2024/04/01 特別企画

日本サステイナブル・レストラン協会第1号店「ボッテガブルー」大島夫妻が語る、食材への思想と使い方

「うちのお店ではフードロスがありません」日本サステイナブル・レストラン協会第1号店である兵庫・芦屋「ボッテガブルー」は、開業以来”食材を使い切る”ことを貫き通し地元客に愛されるイタリアン。その食材への想いから生まれる使い方や活動について話を聞いた。

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日本サステイナブル・レストラン協会の第1号店「ボッテガブルー」

「食材はすべて使い切ります。普通は捨ててしまうような野菜の皮やへた、芯などは昆布と合わせて炊いて、ベジブロス(だし)にします。きのこの石づきや魚のあら、スイカやバナナの皮、貝殻などからもおいしいブロスができます。調理で出る端材も、シェフは、いつでも何かに使えないかと考えているようなところがあって、お肉のグリルを作るときに、野菜の端材をお肉の下に敷いてオーブンで焼いたら、野菜の香りがついて、すごくおいしくなったということがありました」。

そう語るのは、「ボッテガブルー」のマネージャー、大島淑好(よしこ)さん。夫の大島隆司シェフと芦屋でイタリアンレストランを始めて、2023年で13年目になる。この食材を使い切るスタイルはオープン当初から当たり前のように続けていた習慣だった。

普通は捨ててしまうような魚のあらや枝豆の皮などを炊いて、ベジブロスにする

実は、この店、日本サステイナブル・レストラン協会の国内第一号店。

サステイナブル・レストラン協会は、飲食店がサステナビリティをけん引していく動きを具現化しようと、2010年にイギリスで誕生し、日本では2018年から活動を開始している。きっかけは、日本サステイナブル・レストラン協会の人が、偶然お店に食事をしに訪れたことだった。

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「そのときまで、私たちは自分たちがサステナブルレストランだなどとは考えてもいませんでした。シェフはイタリアで修業したのですが、そこで学んだことをやっていただけなんです。食材を無駄にしないことも、地元の食材をできるだけ使うことも、ソースづくりで手抜きしないことも、すべてイタリア時代の師匠から教わったことです」(淑好さん)。

協会の人は、トイレに立った時にちらりと厨房を見て、ベジブロスに気がついたそうで、話をしてみたらフードロスゼロのまさにサステナブルレストランだということになり、第1号店に認定されることになった。

現在大島シェフは、フードロスをゼロにするノウハウを他店舗に指導したり、メニュー監修を行ったり、サステナブルな輪を広げるリーダー的な存在となっている。

食材を大切に思う思想

サステナブルなことを何か始めてみようと考えた飲食人がいたら、まずはベジブロスから始めるといい、と大島シェフは言う。

「フードロスの削減は、飲食業界が率先してやっていくべきことのひとつだと思います。ベジブロスは、鍋にくず野菜をどんどん投げ込んでいけばいいので、明日からすぐにできます。簡単ですし、取ったブロスはいろんな料理に使えますから。うちではだしを取った後の野菜はコンポストに入れて、肥料にしています。うちにはボッテガ農園と呼んでいる小さな畑があるのですが、そこでその肥料を使ってハーブや野菜を育て、お店で使っています。コンポストは、一般家庭でもゴミを減らす方法として効果的です。家庭菜園などに活かしてもいいですし」(大島シェフ)。

通称・ボッテガ農園。だし殻をコンポストに入れて肥料を作り、その肥料をまいた土でハーブや野菜を育てる

ボッテガブルーの取り組みは、もちろんフードロス対策だけではない。地元の有機野菜やフェアトレード品などを調達するようにしているほか、「未利用魚」の活用も行っている。「未利用魚」とは、規格外のサイズや漁獲量が少ないなどの理由で流通に乗らず、通常は廃棄処分されてしまう魚介類。

「未利用魚は買い手がつかないので、多くは捨てられてしまうのですが、それを利用することは漁業の持続可能性を高める方法の一つになると思って、鳥取の境港から魚の種類などは指定せずに仕入れています。届いたものを見て、その日のメニューを考えますので、うちは全てのメニューが日替わり。小さくて捌くのが大変な時もあるのですが、味はどれも絶品です。これを捨ててしまうなんて、もったいないことこの上ないですよ」と大島シェフ。

また、食材の生産地に足を運ぶことも多い。生産者と直接会い、そのつながりを大切にしているという。「生産者の想いがわかると、食材を大切に扱うようになります。無駄にせずに、そのおいしさを全てお客様に届けたいと思うようになるんです」。だからアルバイトを含めたスタッフも、できるだけ生産地に連れていく。食材を大切に思う思想は、こうして伝播していく。

「うちの野菜はおいしいとよく言われます。地元の有機野菜を使っているからというのもありますが、生産者が愛情を込めて作った野菜を、私たちスタッフが大切に扱い、料理しているからこそだと思っています。自然なものを自然のまま料理すれば、それはおいしいですよ」。

店内はアットホームなくつろぎの空間

地域を巻き込んだサステナブル

地域を巻き込んでのサステナビリティを向上させようという取り組みもボッテガブルーは積極的に行っている。芦屋市を巻き込み、日本サステイナブル・レストラン協会と全国牛乳容器環境協議会の協力で、牛乳パックのリサイクル回収を推進しようというプロジェクトを実施。回収ボックスを設置して、お店で使った牛乳パックのほか、近所のお店や近隣住民に呼びかけ、約1カ月で642枚の牛乳パックを集めた。それをリサイクルした100個のトイレットペーパーを芦屋市に寄付したという。牛乳やジュースなどに使われる紙パックは、6枚でトイレットペーパー1ロールになるのだそう。

スーパーマーケットなどに回収ボックスが置いてあるのはよく見るが、回収率は40パーセントにも満たないという。リサイクルの推進は、サステナブル社会実現のための課題の一つだ。1リットルの紙パックを1枚リサイクルすると、23グラムの二酸化炭素排出を削減できると言われる。多くの飲食店が協力できる分野の一つでもある。

サステナビリティという意識を持つ飲食店が増えることで、社会は変わるかもしれない。飲食店は、サステナブル社会を作る先導車になり得る可能性を持つ。そう、未来は飲食店がつくる。

取材協力:「BOTTEGA BLU. (ボッテガブルー)」
兵庫県芦屋市船戸町3−27 三番館ビル1F
https://r.gnavi.co.jp/p6h41xzw0000/
JR芦屋駅北出口から徒歩1分。イタリア本場で修業を積み、イタリア料理コンクールで優勝歴のある実力派シェフによる本格イタリアン。体に優しく毎日食べられる料理を提供する。

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