2013/09/10 特集

Webの情報発信 ありがちトラブル未然防止術

秋の新メニューやコースなどのほか、忘年会に向けて戦略的な情報発信の機会が増えるシーズン。気付かぬうちにトラブルが発生しないよう注意しておきたい、Webでの情報発信時の基礎知識をお伝えします。

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秋の新メニューやコースなどのほか、忘年会に向けて戦略的な情報発信の機会が増えるシーズン。気付かぬうちにトラブルが発生しないよう注意しておきたい、Webでの情報発信時の基礎知識をお伝えします。

CASE1 来店客の宴会シーンを店のブログに掲載したらクレームが…

解説&解決策

来店客のパーティや宴会の様子を撮影して、ぐるなびや、店のブログ・フェイスブックなどに掲載する場合、写真に写っている方全員に肖像権があるため、事前に撮影や掲載について書面で同意を得なければなりません。肖像権とは、すべての人が持っている権利で、本人の許可なく写真を撮られたり、それを無断で公表・利用されたりしないように請求できる権利のことです。もし、小さいお子様の場合には、親権者の方に承諾を得るようにしましょう。

飲食の席ですとお酒が入っていることも多く、口頭の依頼では許諾したかどうかがあやふやになりがちで、その許諾内容にも認識の食い違いが起こることもあります。繰り返しになりますが、後日、大切なお店のファンからのクレームを避けるために、必ず書面で許諾を得るようにしましょう。

もし、同意は得られなかったが掲載したいという場合には、個人が特定できないよう、顔がわからないように画像処理するなどの対処が必要です。

CASE2 著名人が来店したので、SNSに掲載したら損害賠償請求が…

解説&解決策

著名人には肖像権とプライバシー権に加え、パブリシティ権があります。プライバシー権とは、個人(私人)の私生活を侵害されない権利であり、パブリシティ権とは、著名人の名前や写真など、氏名・肖像から生じる経済的利益や価値を支配する権利をいいます。

著名人の来店をアピールすることは、自分の店へ客を呼び込む要素のひとつです。しかし、その著名人の方は、自身の名前や肖像から経済的利益を得ていますので、許可なく利用することはできないのです。したがって、著名人の固有名詞を出したり、写真を掲載して来店した事実やリピーターである旨をアピールしたい場合には、事前に著名人の所属事務所から書面で承諾を得るようにしましょう。許諾が取れない場合には、「女優さんも来店」などと固有名詞を出さず、個人が特定できないように表示する必要があります。

また、著名人が写っている写真をWebに掲載する場合も同様に、どんな場合でも所属事務所による書面での許諾が必要です。例えば著名人の来店時に、一緒に記念撮影した場合でも、その著名人は「撮影の許可」をしただけであって、Webへの掲載や広告的使用を認めたわけではありません。著名人にも肖像権がありますので、無断で写真を掲載した場合、肖像権の侵害にもなります。

CASE3 著名な名称をもじって店名にしたら訴えられた…

解説&解決策

食材名、店名など、様々な商品やサービスは、商標登録がされている場合があります。この場合、商標登録された商品名やロゴマークを、店名やブランド名に使用する場合には、商標権者に確認をとる必要があります。商標権とは、登録された商標を独占的に使用できる権利で、商標とは、商品やサービスについて、使用されている文字・図形・記号やそれらを組み合わせたマーク(標章)のことです。商標について、商標権者に確認をとらずに使用すると、商標法違反に問われる可能性があります。

また、商標が取得されていない場合や商標的使用に当らない場合であっても、非常に著名なものの使用に関しては(例えば著名なブランド名をアレンジした店名。「ワールドカップ」や「オリンピック」など著名なイベントを冠したメニュー名)、権利者に許諾を得ずに使用すると不正競争防止法違反に問われる可能性があります。

これらの場合、権利者から使用の差し止めや損害賠償を請求されることになります。使用の差し止めとなりますと看板等を含め、すべてを変更しなければなりません。

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