「プロの技が学べる」「シェフと親しくなれる」など、最近、ユーザーからの注目度が高まっている飲食店での料理教室。では、どんな形式で、どんな人を狙って、どんなメニューで開催すればいいのか。料理教室で店の印象度を上げることに成功している4店舗から成功の法則を検証する。成功の法則
参加者は生徒ではなく客。もてなす心でリピーターを呼ぶ
東京・千駄木 中国料理 天外天
テイクアウトで単価アップ。売上にも繋がる講習会
これまで約800人が参加したという「天外天」の料理講習会は、5年前から開催し、7月で45回を数えた。「テレビの料理番組への出演を経験して、画面の向こうの反応を知りたくなったことと、常連客から教えてほしいという声が多数あったので、始めました」と語るのは、代表取締役で総料理長の中川優氏。
最大参加人数25名の講習会の募集は、店内掲示とHPで行なっているが、常連を中心にいつも盛況だ。「教える内容は初めて来た方でも常連の方でも差が出ないよう、毎回同じレベルにしています」。
講習会の開始は午前10時45分。約1時間のデモンストレーションの前に、書き込み可能な紙のレシピ1部、キッチンに置いて使えるように、そのレシピをパウチしたもの1部、そして、テイクアウトできる調味料や商品のオーダー表を配布する。講習会が終わった後、このオーダー表を集め、ミニコースのランチを食べてもらっている間に、各自の持ち帰り商品を用意するというシステムだ。さらに、これまでの講習会のレシピも希望すれば誰でももらえる。
「家庭でできる中華料理をテーマに、プロの技やコツをお教えして、お客様に喜んでいただければ。料理を作ることに自信を持ってもらいたいんです」と語る中川氏。その根底には、参加者は生徒ではなく、あくまで客であることを忘れない姿勢がある。
「料理教室は、教える側が何事も面倒がらずに楽しむことが大切だと思います。レシピをパウチすることは、お客様の『キッチンで使ったら水でインクがにじんだ』という声から。テイクアウトも店の調味料や食材が欲しいという要望から始めました」と、参加者の声を大切にしている。また、教室では様々な質問に答えつつ、完成した料理の撮影タイムも設け、ランチ終了時には各テーブルを回って感想を聞いたりと、時間内でできる限りのサービスを心がけている。その結果、参加者も料理人と近づくことで、「私の店」という意識が生まれ、友人や家族を連れて来店することもあるため、リピーターや新規客の掘り起こしにも繋がっている。
講習会の料金はミニコースのランチ込みで4500円だが、テイクアウトを合わせると平均5000円を超える。ビジネスとして始めた講習ではないが、長く続けることで売上の安定にも貢献しているようだ。
料理講習会の内容(7月15日開催時)
開催形式
デモンストレーション
参加人数
25名
費用
4,500円(税込)
時間
10:45 ~ 13:30
【講習会のメニュー】
椰子鮮果露(季節の果物入りココナッツミルク)
馬粉糕(蒸しカステラ)
開口笑(揚げ菓子)
【特別ミニコースのメニュー】
前菜
メイン料理1
メイン料理2
メイン料理3
御飯またはおそば
冷たいデザート