手で食べるのがおいしい
今回取材したのは愛知県で飲食業を営む、カティ・ニロジ氏。出身地はネパール。日本留学枠で2013年に来日した。その後、いろんな飲食店でアルバイトをしながら自己資金を貯め2020年に念願のインドカレー屋をオープン。なぜネパール料理ではなく、インドカレー屋にしたかというと、「そっちの方が日本人に愛着があるから」とのこと。
カティ氏お勧めは“手”で食べるスタイルだ。「手で食べるとオイシイヨ」と勧めると「え、無理!」「食べる人いるの!?」と反応はけっこう引き気味だが、中にはおもしろそうと食べてみる人もいる。カティ氏いわく、「熱くても慣れてくるから大丈夫」とのこと。スプーン、フォークで食べるのとは、やっぱり味がちょっと違う、手で食べるのがおいしい。「僕たちの国では普通にやっていること。ぜひチャレンジして新しい文化に触れてほしい。お店の中はネパールだよ!」
日本にきて一番驚いたこと
「日本は、誰かが事故にあっても遠くから見てるだけ。これは最初すごく驚いた。ネパールなら、いろんな人がいっぱい集まってきて、誰が救急車を呼ぶのかとか、車で運ぶのかとか、家族は近くにいないかとか、いろんな人がヘルプに行く。日本は自分が専門でないから、触っちゃいけないと思っている。ちょっと寂しい」。
ネパールでは人に親切にすることを教えられて育つ。道を聞かれれば、仕事の手を止めて、分かりやすい場所に出るまで付いていってあげる。また昔から、旅人が家に来たときは快く泊めてあげること、外国人は神様と同じでリスペクトする存在としておもてなしする。「外国人様」とカティ氏は表現していた。困っている人がいたら助けてあげる。人を大事にするのがカティ氏の母国なのだ。
カティ氏はいつも来店客を気にかけている。「ご飯おいしい?」「ナンおかわりいる?」、そしていつも笑顔。会話の節々からも、カティ氏の優しさが伝わってきた。
「最初、日本人は冷たいと思ったことはあったけど、今は日本人が好き。日本の友人の方が多い。僕はネパール人だけど、ほぼほぼ日本人だよ。この国で自分の店を持つことができたこと、お客様に味を知ってもらえることがうれしい。夢を叶えられて本当にうれしい。最初はネパールに戻るつもりだったけど、今はこのままずっと日本にいたいと思うようになった。だって、日本は僕の第二の母国だから」。
取材協力:「スパイス タイム」
https://r.gnavi.co.jp/1nax7n2t0000/map/
愛知県名古屋市昭和区滝川町32 ナビオ杁中B1
052-875-8242
※株式会社テンポスホールディングス刊「スマイラー」86号より転載
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