女性リーダーが繁盛店を牽引！店を託される7人の”現場力”と働く思い

7人の女性リーダーに共通する“店を動かす力”

女性が中心となって店を率いる現場との出合いがありましたが、そこにはいくつかの共通点がありました。まず、明るい笑顔でお客様を迎え、店全体の雰囲気をやわらかくしていること。さらに、細やかな気配りやホスピタリティーで、お客様にもチームにも安心感を与えていること。そして、前向きな店づくりを通じて、周囲を自然と巻き込む影響力を持っていることです。

こうした魅力を持つ7人の女性リーダーをご紹介します。併せて、各店の深掘り取材記事もぜひご覧ください。

目次
１． 牛タン酒場 たん兵衛（愛媛・松山）
　　店長　武村 和希（かずき）さん
２． くいものや 美酒処（びすとこ）（東京・月島）
　　店長・ソムリエ　稲毛 麻衣子 さん　
３． 小籠包マニア 中目黒本店（東京・目黒）
　　店長　朝日 南凪（なな）さん
４． UMAMI DINING 和田久（東京・築地）
　　女将　高橋 利恵さん
５． 小料理 香しい（東京・荒木町）
　　店主　香椎 水里（かしい みなり）さん
６． お好み焼 むら 渋谷店（東京・渋谷）
　　取締役　井手 綾香さん
７． 鍋焼きうどん ことり（愛媛・松山）
　　代表取締役・店長　中矢 有伊子（ゆいこ）さん

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１．牛タン酒場 たん兵衛（愛媛・松山）

店長　武村 和希（かずき）さん

愛媛県松山市・大街道で9店舗（2025年12月時点）、近距離ドミナント戦略を進める株式会社夢とありがとうは、積極的に若手をリーダーに起用。4店舗目として開業した「牛タン酒場 たん兵衛」を任されているのが、武村 和希さんです。

武村さんは大学時代の4年間、同社店舗でアルバイトとして経験を積み、卒業後は一度別業界に就職しましたが、「自分らしく働きたい」という思いから2022年に同社へ就職。日々の前向きな姿勢と成長スピードが評価され、店長代理を経て、2025年1月「たん兵衛」の店長に任命されました。

大切にしているのは、お客様とのコミュニケーションを楽しむこと。「心が動く瞬間」を接客にも反映し、店の魅力を高めています。また、近距離ドミナントを活かした店舗間の連携強化や、スタッフ育成にも積極的に取り組んでいます。

２．くいものや 美酒処（びすとこ）（東京・月島）

店長・ソムリエ　稲毛 麻衣子 さん　

月島を中心に6店舗を展開する株式会社MC LINK。ビストロ風の業態で、創作料理とワインが人気の「くいものや 美酒処（びすとこ）」で店長兼ソムリエを務めているのが、稲毛 麻衣子さんです。

入社当初は「お酒が苦手だった」と語る稲毛さん。姉妹店でホールスタッフとして勤務していた頃、来店客にワインの説明ができず、「誰か詳しいスタッフを呼んできて」と言われたことが転機に。ワインを猛勉強する中であるカリフォルニア産の赤ワインに出合い、「こんなにおいしいワインがあるんだ」と心を動かされたことが、ワインの魅力に目覚めたきっかけになったそうです。

2022年には「美酒処」の店長に抜擢され、店舗運営を担いながらソムリエとしても腕を発揮。ボトルとグラス合わせて約100種類のワインから、シェフの創作料理に最適な一杯を提案しています。また、Instagram「ソムリエまいこ」では、ワインの基礎知識やワインスタッフ向けの動画をわかりやすく発信しており、飲食店向けのコンサル業にもつながっています。

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３．小籠包マニア 中目黒本店（東京・目黒）

店長　朝日 南凪（なな）さん

「食をマニア化する」を掲げ、皮から手作りする餃子・小籠包といった独自性の高い商品を強みに、直営とFC（フランチャイズ）の両輪で全国展開を進めるマニアプロデュース株式会社。朝日 南凪さんが入社したきっかけは、企業説明会で代表の天野 裕人さん、部長の飯塚 雄大さんとの出会いでした。朝日さんの人柄や明るさに魅力を感じた2人からスカウトされたのだそうです。

入社後は、持ち前の明るさと機転の良さ、何事も前向きに挑む行動力が評価され、弱冠20才でスピード昇進を実現。現在は中目黒本店の店長として、店舗運営の中心を担っています。飯塚さんは「接客のクオリティーがずば抜けていて、お客様からの評判もダントツです」と太鼓判。2025年の居酒屋甲子園では「認定店長」に選ばれており、その実力は社内外で高く評価されています。

４．UMAMI DINING 和田久（東京・築地）

女将　高橋 利恵さん

創業100年を迎えた削り節専門店・和田久が築地にオープンした「UMAMI DINING 和田久（わだきゅう）」。その店を温かい笑顔で切り盛りするのが、女将の高橋 利恵さんです。着物レンタルや和文化体験を手がける事業を運営する一方、「だし文化をもっと広めたい」という三代目社長・和田 祐幸（さちゆき）さんの思いに共感し、新たな挑戦として店を任されることになりました。

オープンに向けて、高橋さんはだしの勉強に没頭。鹿児島県枕崎まで足を運び、カツオ節づくりの現場を自ら体験。「カツオ節がこんなに手間ひまをかけて作られていることに驚き、感動しました」と、素材が生きるだしのおいしさと奥深さを届けるべく、献立作りから調理、カウンターでの接客まで一手に担っています。

５．小料理 香しい（東京・荒木町）

店主　香椎 水里（かしい みなり）さん

美食の名店がひしめく荒木町・柳新道通りに、2023年6月にオープンした「小料理 香しい（かしい）」。店を切り盛りするのは、当時28歳で独立した店主・香椎 水里さんです。懐石とイタリアンで腕を磨いたものの、一度は異業界の会社に転職。しかし「やっぱり自分の店を持ちたい」という思いを捨てきれず再び飲食へ戻ります。その時の店のオーナーに移転予定の居抜き物件を紹介され、思い切って開業を決意したといいます。

明るくオープンな人柄と、「今の自分にできる一番おいしいものを」と向き合う真っすぐな姿勢が評判を呼び、今では多くの常連客に愛されています。香椎さんが目指すのは、「家庭で作れそうで作れない、小料理屋ならではの一皿」。肩肘張らない空気と、ちょっとしたひねりのある料理が魅力です。

６．お好み焼 むら 渋谷店（東京・渋谷）

取締役　井手 綾香さん

渋谷・道玄坂で1978年に創業した老舗「お好み焼 むら」。祖父から父へ継がれた店を任されているのが、株式会社ホットダイニング取締役の井手 綾香さんです。16歳から家業を手伝い、21歳で店長、2022年に取締役へ。2024年から渋谷店の運営に携わってきました。

現在は、国内外の幅広い客を迎える店の“体験価値づくり”に注力。「日本のお好み焼きをもっと楽しんでほしい」という思いを胸に、英語・韓国語・簡体字・繁体字のメニュー、焼き方ガイドを整備し、初めて来店する海外客でも楽しめる導線を強化しています。また、ベジタリアン向けメニュー開発の提案など、誰もが楽しめる店を目指した取り組みも推進。家族経営で培った“先回りの気配り”をスタッフにも共有し、老舗らしい温かい接客を守り続けています。

７．鍋焼うどん ことり（愛媛・松山）

代表取締役　中矢 有伊子（ゆいこ）さん

愛媛県松山市のアーケード街・銀天街の裏路地に1949年創業し、戦後から「鍋焼きうどん」ひとすじの老舗「鍋焼きうどん ことり」。その3代目として看板娘を務めるのが中矢 有伊子さんです。

澄んだだし、柔らかなうどん、昭和の面影が残る店構えに加え、笑顔で出迎え、元気な挨拶が飛び交う温かな雰囲気も魅力のひとつ。変わらぬ味と居心地のよさは地元にとどまらず、遠方からの訪問者や観光客からも「松山のソウルフード」として愛されています。開店10時から満席が続き、閉店の14時を待たず麺が売り切れる日もあるほどの人気です。

「ことり」のメニューは創業当時から「鍋焼きうどん」と「いなり寿司」2品のみという潔さ。店を守り続けるため、有伊子さんはその伝統の味を受け継ぎながら時代に合わせた工夫を開始。全国発送の鍋焼きうどんセットやアルミ鍋の販売など、“ことりの味”をより多くの人へ届けています。

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