訪日客の心をつかむ!コミュニケーション戦略で客単価アップ
昨今、訪日外国人は増加傾向にあるものの、これまで対応を積極的に考えてこなかった飲食店にとっては、どう接客すべきか、トラブルが起きて厄介にならないかなど、迷いが生じる場合もあるだろう。しかしインバウンド対応は、今や売上向上を目指す上で注力すべき施策の一つとなってきている。
以下に紹介する渋谷の老舗「お好み焼 むら 渋谷店」は、積極的にインバウンド対策を行ったことで、集客増だけでなく客単価の向上をも実現した店舗だ。老舗への信頼と口コミが来店を後押しするなか、ぐるなび外国語版の導入や接客方法の変更といった戦略を通じて、外国人に満足度の高い体験の提供から注目を高めている。
業態:お好み焼・もんじゃ焼
席数:30席(テーブル席)
客単価平均:3,500円
客層:20~40代 男女比 5:5(半数がインバウンド客)
外国人:家族からカップルなど幅広い
日本人:カップルが多い
アクセス:JR・地下鉄 渋谷駅 徒歩8分
営業時間:月~土曜日17:30~24:00、祝日17:30~23:30
定休日 :無
https://r.gnavi.co.jp/m784k0cv0000/
鉄板料理専門店の「お好み焼むら」は、渋谷・道玄坂で1978年に開業、まもなく50年を迎えようとしている。センター街での営業を経て、2017年現在地に移転した。2025年3月には法人を横浜市内の系列店2店舗と合併して、3店舗体制に移行した。
渋谷駅から8分と少し離れた立地だが、渋谷という観光地の魅力と老舗という看板が、国内外の客の目的来店を促している。全体の客層は20〜40代が中心で、日本人はカップルが多く、訪日客はカップルや家族など多様な年齢層で、韓国が最多。フランス、イタリア、スペインなど欧米からの来店も多い。
店内では温かみのある接客をモットーに、外国人客には英語・韓国語などでの案内とコミュニケーションを徹底。多言語の外国語版メニューと焼き方ガイドも用意し、メニューは「自分で焼く」か「スタッフに任せる」かを最初に確認している。平均客単価は2,000円程度であったが、2025年4月の施策以降、3,500円前後(日本人客も含む)まで跳ね上がっている。
【インバウンドの最新データは、以下をチェック!】
2025飲食店:インバウンドに人気のエリア&業態ランキング!ぐるなび外国語版が分析
インバウンド集客・客単価アップのポイント
【対策1】わかりやすいメニュー設計と提供方法
【対策2】インバウンド対応とオペレーション
【対策3】ホスピタリティーの高い接客サービス
【対策4】ぐるなび外国語版を活用して予約増
【対策1】わかりやすいメニュー設計と提供方法
まず、「お好み焼 むら」のメニューや提供スタイルから紹介しよう。
お好み焼きの提供方法は、①「焼いて出てくるお好み焼」と②「自分で焼くお好み焼」の2つ。①は、スタッフが厨房で焼き上げたお好み焼きを熱々の状態で提供するもので、定番人気は麺入りの「広島焼スペシャル」(1,760円)と、「半熟卵のせむらスペシャル」(1,628円)。②の人気は、人気トッピングが全部入った「むらデラックス玉」(1,848円)だ。
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一番人気のもんじゃは「明太チーズもちもんじゃ」(1,518円) -
ヘラで焼き付けて食べるスタイルの「もんじゃ」も、外国人客に知名度・人気度が広がりをみせている
「鉄板料理は、焼く工程も楽しさの一つです。注文時に自分で焼きたいか、サポートが必要かをお客様に確認して、自分で焼きたい場合は焼き方ガイドの表を提示して口頭で説明。難しい場合はスタッフがサポートしています」と株式会社ホットダイニング取締役の井手 綾香 氏は説明する。この一連の流れが自然なコミュニケーションを生み、店ならではの体験価値と他店との差別化に結びついている。
ドリンクにも旅人目線の工夫を導入。日本酒は一升瓶ではなく、お試し・飲み切りサイズの小瓶で提供しており、形のかわいい瓶を記念に持ち帰る客もいる。また、「メガサイズ」のドリンクを勧めると注文率が高いことに気付き、最初から大きめサイズを選んでもらうことで単価アップにつなげている。
2.思いのまま体験を楽しめるサポート体制付き
3.日本酒はかわいい小瓶を採用、ハイボールやビールなどはメガサイズ
【対策2】インバウンド対応とオペレーション
次に、具体的なインバウンド対策を見ていく。
メニュー表とオーダーは、2025年春にタブレットの使用を停止し、メニューブックを復活、アナログな直接注文に戻している。タブレットを導入したことで、特に不慣れな訪日客はメイン1品とドリンク1品(客単価2,000円弱)にとどまる傾向が見られたためだ。
これを受け、多言語翻訳対応の二次元コードを整備。翻訳を読んで料理内容を正しく理解してもらえるようにし、さらにスタッフがメニュー表を示しながらおすすめ品を自然に伝えるようにした。その結果、追加注文が増えて客単価が約2倍に伸びた。
また、お好み焼きという日本独自の料理を提供するため、国ごとの食文化を踏まえた勧め方を心がけている。「例えば日本と同じ、シェアする文化がある韓国や中国のお客様には、サイドメニューやもんじゃ焼きなどシェア前提のメニューを積極的に提案しています。欧米のお客様は、お好み焼を1人で1枚全て食べるケースが多いため、1人ずつの注文を前提にして説明しています」(井手氏)。
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新メニュー「ベジタリアンお好み焼」(1,080円)。肉、魚、卵、鶏ガラスープなどの動物性食品は不使用(写真手前の小皿・トッピングは一例) -
「ベジタリアンお好み焼」に入っている食材を確認できる英語のシートを準備
さまざまな国の人と接するなかで、食べられない食材が含まれているために注文できないシーンを経験。「せっかく日本に来て“日本ならではのお好み焼き”を楽しみにしているのに、口にできないのは残念なことです。そこで誰もが楽しめるようにと、ベジタリアン向けの新メニューを開発しました」と井手氏。食文化に応じた提案を実施している。
2.直接的なコミュニケーションのなかで、おすすめ品を提案
3.ベジタリアンメニューなど、食文化に応じた提案を実施
【対策3】ホスピタリティーの高い接客サービス
家族経営を長年続けてきたことから、アットホームな接客と”先回りした気配り”を心がけている。店内の様子をよく観察して、呼ばれる前に適切なタイミングでサポートできるようにスタッフを育成。「こちらからの声かけで不安が解消され、追加注文へとつなげられています」と井手氏。
また、「お好み焼 むら」は外国人の雇用をしてきた経緯を持つ。現在のスタッフも5人中4人が韓国籍で、外国人客の多くを占める韓国人の来店客に対応できることも強み。その心配りもあってリピーターが多く、来日のたびに再訪する人もいるのだとか。
2.外国人スタッフ(特に来店客にあわせた韓国人)を積極的に採用
3.難易度の高い調理はスタッフがサポート。自然な会話が生まれる
【対策4】ぐるなび外国語版を活用して予約増
「お好み焼 むら」は、韓国のブログや口コミサイトなどで過去来店客による投稿が多数あり、高い評価を得ているなか、外国人客の多くが飛び込みでの入店であった。そこで2025年3月に「ぐるなび外国語版」を開始。導入後はネット予約が目に見えて増加した。「海外からのネット予約が増えていて、国内外合わせると200人超の予約が入る月もあります」と井手氏。ネット予約の入り口を設けたことで、スムーズな集客につながったといえそうだ。また、ぐるなびの予約管理システムも活用しており、横浜の系列店と合わせて3店舗の状況を可視化できて助かっているという。
2.ぐるなび外国語版の導入で、ネット予約への導線をつくる
3.ぐるなびの予約管理システムで、系列店全体の予約状況を可視化
創業から半世紀が経ち、渋谷の老舗のお好み焼き店として、国内外の客に愛され続けることを目指している。「日本人のお客様と海外からのお客様、ちょうど半々で満席になるような、活気のあるお店を維持していきたいですね」(井手氏)。老舗として培ってきた信頼と、丁寧なコミュニケーションを大切に、誰にでも等しく体験価値を提供していく。
【外国人は、こうして利用飲食店を決めている!】
訪日外国人の飲食店選びの実態とは?インバウンド集客の成功法を解説
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