2017/10/10 特集

人手不足の処方箋 店とスタッフが輝く労働時間の削減(4ページ目)

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労働時間の削減プラン 仕事の効率化日頃のオペレーションを見直そう。無駄をなくせば時間が増える

効率化のアイデアは、「業務改善ミーティング」などの場を設けて共有しよう。月に1回など、定期的に継続して行うことで、さらなる改善が期待できる

メニューの絞り込みでオペレーションを改善

このほか、「手間をかけることを善しとする風潮のある飲食業界では、実は業務効率化の余地がかなりあるはず」と二杉氏。一つの手法として、メニューの絞り込みを挙げる。「多くの飲食店が、お客様のためにできるだけ多彩なメニューを用意しようと奮闘しています。勉強熱心な人ほど、新メニューの開発にも余念がなく、そのメリットがある場合も多いのですが、ほとんどオーダーされないメニューになっているケースもあります」。オーダーの少ないメニューでも、ラインナップしている以上、材料をそろえなければならず、発注業務が発生する。また、出数の少ないメニューは厨房スタッフも作り慣れていないことが多く、ほかの料理より時間がかかってオペレーションを乱すことも珍しくない。さらには、それが客のクレームにつながったり、売り逃しの引き金になることもある。これは料理に限らず、ドリンクもしかりだ。「開発した人の思い入れが強く、なかなか削れないこともありますが、出数と売上に占める比率、また調理にかかる時間を鑑みて、例えば1カ月に10オーダー以下のメニューは外すなど、基準に沿ってメニューを整理することも大事」とアドバイスする。

ほかにも、ちょっとした工夫で、業務の効率化は可能だ。「ある外食企業では、予約電話の受付業務を外注し、電話を取る手間を削減。空いた時間にほかの作業を行うことで、労働時間の削減につなげています」。作業を止めなければならない電話よりも、手の空いたタイミングで手軽に確認できるネット予約のほうが効率的なため、ネット予約の利用や、その誘導策を講じるのも一案だ。

また、厨房や店内の整理整頓を徹底することも有効。探し物をする時間は、1回1回は短くても、積み重なれば大きな時間のロスになる。「特に冷蔵庫などは、調理の工程で何度も開け閉めして食材を取り出すので、一手一手の時間もばかにできません。食材ごとに置き場所を決めると同時に、冷蔵庫のドアの外側に、その配置と在庫数をメモしておくようにすれば、探す手間が省けるだけでなく、発注作業も簡易化できます」。

調理工程についても、「手作りにこだわることは大切だが、仕込みの一部を外注できないか、検討してみるのも一案」と指摘。自家製にこだわりたい場合でも、仕込みをマニュアル化してパート・アルバイトに任せ、負担の大きい人の仕事を分散させて、労働時間の短縮につなげるやり方もあるという。

「大切なことは、これまで当たり前に行ってきた作業を、新しい視点で見直すこと」と二杉氏。同時に、1人が気づいた無駄や効率化の工夫を、一部の取り組みで終わらせず、積極的に全社・全店舗で共有する姿勢も大切だという。「皆でアイデアを共有し、問題点を話し合うことで、さらなる効率アップにつながります。ぜひチャレンジしてみてください」とアドバイスする。

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