飲食店は「開店した翌日」から劣化が始まる?生き残るための追加投資と攻めの経営術

飲食店経営において、避けては通れない宿命が「店の劣化」です。普通の小売業とは異なり、店舗という空間で最終的な価値を提供する外食業は、劣化の要素が非常に多く、かつ複雑です。しかし、毎日店に立つオーナーやスタッフほど、その緩やかな変化に気づけないという落とし穴があります。多岐にわたる劣化ポイントを整理し、いかにして「寿命の長い店」を作るべきか、株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏が解説します。

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株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

Vol.173

飲食店経営の宿命「店舗の劣化」をどう乗り越えるか

外食店は開店した翌日から猛烈な劣化が始まります。普通の販売業ではであれば、商品の劣化だけを気にしていればいいのですが、外食業は、店舗で最終価格を生み出すビジネスですから、劣化の要素が多く、かつ、複雑なのです。外食業の劣化ポイントを列挙すると以下の通り、実に多岐に渡ります。

1) 立地の劣化
2) 店舗(外装と内装)の劣化
3) 厨房の劣化
4) 調理技能の劣化
5) 商品開発力の劣化
6) サービス力の劣化
7) オーナーのやる気の劣化

毎日店に居続けるオーナーや働く人ほどこの変化に気づきにくい、というリスクがあります。お客様が劣化を察知して離れていく前に、いかにして適切に追加投資を行い、店の寿命を延ばすべきかを考えます。

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1. 「立地の劣化」というリスクを直視し、柔軟に動く

「立地の劣化って何だよ」と思われるかもしれませんが、“街の衰退”を忘れてはいけません。繁華街の歴史を見ても、上昇している街と下降している街があり、同じエリアの中でも、ホットスポットとハズレスポットが常に入れ替わっています。

郊外ロードサイドを見ても、バイパスやショッピングモールなどの新施設ができれば、人の流れは一変します。かつては「レストラン街道」と言われ、にぎわっていたルートが、寂れることも珍しくありません。立地については「今」の隆盛に目を奪われず、エリアの近未来を見極める必要があります。

もし、落ち目の場所に店があるならマクドナルドのような大手チェーンが、ためらわずに移転を繰り返すように 、今の店に固執せず「引っ越し」を検討することも必要です。「そんなお金はない」「今の店にはお客様がついている」などを理由に引っ越しに難色を示したところで、立地の劣化、これが外食業の最大の弱点なのは変わらないのです。

2. 計画的な「リノベーションカレンダー」が店を救う

外食業は、お客様が一定の時間、店に留まる滞在型ビジネスであるため、内外装の劣化にはお客様から厳しい目が注がれます。こまめな清掃によって、店の劣化のスピードを落とすことは可能ですが、感覚に頼らず、あらかじめ「改装カレンダー」を作成しておくことが不可欠です。そのための、追加投資が必要になります。

単独店はチェーン店と比べると、この追加投資に消極的ですが、外食業は絶えざる「追加投資ビジネス」であることを肝に銘じておかなければなりません。開店から何年後に床や壁面を刷新し、いつ外装や厨房をリフレッシュするかを計画し、売上の中から「改装貯金」することを、習慣化してください。適時の投資を「最優先されるべきコスト」と捉えることこそが、店の寿命を延ばす最大の処方箋となります。

3. 商品劣化を招く「6つの要素」とリフレッシュの必要性

最も怖いのは、もちろん商品の劣化です。この劣化は色々な要素が絡み合って生ずるものですから、その 一つ一つに対して絶えずリフレッシュを加えることが求められます。まず、その要素には、次のものがあります。

1) 食材の劣化
2) 調理能力の劣化
3) 厨房能力の劣化
4) 商品開発能力の劣化
5) 好奇心の劣化
6) 顧客の高齢化

この 6つの要素が絡み合いながら、商品劣化は進んでいくのです。特に3)の厨房の劣化ですが、厨房のパワーの劣化は開業した翌日から始まっています。特に使用頻度の高い厨房機器ほど、傷みが激しくなりますから、これは、商品の質の下落に直結します。「ブレイクダウンするまで使い切る」、という考え方は捨てましょう。厨房機器にも、リノベーションカレンダーが必要です。日進月歩で進化する最新機器が、商品の質を高め、人手の数を減らし、生産性を飛躍的に高めることもあるのです。

4. 「味は変えない、質を上げる」ことで時代に応える

食材について「昔から変えていない」と胸を張るオーナーがいますが、「変えていない」ことが劣化を招いていることがしばしばあります。取引の過程で(悪い食材に)変えられていたり、商品が時代から取り残されたりすることがあるからです。

長く愛される老舗は、「味は変えない、質を上げる」をモットーに常に食材をより質の高いものへ更新し続けています。一カ所に留まることは劣化に身を任せるのと同じです 。“質”を上げ続ける努力こそが 、変わらぬ味を守り、時代に見捨てられない唯一の方法なのです。

5. オーナーの好奇心が「顧客の若返り」と店の永続を生む

独立店、単独店の寿命が短い最大の理由は、オーナーの好奇心の減退です。気力、体力が衰えて、ルーティン化すると新しいものを生み出せなくなっていきます。

先ほど言った「味は変えない、質を上げる」ばかりではありません。「変わらないように見えて、実は変わり続けている店」こそが老舗になる資格を持ちます。サイドディッシュやガロニ、食器、提供スタイル、時にはポーションの変更の調整など 、十年一日のような商売をやっているように見せながら日々新しい要素を盛り込んで、顧客を喜ばせ続けなければなりません。

そのベースとなるのがオーナーの好奇心です。時代の風を敏感に嗅ぎ分ける感度と、顧客を驚かせてやろう、というサービス精神の継続こそが、外食の経営に最も必要なことです。

古い顧客は大事ですが、常に新しい若いお客様を引きつけられる店でなければなりません。顧客もまた劣化するのです。顧客を若返らせることが、店の寿命を延ばす最大のポイントです。

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