2013/03/01 繁盛の黄金律

飲食店を開業するときに、立地エリアの見極めでつまづいてはならない

飲食店開業におけるFLR(食材費、人件費、家賃)の重要性と、成功するための立地エリア選びの戦略について説明しています。特に、便利なエリア内のわずかに不便なスポットが狙い目とされています。狙い目だからこそ、家賃ばかりに気を取られすぎず、しっかりFLR意識を忘れずに立地エリアもチェックしましょう。

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更新日:2024.2.22

Vol.18

FLRが70%以内に収まれば商売は成り立つ

FLRという言葉があります。Fはフードコスト(食材費)、Lはレーバーコスト(人件費)、Rがレント(家賃)で、飲食業のプライムコスト(三大コスト)と呼ばれます。これが売上の70%以内に収まっていれば、商売が成立すると言われます。店舗兼自宅のパパママ経営がなかなかつぶれないのは、LとRがゼロに近いから、その分F=食材費にたっぷりお金がかけられるからです。原価率50%でも十分に成立するわけで、これならばお値打ち商品を提供することができます。

繁盛の基本は、高原価率であると覚えておいてください。お客様に一番わかりやすい価値は、原価なのです。俺の株式会社が経営する東京の超繁盛店「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」「俺のやきとり」がどの店も連日超繁盛しているのも、原価が高いからです。そして、その高原価を打ち出せるのは、スタンド形式で高回転が保証できるからです。これで高い売上を確保して、人件費率と家賃比率を下げているのです。意表をついたやり方ですが、コストバランスはちゃんと取れているのですね。

一方、お客が少なく、どうやって成立しているのだろうと心配になる喫茶店が、町には1軒2軒あります。でもつぶれない。その理由は喫茶店だからです。原価が低く、LとRがタダ同然とくれば、つぶれようがありません。1日5,000円以下の売上でも、生きてはいけます(お金は残りませんけれども)。東京・銀座の高級クラブではどうでしょうか。これは人件費の固まり(女の子へのペイ)のような商売ですね。家賃も安くはない。でも、原価率は低いです。いくら高いウイスキー、ブランデー、ワインを仕入れようとも、売値がべラボーに高いわけですから、原価率は極度に低くなります。閑古鳥が鳴いたら悲惨ですが、当たればかなり儲けることができます。まあ、素人が手を出してはいけない商売ではありますが。

狙い目は、便利なエリアのちょっと不便なスポット

R=家賃は、店を出すときにまず一番気になる費用ですね。物件を探すにあたり、なんとか安い出物はないかと必死になります。家賃は安いにこしたことはありませんが、結論から先に言うと「安い出物はない」ということです。安いには安いだけの理由がある、ということを肝に銘じておきましょう。

独立開業でまずつまづくのは、この物件探しにおいてです。「意外に安い」と飛びついた物件が、やはりダメだったというケースがあまりに多いのです。特に、調理人あがりの人に、このケースが多いようです。「オレの腕をもってすれば、多少悪い立地でもお客様は来てくれる」という自信が、立地・物件軽視を招いてしまうのです。有名な店で修業した人や一流ホテル出身者に、この傾向が強いように思われます。そして、「多少悪い」と思っていた物件が「致命的に悪い」要素を持っていたことを、開業後に思い知らされることになります。

こう考えておくことが、失敗をしないための基本でしょう。つまり、「高家賃でも悪い物件はある。しかし、低家賃でよい物件はない」。家賃はオークションのようなもので、皆が欲しがる物件は家賃が上がり、誰も欲しがらない物件は下がるのです。そして、人気のない物件にはそれだけの理由があります。そのオークションが日々繰り返されて、ある基準に到達したところが「相場」ということになります。

ただし、飲食業というのは、目的志向性の強い商売ですから、一般的に人気のない立地も、Web販促である程度カバーすることができます。とはいえ、高家賃立地がいちばんよい立地とは限りません。コンビニやファストフードチェーンが出店している立地、ATMが多く存在する立地は、家賃は途方もなく高いですが、とっておきのデートのとき、たいていそんな立地に存在する店に誰も恋人を連れて行こうとは思わないでしょう。たとえ商品力も個性も十分にある店であっても、「ふざけないでよ」と恋人に一蹴されるのがオチです。具体的に言うと、東京の六本木交差店近くの表通りは、家賃は高いですが飲食業には向きません。タクシーでワンメーター外さないと、恋人の心をくすぐる店は作れませんね。

つまり、便利なエリアのちょっと不便なスポットが、飲食業にとっては狙い目の立地ということになります。一級の商業ゾーンの二級立地という言い方もできるでしょう。こういう立地でも、案外家賃は高いです。そしてこういう立地ほど「傷物物件」が多いものです。ゆめゆめ家賃の安さに目がくらんではなりません。繰り返しますが、「安い出物」はありません。物件選択のミスはどんな営業努力をもってしても取り返しがつきません。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

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