2017/10/10 特集

人手不足の処方箋 店とスタッフが輝く労働時間の削減(3ページ目)

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労働時間の削減プラン スタッフのマルチタスク化・スキルの見える化スタッフの戦力化とマルチタスク化。教育プログラムで、成長を後押し!

スタッフの習熟度を4段階で評価し、表に印を付けて店の戦力を“見える化”。誰が何のスキルを持っているかがひと目でわかり、弱点の強化やシフト組みの効率化に

スキルアップのための育成。マニュアル化と見える化を

労働時間を削減するためには、パート・アルバイトも含めて、スタッフのスキルアップも欠かせない。「仕事の質を下げないことを前提に、より早くこなせるようになれば、労働時間は減らせます。また、スタッフを、担当業務以外にも幅広く仕事ができるマルチタスク化することで、臨機応変な人員配置ができ、作業効率が上がります。1日の中で、できるだけ手の空いている人や時間帯を作らないようにすれば、これも労働時間の削減につながるでしょう」と二杉氏。そのためには、自店で育成プログラムを用意し、教育の時間を確保することが重要だ。

この育成プログラムには、具体的な仕事内容の前に、まず「店や会社の理念」を盛り込むべきと二杉氏。「どういう想いで店を経営しているか、お客様に対してどう接するべきかを共有し、同じ方向を向いて働けることがまず重要。それは、担当する仕事一つひとつの動機付けにもつながります」。

また実際の仕事については、「身支度」や「挨拶」なども含めて、1日の作業内容を細かく書き出し、それぞれの手順を整理してマニュアル化して盛り込むべきだという。さらに、その進捗度合いを、全員で共有する仕組みがあるとベスト。例えば、仕事の内容と習熟度を“見える化”する「スキルマップ」が効果的だ。これは、仕事内容を表に書き出し、スタッフの習熟度を①教育済、②人と一緒ならできる、③1人でもできる、④人に教えられるという4段階で評価し、それに応じた印を表に書き込むことで、誰が何のスキルを持っているかを一覧にするもの。左図の例では、各担当者ごとに、第1段階の「教育」が終了したらマス目の左端を「I」の字に塗り、第2段階の「人と一緒ならできる」をクリアしたらマス目の下辺を塗って「L」の字に。以降、スキルの段階が上がっていくにつれて「U」→「O」の形に塗っていく。そうすると、各人の能力はもちろん、店全体の足りていないことが明確になり、マルチタスクのスタッフを増やすことにも役立つ。

さらに二杉氏は、「スタッフの育成は、店長任せにしていてはいけません」と釘を指す。スタッフを教育するために、店長の残業が増えては意味がないため、経営陣の責任で、教育と労働時間の短縮を並行して進める必要がある。

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