2023/07/25 特集

一年中集客できる「テラス席」成功事例!開放感の演出ポイントはココだ

テラス席のある飲食店の中には、期間を限定せず一年を通して、テラス席をフル稼働している店がある。そこで、”開放感”を売りに、さまざまな試みを投じながら集客アップを生み出している人気店の事例を紹介する。

URLコピー

更新日:2024.3.22

テラス席は、その開放感から近年ますます需要が高まっているものの、暑すぎたり寒すぎたり、雨風の強い日など、気温や天候によっては集客が左右されてしまうところがある。

そこで、常設のテラス席があることで人気を呼び、一年中集客し賑わう飲食店に注目。湘南という海が近い地域特性を生かし、開放的な席を4店全店に設けた和ビストロと、店奥の車通りのない広々とした静かな空間で、冬は”こたつ鍋”も楽しめるカフェダイニングに、テラス席集客の秘訣を聞いた。

目次
差別化を意識しテラス席を設置。地域の需要と合致し人気店に!
 「蒸氣屋(蒸気屋) 茅ヶ崎店」(神奈川・茅ヶ崎)

夏はBBQ、冬はこたつ。テラス席プランで客層も来店頻度も拡大!
 「kawara CAFE&DINING 錦糸町店」(東京・錦糸町)

▼ぐるなび公式Xアカウント▼
ぐるなび - 飲食店様のお役立ち情報
(よろしければ、こちらもぜひフォローお願いします!)

【こちらもチェック!】
外食に”開放感”需要がアップ!屋上・体験型ビアガーデンの「テラス席」戦略に注目

差別化を意識しテラス席を設置。地域の需要と合致し人気店に!

蒸氣屋(蒸気屋) 茅ヶ崎店(神奈川・茅ヶ崎)
神奈川県茅ヶ崎市共恵1-1-14
https://r.gnavi.co.jp/28yysad30000/
JR茅ヶ崎駅から徒歩1分。ALL SUCCEED株式会社が運営する和ビストロで、茅ヶ崎店は2015年、同ブランド2号店としてオープン。湘南地区でとれる魚介や野菜を使った料理でもてなす。また、通年で味わえる新鮮な殻付き真ガキも話題。

4店が、それぞれの地域に合ったテラス席で集客に成功

横浜きっての飲み屋街「野毛」の「たべもの横丁」などをプロデュースするALL SUCCEED株式会社が、10年前から展開しているのが、和ビストロ「蒸氣屋」だ。桜木町・野毛本店を皮切りに、茅ヶ崎、辻堂、大船と、神奈川湘南地域に4店舗を展開している。

「蒸氣屋」の人気を支える特徴の一つがテラス席。他店との差別化を意識したコンセプトで、湘南という海が近い地域特性を生かして開放的な席を”全店”に設けた。

蒸氣屋の4店舗。桜木町・野毛本店(左上)、茅ヶ崎店(右上)、辻堂店(左下)、大船店(右下)

ひと言にテラスといっても、店ごとにスタイルが違うのがおもしろい。

サクッと短時間で楽しむ1人客が多い桜木町・野毛本店は、外にせり出したカウンターにハイチェア5席の気軽に立ち寄れるスタイル。茅ヶ崎店は入り口扉を設けず、道に面した部分全てにテーブルを配した開放的な席(16席)で、街道から店の雰囲気がひと目でわかるのも利用者にとって安心材料といえる。辻堂店のテラスは店の奥側にあり、街道に面した宴会向けのテーブル20席で、潮風が爽やかに吹き抜けてゆく。大船店は野毛同様カウンター4席だが、肘掛けのある椅子が居心地の良さを感じさせる。

それぞれ近隣利用者の需要を考えた造りが、人気を高めた要点だ。

海のマルシェ「蒸氣屋 茅ヶ崎店」のファサード。入り口扉のない、開放的なテラス席

中でも、最もテラス席のリピート率が高いのは2015年2店舗目としてオープンした「蒸氣屋 茅ヶ崎店」だ。入り口が全面開放的なテラス席であり、近隣に同様の店がなかったため「コロナ禍も地域の人の集いの場になればと、できるだけ営業をしたところ、禍中を前年比10%ほど売上アップで乗り切りきることができました」と店長の古川太一氏は語る。外気が自然と入ってくる造りは、換気を呼びかけていたコロナ禍に功を奏したといえる。

真夏は都心より体感温度が3〜4度低く、風が通って心地よく過ごせる茅ヶ崎店のテラス席。仕事帰りにサクッと立ち寄りたくなる

客層は、近隣住民の女性を中心に、家族連れ、ビジネス需要も多い。茅ヶ崎駅から徒歩1分程度と近いにもかかわらず、歩道が広い道路沿いのため喧騒をあまり感じず、居心地がよい。「食事をされているお客様の友人が店の前を通られて、話が弾んでいる光景も珍しくありません。地元の方に広く長くご利用いただいているので、コミュニケーションは常に意識し、大事にしています」と古川氏。開放的で親しみやすい雰囲気は、店の造りだけではないようだ。

  • 雨の日や冬場はビニールカーテン(写真左)が閉めらる。寒い時期には足元にヒーターを置くほか、毛布も用意
  • オーダーは、店内、テラスともにタブレットでのテーブルオーダーで、効率アップ

予約の電話は「テラス席は空いてますか?」という問い合わせが圧倒的に多く、年間を通して人気がある。週末は3週間前にテラス席が予約で埋まることも。コロナ禍が明けてからも売上はさらに右肩上がりが続き、2019年度と比較して20〜25%増の見込みとなっている。

雨の日や冬場はビニールカーテンが閉められる。寒い時期には足元ヒーターや毛布を完備。特に寒い日などには、テラス席利用の方には一杯ドリンクサービスなども行っている。また、テラスから店内に声が通らないなどオペレーションの難しさを解消するため、タブレットを設置しテーブルオーダーができるようにするなど、気持ちよく過ごしてもらう体制づくりに余念がない。

人気メニュー3種。「国産牛のレアカツ」(写真左奥、1,280円)、「海どっさり4種のカルパッチョ」(同左手前、1,480円)、「しらす盛り放題ペペロンチーノ」(同右、1,980円)

「これまでテラス席で、BBQプランやビアフェスなどさまざまな試みを仕掛けてきましたが、茅ヶ崎店は地元の方の利用が多いため、この立地で一番ニーズが高いのは、料理は店に任せるタイプの飲み放題付き定番コースです」と古川氏は分析する。今年は定番コースの料理を充実させ、お得感のあるプランを提供することで継続的な集客を狙っていく。

一番人気は、定番の「大大大満腹コース2h飲み放題付き全9品」(4,000円、3人〜)。また、女子会コースの「女子会2.5h飲み放題付き全7品」(3,500円、3人〜)には、4~8人の予約で乾杯スパークリングワイン1本、9人以上に2本プレゼントのサービスが付くため、不動の人気だ。

  • 看板メニュー「海どっさりカルパッチョ」。地元の旬の鮮魚4種が楽しめる
  • 夏限定・5種のフルーツモヒートの一つ「ベリーモヒート」(写真左、720円)、柚子はちみつの特製シロップを入れたオリジナル「蒸氣ハイボール」(同右、620円)

コース料理にも含まれる店の看板メニューは儲け度外視の「海どっさりカルパッチョ」。旬の魚4種にそれぞれ異なるソースがかかっていて、ワインにもハイボールにも合う。

飲み放題はザ・プレミアム・モルツ、ハイボール、自家製辛口ジンジャーサワー、ワイン、焼酎、カクテル、ソフトドリンクなど約30種と充実していて、飲み放題単品での注文も可能(120分、2,000円、1人〜)。ドリンクには夏限定でベリーやマンゴー、キウイがたっぷり入ったフルーツモヒートも展開。定番では「蒸氣ハイボール」や梅干しがたっぷり入ってサワーのおかわりもできる「梅まみれサワー」が人気だ。

華やかなドリンクで乾杯する、テラス席から溢れる笑顔が、自然と店へ足を運びたくなる”呼び込み役”を担っている。

店長 古川 太一 氏
2014年ALL SUCCEED株式会社に入社後「蒸氣屋 桜木町・野毛本店」に勤務。2015年「蒸氣屋 茅ヶ崎店」のオープンとともに茅ヶ崎店勤務に。その後2018年茅ヶ崎店の店長に抜擢され、現在に至る。

無料で始められる集客は「ぐるなび」におまかせ!
▼詳細はこちら
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】

夏はBBQ、冬はこたつ。テラス席プランで客層も来店頻度も拡大!

kawara CAFE&DINING 錦糸町店(東京・錦糸町)
東京都墨田区江東橋3-14-5 錦糸町テルミナ5F
https://r.gnavi.co.jp/kmg5j00y0000/
JR錦糸町駅直結の商業施設「テルミナ」内に立地。株式会社エスエルディーが運営するkawara CAFE&DINING錦糸町店。終日カフェとして営業するなか、昼は定食ランチ、夜は酒を楽しめるダイニングとして、幅広い客層から需要が高い。

魅力ある空間づくりと専用プランで、テラス席を有効活用

テーブル席頭上の屋根は開閉式。夕方以降は開き、夜空と広い空間を提供する

2014年4月にオープンした、JR錦糸町駅直結の商業施設「テルミナ」5階にある、和をコンセプトにしたカフェダイニング「kawara CAFE&DINING 錦糸町店」。店舗の奥にはテラスエリアがあり、この立地を生かしてテラス席を設置している。今でこそテラス席は通年人気だが、オープンから数年は気候のいい時期にのみ需要が偏り、暑さ寒さが厳しい夏と冬は、ほとんど稼働していなかったという。

  • 夏のバーベキュー席。テーブルと椅子は、予約人数に合わせて動かしセッティングが可能。暑さ対策で冷風機を設置
  • カップル用ソファー席。心地よい風を感じながら、広い空間でゆったりと利用できる
冬のこたつ席。客層である子連れグループの間で話題となる。寒さ対策をし快適性を高めている

テラス席活用のきっかけについては「12月は繁忙期なのに、テラス席を遊ばせておくのはもったいないと、2018年こたつ席を立案したのが始まりでした」と、同店を運営する株式会社エスエルディー統括マネージャーの久保心作氏は話す。

畳を敷きつめ、こたつを設置したところ、もともと子連れでの利用も多かった影響で、乳幼児を連れた女性が注目。また当時、こたつ席を設ける飲食店は珍しかったこともありメディアの取材が相次いだ。その影響で、昼は子連れグループ、夜はカップルなどでにぎわうように。その後さらに快適性を高めるため、すのこを敷き、座席は座布団から座椅子に変更、ストーブを置くなどのメンテナンスを加えてアップグレード。「空間を整えたことで集客増加の手応えを感じ、次はテラス席専用の料理プランを作ることにしました」(久保氏)と、季節に合わせた企画立案に着手していった。

2019年には、3月中旬から1カ月限定で特別メニューを考案し「お花見プラン」を実施。秋には「アフタヌーンティープラン」、冬には鍋を使った「特別コース」を企画。そして2020年の夏、初めて「BBQプラン」を導入した。

【こちらもチェック!】
子ども連れに喜ばれるサービスやテラスのBBQプランなどで人気店に

「プレミアム!テラスで焼肉BBQ&かき氷食べ放題・飲み放題2.5時間付」(2人前)。かき氷は自分で氷を削るスタイルで、食べたいときに頼めば氷を運んでくれる

「それまで施設の規定で火を使うことができなかったのですが、施設側と相談し、消防署の監査も受けて実現にこぎつけました」(久保氏)。そして「手ぶらでBBQ」をうたったところ大きな反響があったため、2023年も5月から「ビアテラスBBQプラン」をスタート。5~6月は告知も兼ねて、3,000円のリーズナブルなコースを設けることで例年より早くからにぎわいをみせた。

夏本番の7~9月は、月~木曜日は5,000円、金~日曜日は5,500円のプラン「テラスでタッカルビ&焼肉BBQ!飲み放題2時間付」と、月~木曜日は6,000円、金~日曜日は6,500円のプラン「プレミアム!テラスで焼肉BBQ&かき氷食べ放題・飲み放題2.5時間付」に絞っている。

「ごろっとFRUIT SOUR」。写真は左から「いちご」(900円)、「レモン」(800円)

テラス席ではテラス専用プランや飲み放題のニーズが高いが、単品メニューも楽しめる。ドリンクでは、フルーツがふんだんに入った、おしゃれでSNS映えする「ごろっとFRUIT SOUR」(800~900円)が女性に人気だ。

  • 店内も落ち着いた雰囲気。テーブルにはモバイルオーダー用のQRコードを設置
  • 入り口前にはベビーカーパーキングがある。客層に合わせた設備も人気の要因

テラス専用のコースは準備に手間がかかるので、オペレーションは試行錯誤を重ねた。BBQに関しては、可能な限り通常メニューと共用できる食材を選び、野菜は盛り置きしている。また、今年から客が自身のスマホでQRコードを読み込む「モバイルオーダー」を導入したことで、さらにオペレーションが改善した。

【モバイルオーダーを検討の方はこちらをチェック!】
モバイルオーダーシステム「ぐるなびFineOrder」で、注文と会計業務を効率的に!

「コロナ禍で厳しい時期もありましたが、夏と冬のテラスプランを続けたことで認知が高まり『今年はいつからやりますか』という問い合わせが増えました」(久保氏)。昼は子連れのグループなど、夕方からはビジネスや学生、週末はファミリーと客層は幅広く、ピークタイムは予約で8~9割は埋まる。

テラス席専用プランを作ったことで、新たなお客様や、より幅広い層を集客でき、常連の方の来店頻度も増えた。客単価もBBQ時期を例にとると、屋内と比べて1,500~2,000円アップ。屋外のため天候により稼働できないこともあるが、集客力と売上アップへの貢献は絶大だ。「今後は春と秋のプランを改めて考えることが課題です」(久保氏)と、テラス席のさらなる活用を検討している。

株式会社エスエルディー 統括マネージャー 久保 心作 氏
他業界から26歳で飲食業界へ。2012年、多彩な飲食店を展開する同社に入社。店長、マネージャーを経て、現在は、9店舗を統括する統括マネージャーとして活躍している。

飲食店の集客や販促は「ぐるなび」におまかせください!

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。

「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、集客・リピート促進はもちろん、予約管理や顧客管理、エリアの情報提供、仕入れについてなど、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】