更新日:2023.12.13
飲食ニーズのトレンドをつかみ、ツールを駆使して予約客を獲得し、再来店を促進することがポイント
飲食店にとっては予約を獲得してリピーターを増やすのは、安定的な経営のために重要なポイント。コロナ禍以降、予約を取りやすいシーンがビジネス宴会からプライベートに変わってきていることを意識し、ネット予約につながるSNSやホームページなど、さまざまなツールを駆使して情報を発信することが肝要だ。さらに、予約を獲得したらリピーターに変えるために電話やネットなどバラバラに入ってくる予約を一元管理して顧客情報をしっかり管理し、再来店へのアプローチをしていくことが必要不可欠といえる。
※本記事の情報は記事作成時点のものであり、現時点での情報の正確性を保証するものではございませんので、ご注意ください。
目次
予約獲得のために知っておきたい8つの集客セオリー
1. 付加価値訴求型で時間単価を上げる
2. 空間を上手にアピールして「席のみ予約」を狙う
3. 若い世代に刺さる商品を開発する
4. Instagramの投稿スキルを磨く
5. 全世代が使っているLINEでリピーターを囲い込む
6. 飲食店検索サイトやホームページとSNSを相互連携させる
7. Googleビジネスプロフィールの登録
8. チラシなどのアナログツールも活用する
今、消費者が予約するシーンは、“プチ贅沢”な週末ランチ?
予約客をリピーターに変えるには予約の一元管理とデジタル情報の収集を
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予約獲得のために知っておきたい8つの集客セオリー
1. 付加価値訴求型で時間単価を上げる
では、予約獲得のためにどんな準備、取り組みが必要なのだろうか。予約獲得のきっかけになるものの1つに、コースがある。株式会社船井総合研究所の二杉明宏氏は「今は、ディスカウント型のコース設定より“プチ贅沢”を刺激する付加価値型のコース(商品)が良いでしょう」と語る。理由は大きく2つ。1つは、予約の総数が減っており、しかも“週末ランチ”という限定された時間帯に利用が集中するので、席回転は期待できず、時間単価を上げて売上を確保する必要があること。もう1つは、食材の高騰によって大胆なディスカウントが不可能になっていること。つまり、「いかに安く」から「高くても予約してもらう(行きたいと思わせる)工夫」が必要になっている。
「もちろん、コストパフォーマンスは大切です。コスパがよい商品でお客様を呼べることが基本であり、消費者も基本的にはそれを求めています。しかし、従来通りの価格訴求型で勝てるのは、大手チェーンなど一部の店にすぎません。コスパのよさだけでは勝てない店が圧倒的に多いのが、今の状況」と二杉氏。出費を覚悟で、あえて飲食店へ行こうと思ってもらうためには、「高くても(この料理を)食べたい」「家族にも食べさせたい」と思われる魅力的なコースにすることが重要だ。
2. 空間を上手にアピールして「席のみ予約」を狙う
「席のみ予約」が増加傾向なのも近年の特徴。少人数になればなるほど、それぞれが好きな料理を選ぶことが重視されるからだ。また、個室やテラス席も、近年の分かりやすいニーズとして、選ばれやすくなっている。席からの眺望の良さ、非日常の店舗空間、丁寧な接客なども、家では味わえない飲食店ならではの価値。徹底した衛生対策や高度な換気機能もアピールポイントになることを忘れてはいけない。
3. 若い世代に刺さる商品を開発する
そのほか、「写真映え」「SNS映え」を意識することも引き続き重要。「コロナ禍以降、飲食店利用の中心にいるのは、シニアではなく若い世代。彼らにとって、SNSによる発信が、飲食店に行く目的の1つになっているといっても過言ではありません。したがって“SNSで発信したくなるコンテンツ”は集客や予約獲得のための重要なポイント」と二杉氏。店としては、SNSの拡散によって店の認知が高まるメリットがある。また、予約促進のためにクーポンや特典を付けることがあるが、「割引などディスカウントを特典にすると売上が落ちかねないので避けたいところ。経営的に無理がなく、予約動機を“後押し”するような気の利いたサービスがよい」(二杉氏)。例えば、デザート1品サービスなどもその1つ。自店の売りや強みが伝わる特典を考えるとよいだろう。
4. Instagramの投稿スキルを磨く
これまで紹介した取り組みを予約につなげるためには、情報発信が必要不可欠。昔から行われているチラシ配りやポスティング、ダイレクトメールなどのほか、現在ではさまざまなツールがある。飲食店検索サイトや自社ホームページでの告知のほか、メールやSNSで直接、消費者にリーチする方法もある。二杉氏は「今後は確実にネット予約が主流になります。飲食業界の人手不足はますます厳しくなりますから、DX(デジタルトランスフォーメーション)化は必須。消費者の利便性からも、ネット予約ができるメディアを積極的に活用していくべき」と断言する。
では、ネット予約が可能な主なツールを具体的に見てみよう。まず、Instagram。SNSの中で写真投稿に特化していることが特徴で、料理や店舗空間の写真を投稿することで来店動機を喚起しやすく、飲食店との親和性も高い。また、アカウントをフォローした人にダイレクトに情報を届けることができる点もメリットだ。しかも「毎日、同じ情報を投稿しても、(フォロワーに)受け入れてもらいやすいメディアです。ただし、フォロワーを増やすことが必須になるので、効果が出るまでにやや時間がかかる可能性もあります」(二杉氏)。日々の投稿から反応のよいものを分析するなどして、投稿スキルを上げ新規客獲得やファンの囲い込みにつなげたい。
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5. 全世代が使っているLINEでリピーターを囲い込む
一方、同じSNSだが、特定のターゲットに発信しやすいメディアがLINE。Instagramのユーザーが若者中心であるのに対し、LINEは全世代に利用されており、圧倒的なユーザー数が魅力だ。ただし、もともと特定の人同士のコミュニケーションツールなので、広告メッセージは疎まれやすい傾向もあるので、発信の際には注意が必要といえる。店を好きになって店の公式アカウントの友だちになってくれた人であれば、リピーターになってくれる可能性が高い。効果的な情報発信で囲い込みに役立てよう。
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6. 飲食店検索サイトやホームページとSNSを相互連携させる
飲食店検索サイトはどうだろう。二杉氏は「消費者が飲食店を探す方法は多様になっているので、飲食店検索サイトのようなプラットフォームの必要性は高い」と述べるとともに、「プラットフォームだけに頼らず、自分に主導権がある自社所有メディアも持つべき」と指摘して、自店(自社)ホームページの構築も推奨する。情報の質、発信のタイミングなどを自店でコントロールできる上に、SNSなどとひもづけることで、複合的で効果的な情報発信が可能になるからだ。
7. Googleビジネスプロフィールの登録
さらに、二杉氏は即効性が高くカスタマイズしやすい「Googleビジネスプロフィール(Googleマイビジネス)」も推奨する。Googleマップで店を探す人も増えており、重要度は年々上昇しており、SNSや飲食店検索サイトと連携させれば予約導線の強化にもつながるはず。そのほか、ショートビデオのプラットフォームである「TikTok」(ティックトック)、LINE内で自社のアプリを運営できる「ミニアプリ」といったツールも、今後、飲食店の予約や集客で利用度が高まっていきそうだという。飲食店がこうしたツールを使いこなす上では、「労力対効果、費用対効果を検証しながら最適化していくことが大切」と二杉氏。同時に、「効果を上げていくためには、継続的に取り組んでほしい」とアドバイスをする。短期間で諦めるのではなく、効果を見極めながら、コツコツと取り組む姿勢が肝要だ。
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8. チラシなどのアナログツールも活用する
このほか、チラシやダイレクトメールなどの紙媒体はどうだろうか。「紙媒体はどうしても費用がかかりますが、レイアウトによって表現したいことがアピールしやすく、手に取って確認しやすいメリットがあります。また、意外に競合が少ないので、取り組み次第で効果が上がる可能性はあります」と二杉氏。住宅地に近い店なら、ポスティングによって近隣住民にリーチしやすい。テイクアウトやデリバリーの商品に同梱することもできるので、一考の余地はある。チラシにネット予約につながる二次元コードを掲載すれば、ネット予約につなげることも可能だ。
いずれにしても、飲食店を探して予約を行う消費者は、さまざまなメディアから多角的・複合的に情報を収集している。したがって、店としても複数のメディアを活用して、消費者にアプローチする必要がある。
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今、消費者はどんなシーンで飲食店を予約する?
プライベートの飲食需要に注目。“プチ贅沢”な週末ランチが活況
近年は予約の中心ともいえるビジネス宴会の低迷に、落胆を隠せない飲食店は少なくない。しかし、だからといって、手をこまねいているわけにはいかない。人々が動き始めた今こそ、確実性の高い集客手段の1つとして、あらためて予約の獲得に力を入れ、集客を少しでも回復させたいところだ。
そもそも、年末年始でなくても飲食店にとって予約を獲得するメリットは小さくない。売上予測が立つので、人件費や食材費といった経費のコントロールがしやすくなるからだ。加えて、現在は人件費のコントロールがしやすくなる点が、予約獲得の大きなメリットになるという。「コロナ禍において、多くの店が人件費を極力絞ってきました。売上が順調なときは、人件費のロスが多少発生してもそれほど気になりませんが、客足が大きくは戻っていない現状では少しのロスも禁物。人員の配置には慎重にならざるを得ません」(二杉氏)。その点、予約を獲得できれば、必要な時間と必要な人数が割り出せ、人件費のロスを防止できる。集客の不透明感が強い今こそ、予約の獲得に注目する意味がある。
では、ビジネス宴会が低調な今、予約獲得のためにはどうすればいいのだろうか。二杉氏は「伸ばしやすいところを伸ばすことが基本」とアドバイス。つまり、現在、比較的好調なゾーンに積極的に働きかける作戦で、「ビジネスよりプライベート。一番分かりやすいのは家族での食事です。特に週末のランチは“ランチバブル”といえる店もあり、かなり好調です。記念日だけでなく、日常食として、週末のランチを家族で外食する光景が増えていますから、ここに着目することが有効。待ち時間を避けるために予約して席を確保する傾向は以前よりも強まっています。加えて、外出自粛の反動で、外食に『プチ贅沢』を求める人も増えています」(二杉氏)。こういった背景から、「ビジネスシーンよりプライベート」「週末ランチのニーズ」「大人数ではなく少人数」「プチ贅沢」という予約獲得のためのキーワードが見えてくる。
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そうであるなら、従来の「平日夜」「ビジネス宴会」にこだわらず、狙える層に合致した商品とアピールを積極的に打ち出す必要がある。「人々のライススタイルの変化によって、以前とは違う客層が来店する可能性が高いことも特徴」(二杉氏)。ぜひ、自店エリアの飲食ニーズの変化を捉えて作戦を練り、予約の獲得を目指してほしい。
予約客をリピーターにするには
予約の一元管理とデジタル情報の収集に注力し、リピーターを増やそう
予約を獲得できたら、そこはゴールではなく、むしろスタートだ。コロナ禍において、外食をすることに慎重な空気が醸成され、その余波が根強い中で、あえて飲食店を予約する人は、可能な限りその店を調べていることが多い。したがって、店のファンになる可能性がかなり高いと思っていいだろう。そうした人たちの期待を裏切らず、予想以上の満足を提供して、確実にリピーターになってもらうことが、予約獲得の目的といってもいい。
そのためにも、予約管理はしっかり行いたい。特に、ネット予約は複数のルートから時間を問わずにアクセスされるので、マンパワーでの管理には自ずと限界がある。予約管理システムなどを導入して一元化し、取りこぼしやミスが出ないようにすることが求められる。人手不足に対応するためにも、機械に任せられることは任せ、しっかりと管理したい。
さらに重要なのが、顧客情報の獲得だ。コロナによる行動変容で、2年前とは明らかに客層が異なる店は多い。「彼らの情報、特にコミュニケーションツールとなりうるデジタル情報を獲得することが、今後の店の発展にとって非常に大切」と二杉氏は断言する。コミュニケーションツールとしてのデジタル情報とは、メールアドレスのほか、Instagramであればフォロワーになってもらうこと、LINEなら「友だち」登録をしてもらうことだ。こうして来店客とつながっておけば、いつでも、どこでも、ダイレクトに、しかも多くの場合が無料で既存客に情報を届けることが可能。以前と比べ、リーチしやすくなったとともに、コストが抑えることができるのだ。
ただし、こうしたデジタル情報は、ネット予約時に収集できるわけではない。したがって、来店したときに働きかけを行い、アカウントのフォローや友だち登録を促す必要がある。二杉氏は「ここが店の頑張りどころ」と指摘。例えば「友だち登録で一品サービス」などの特典を付け、来店客のアクションを誘発する仕掛けを考えるとよいだろう。
そのほかに予約客を取り逃さないために、キャンセル防止策も重要。「取り組んでいる店は少ないですが、前日に予約客に電話を入れて確認することは有効。あるいは、あらかじめ“15分経っても来店しない場合は自動的に席予約を解除する”といった告知をすることも一案」(二杉氏)だ。
そして、実際に予約客を店に迎えたら、予約客に対してだからできる接客やサービスを意識することが重要だ。非接触が推奨される時勢とはいえ、「店に足を運んでくれたことへのお礼のあいさつ、料理やサービスへの感想を聞くことなど、レストランのサービスとして必要なコミュニケーションをしっかりと行うことが、満足感を高めるうえで大切」と二杉氏は念を押す。
こうした飲食業の原点ともいえる接客やサービスに、あらためて注力することは、来店客の満足度を高める以外の効果もある。「飲食店で働くことのやりがいや楽しさを、スタッフが取り戻すきっかけにすることも非常に重要」と二杉氏は強調する。なぜなら、コロナによって大きなダメージを経験した業界人にとって、来店客の満足感こそが、最大の働きがいであり、モチベーションの要になるだからだ。
「いずれ需要は戻ってきます。それまでは、ある程度、守りの経営にならざるを得ません。新規客の獲得はもちろん大事ですが、現在のポイントは再来店を促進してファンを増やすこと。そのために、人的リソースを飲食店ならではの接客やサービスに集中させるとともに、デジタル情報の取得に力を入れることが大切」と二杉氏。人流が戻りつつあるこれからが、飲食業界の正念場といえる。
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