成功の法則
店のコンセプトやシェフの考えを伝え、ファンを獲得する
東京・新宿 新宿天空の窯 ピッツォランテ スパッカ ナポリ
スタッフの意識向上や食材のロス軽減にも一役
オープン時から、天井鏡を設置した個室で「シェフのミニキッチン」と題した料理教室を行なってきた「スパッカ・ナポリ」総料理長の鈴木規之氏。「お客様へのサービスの一環として、また、新宿は競争も激しいので、当店ならではの独自性を出そうと始めました」と、教室開催の動機を語る。
年4回、シーズン毎に開催する料理教室は前菜、パスタ、メイン、デザート、全4品のコースのデモンストレーションと実食(ドリンク付)で4500円。参加者募集の告知は、店内掲示のチラシやぐるなび店舗ページ、DMなどで行なう。
「最大20名の定員は、常連さんですぐに埋まってしまいます。参加者は20代半ばから70代まで幅広く、中には男性の方もいます。当日のメニューは、まず告知用に一品だけ決め、残りは集まった方のレベルなどに合わせて決めていきます」。
家庭でも手に入る旬の食材を中心に、プロの提案を盛り込んだ独自のレシピを毎回考えている。レクチャーは一品につき10分程度。レシピを考えた時点で、想定される質問と、その答えのシミュレーションも欠かさない。当日のレシピはメモ欄付きの冊子を配り、教室終了後にアンケートへの記入もお願いしている。アンケートには料理への賛辞とともに、鈴木シェフのレクチャーの楽しさや人柄の良さへのコメントも多数あり、その魅力が店のファンを作っている事実が見てとれる。
「最初は緊張しましたが、自然体でやることを心がけています」と鈴木氏が言うように、アットホームな雰囲気で料理を楽しむ場を作ることで店への親近感を高めている。
集客を念頭にスタートしたのではないが、リピート率は料理教室を通して上がっている実感があるという。例えば震災後、心配して来店する客が後を絶たず、思ったほど集客減にならなかったのも料理教室などを通じ、客との距離を縮めてきた結果だ。「料理人は普段、お客様と直接言葉を交わす機会が限られているので、料理教室は店のコンセプトやシェフの考え方を伝える場にもしたい」と話す鈴木氏。イタリアの歴史も交えながら食材の知識を伝え、食文化を広めることも自分たちの仕事だと考えている。
また、食育や親子の絆も大切にしてほしいと、夏休みには「親子ピッツア教室」も開催。鈴木氏にとっては、未来のピッツァイオーロ(ピザ職人)を育てる楽しみでもある。さらに、「教室で教えているムダの出ない野菜の使い方を厨房でも実践することで、食材のロスもなくなっています」と、スタッフの意識向上や経営面にもプラスの効果をもたらしている。
シェフのミニキッチンの内容(6月26日開催時)
開催形式
デモンストレーション
参加人数
20名
費用
4,500円(税込)
時間
12:00 ~ 15:30
【メニュー】
マグロのカルパッチョ きゅうりのジュリアン添え ミモザ仕立て
冷製カッペリーニ ケッカ風
若鶏モモ肉と茄子のソテー パルミジャーノ風味
マンゴーを入れたクリームチーズ