コンサルタントに聞く、忘年会で必ず気をつけたいポイント
繁忙期こそ、目先の売上だけにとらわれず、“お客様目線”で「満足度」と「印象度」を最大化!
年間で最大の売上が期待できる忘年会シーズン。だが、株式会社アンドワークスの工藤昌幸氏は、「目の前の売上にとらわれすぎると、繁忙期が過ぎた後、客数が大幅に減る恐れがある」と警鐘を鳴らす。忙しさのため、いつの間にか仕事が雑になり、顧客満足度を下げてしまいがちだからだ。
そこで工藤氏は、「注意すべきは“雑にならないこと”、強化すべきは“もう一度来てもらう接客”」と呼びかけ、「再来店してもらうためには、顧客満足度を高めるだけでは足りません。“顧客印象度”を意識しましょう」と語る。「よい会だった」「料理がおいしかった」というだけでは、店の記憶は残りづらい。来店客にアプローチして関係性をつくり、店の印象を残すことが次回来店のカギになるのだ。そこで、工藤氏は忘年会シーズンの目標を「売上・顧客満足度・顧客印象度の最大化」に据えるよう訴える。
では、顧客印象度を最大化するには、何が必要なのだろうか。本特集のアンケート結果(前ページ参照)を手がかりに考えてみよう。
まず、Q2の「飲食店での嫌な(不快な)経験」。「店員を呼んでもなかなか来ない」「料理が来るのが遅い」「飲み放題でのドリンク提供が遅い」について、工藤氏は「やるべきことができていない典型例です。満足度や印象度を下げ、売上にも響くので絶対にやってはいけません」と厳しく指摘する。一方、「トイレが汚い」「空いた皿を下げてくれない」は、「売上には影響が少なく、繁忙期は優先順位が下がりがち。でも不快という声がこんなにあるのですから、重要な改善点」と注意を促す。
さらに「重視すべきは、ファーストドリンクの提供スピート」と工藤氏。「嫌な経験」に「ファーストドリンクが遅い」とある一方で、「飲食店でうれしい経験」(下のQ5のアンケート結果参照)では「ファーストドリンクをすぐに持ってくる」とあるからだ。つまり、ファーストドリンクの提供スピードが満足度と印象度に大きく関わってくるといえる。
では、ファーストドリンクを早く提供できるようにする極意はあるのか。「忙しいときは店側がお客様をコントロールすること」と工藤氏。例えば、「まず、乾杯でビールとウーロン茶をお持ちしましょうか」と提案したり、生ビールでなく瓶ビールを提供したりと、オーダーを店側からコントロールするのだ。この「極意」はそのほかのサービスでも有効。「呼ばれる前にオーダーを聞きに行く」「空いた皿を下げる」などは、隣のテーブルをサーブしたタイミングで行えばスムーズにできる。忙しいからと優先順位を下げるのではなく、両立させる工夫が必要なのだ。
そのほか、「予約の電話は“未来の売上”。特に繁忙期は雑にせず、好印象になるようスタッフ教育の徹底を」と工藤氏。事務的に項目を聞くのではなく、「例えば料理の提案などをしてコミュニケーションをとると、お客様との関係が深まり、キャンセル防止にもつながります」(工藤氏)。
最後に工藤氏は「“繁盛店病”に気をつけて」と指摘する。多くの人が来店することで、事務的にさばきがちになるのが“繁盛店病”。「繁忙期だからこそ、来店への感謝の気持ちを伝えることが、何よりも大切」(工藤氏)なのだ。
ユーザーはこんなサービスや気遣いがうれしい!
(データはすべて2015年10月ぐるなび調べ n=回答者数)
Q5、Q6のグラフは、「宴会をした際に、サービスや気遣いで、うれしい経験」について、ぐるなびユーザーに聞いたアンケートデータ。Q5を見ると、「空いている皿をまめに下げてくれる」(30.0%)、「タイミングを見はからって注文を聞きにくる」(26.8%)が上位となり、来店客へのさりげない配慮が欠かせないことがわかる。また、「料理や食材の説明を丁寧にしてくれる」(19.0%)、「メニューにないサービスを受ける」(17.9%)などの付加価値のサービスも好印象につながると言えそうだ。そして、「うれしい経験をした飲食店に再度来店したことがある」という人は90%以上にのぼり(Q6)、再来店してもらうには、サービスや気遣いがいかに大切かがうかがえる結果となった。