2017/11/28 特集

宴会シーズンにファンを生む! 心をつかむ接客力(2ページ目)

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来店客との接点を増やす演出で会話のきっかけを創出

【山形・山形市】山形炉端と郷土料理 おしょうしな総本店

来店客を席に案内する際、必ず厨房の前を通る。案内係の「お客様、ご来店です」の声に続き、厨房スタッフも「イエス、いらっしゃいませ!」と元気よく挨拶

料理の提案をする前に会話で来店客の情報を収集

山形の郷土料理をそろえ、地元客だけでなく、県外からの観光客や出張客にも人気の「おしょうしな総本店」。総席数は120の大箱で、「満席になった際は、すべてのお客様に行き届いた接客をするため、1階に3~4名、2階に5名のスタッフを配置します」と、代表取締役社長COOの山口有里氏。

接客では、来店客との接点を増やしてコミュニケーションを積極的にとるようにしている。まず、最初のオーダーを受ける前に、さりげない会話から来店客の出身地や、今日は何軒目なのかなどを確認。例えば、県外からの来店なら郷土料理をすすめ、2軒目使いの人には、軽いつまみを提案するなどしている。「お店としてすすめたい料理はありますが、お客様のニーズに合った提案を優先しています」と、統括MGRの木原友美氏は話す。

また、料理の提供方法にも来店客との会話を増やす工夫がある。例えば、「鶏のからあげ」(754円)は、からあげとタレを入れた壷を客席で振って仕上げる。「こうした演出によって、お客様と会話をするチャンスも増えるので、たとえ手間や時間がかかっても、印象に残ると考えています」と、山口氏は語る。ほかにも、コースで食事が進むのが早いテーブルがあった場合は、厨房に伝えて料理提供のタイミングを早めるなど、来店客に見えない部分でも臨機応変に対応。県外客には、あえて山形の方言を多く使って会話をするなど、スタッフ自身も来店客も楽しめる接客でファンを生んでいる。

オーダーの際は、店の売りを伝える前に県内客か県外客か、1軒目か2軒目かなど、何気ない会話で情報を得てから、どの料理をすすめるか決めている
売りである日本酒は、通常ワイングラスで提供しているが、燗でオーダーした人には、かごに入れたお猪口を客席に持って行き好きなものを選んでもらう
「鶏のからあげ」(754円)は、仕上げに壷の中で特製ニンニクダレを絡ませる。客の前で「うんまくな~れ」など、山形の方言を交えたかけ声で壺を振る演出が好評
客席の状況を厨房に伝え、コース料理の提供を早めたり、料理で埋まっているテーブルには、次の料理の皿を小さいものに変えてもらうなどする
山形の祭りで使われる花笠を手に「また来いなー」「私のすすめた日本酒、また飲みに来てね」など、山形の方言を交えて見送る
予約客のテーブルには、名前と歓迎の意を表す言葉を記した手書きのプレートをセット
月に1回、サービス向上のための勉強会を実施。地元のワイナリーの見学(写真)などで得た知識を接客にも活かす
代表取締役社長COO 山口有里氏(左) 統括MGR 木原友美氏(右)
総本店の店長も兼任する山口氏と姉妹店の店長も務める木原氏。両氏が接客で大切にしているのは「楽しむこと」。
山形炉端と郷土料理 おしょうしな総本店
山形県山形市十日町4-2-2
https://r.gnavi.co.jp/kab4krdd0000/
山形駅から徒歩5分のオフィス街に2015年オープン。山形牛など地場の食材を使った料理や「芋煮」などの郷土料理、同県産の日本酒やワインを用意。1階は少人数用のテーブル席など、2階は大口宴会で使える座敷席などを備える。

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