの売上が見込めるものなのでしょうか。

「有名なケースですが、佐賀でエビフライを販売するEBI研究所は『ど冷えもん』を6基設置しただけで年間2,000~2,500万円を売り上げています。ほかにも、ある食肉加工業者は『ど冷えもん』2台で年間600万円。なんと『ど冷えもん』に行列が出来ているそうですよ」と原氏は語ります。

ひと昔前、「冷食は解凍したら水っぽくなる」「風味が落ちる」などと言われてきましたが、現在は急速冷凍の技術が進み、「冷凍食品だから仕方ない」から「冷凍食品なのにどうしてこんなにおいしいんだろう」へと消費者の意識も変わりつつあります。職人さんの考えで「オリジナルを100%再現出来ないなら料理として出せない」という声もありますが、ボイス社はこの点をどのように考えているのでしょうか?

「確かに、飲食店の中には『冷凍食品だから仕方ない』と思われるのを嫌う方がいらっしゃるのは事実です。しかし、最近は『冷凍食品なのにこんなにおいしい』という声のほうが多く聞かれます。我々は飲食店の冷食はPR商品だと考えています。冷凍食品でもこんなにおいしいのだからお店で食べるともっとおいしいに違いない、北海道に行ったときは必ず、あの料理をお店で食べたい。消費者はそう考えるのではないでしょうか」(原氏)。

デリバリーでもなく、テイクアウトでもない新たな販売経路を冷凍自販機の普及とともに拡大している「フードストック」はすでに、瞬間冷凍の作業を一括受注することで、この手のビジネスでネックになる送料の問題をクリアしつつあるそうです。そうなれば、小規模事業者向けの補助金制度の対象にもなっているので、商圏を広げて、新たな収益を生みたいと考えている飲食店は、この冷食自販機を使って新しいビジネスへの参入を検討してみるとよいかもしれません。

株式会社ボイスの「Food Stock 販促パッケージ」は、経済産業省、中小企業庁の推奨を受けてIT導入補助金の対象サービスとなっている

株式会社ボイス 代表取締役社長 野中一矢氏インタビュー

冷凍自販機は飲食店にとってもすごいチャンスです

株式会社ボイスをWebのプログラム会社として設立した野中一矢氏。佐賀出身ということもあり、現在は福岡に拠点を移し、冷凍食品のビッグバンに備えて、いろいろな企業を巻き込むプラットフォームづくりに余念がない。

「冷凍自販機は飲食店にとってもすごいチャンスです。これまでならお店の商圏はせいぜい5キロだったのが、今後、商圏はどんどん拡大し、海外の人々にお店の料理を楽しんでいただける日も、そこまでやってきています」と語る野中氏に、飲食業にとっての冷凍自販機の重要性についてうかがいました。

――野中社長は飲食業界のどの部分が “問題だ!”と捉えていますか?

野中 一番は食品ロス問題です。現在の社会情勢で食品の価格が高くなっている現在でも、食べられるものを年間570万トン、毎日、大型トラック(10トン車)約1,560台分の食品を廃棄している現状は問題です。

――野中社長が考える、飲食ビジネスの面白さとは何でしょう?

野中  実際に店を構えて飲食店ビジネスをやっているわけではありませんが、通常、食品は時間が立つと酸化が進み腐って食べられなくなります。

しかし食品を凍結させるだけで長期間保管することが可能になります。

それにより、世界一と言われる日本のおいしい食を世界に持っていくことが可能になります。

そうなれば、経済が衰退している日本はもっと元気になるでしょうし、日本人としてもっと誇りに思えるようになるはずです。

そういう無限の可能性と面白さが飲食業には存在していると思います。

――今、もし閉店を考えている店主がいるとすれば、どんなことを伝えたいですか?

野中  まだまだ志半ばですが、今は飲食店のカタチが大きく変わりつつある過渡期と感じています。

これまでは店舗に来店される方からの売上のみだったのが、今は宅配サービスが普通になったり、冷凍食品を製造して自販機で販売される店舗も増えています。

インターネットで簡単に発信できる時代になった今だからこそできることが他にもあると思います。

弊社も新型コロナの影響を大きく受けましたが、あのときの苦労が今のサービスアイデアにつながりました。こういった経緯もあるので、今がチャンスだと思ってあきらめないでチャレンジしていくことが重要だと考えます。

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