メニューの幅を広げる、広島の新たな看板食材
山の栄養分をたっぷりと含んだ川が10本以上流れ込み、干満の差が大きい広島湾。牡蠣に代表される貝の生育に適したこの豊かな環境で、大きく育ったムール貝を「濱水の宮島ムール」として全国に発信しているのが、濱本水産株式会社の米原英男氏だ。「40年前から市場に出荷していますが、『濱水の宮島ムール』と名付けたのは3年前。1日400~500キロ出荷しており、ブランド化して以降、飲食店との直接取引が増え、年々その数は多くなっています」(米原氏)。
宮島ムールの特徴はなんといってもぷりぷりとした大きな身と、口の中に広がる芳醇な甘みだ。午前中に湾内の牡蠣養殖いかだに生息している天然ムール貝を採り、午後から手作業で1つひとつ選別。紫外線殺菌海水に1日浸けてアクを抜いてから、活のまま出荷するので、採れたての旨みがそのまま店に届く。「北は北海道から南は沖縄まで、多い日には1日30件発送することも。飲食店のシェフは鮮度やおいしさを追求してくれるので、こちらもやりがいがあります。今後も取引を増やしていきたいですね」と米原氏は話す。
この宮島ムールを一口食べて「これはうまい」と仕入れを決めたのが、広島市内に店を構える「g -colon」の出原圭一郎氏。ドリンクはもちろん、フードメニューにも力を入れており、日頃から新しい食材を探していたところ、ぐるなびの担当営業から紹介されたのがきっかけだった。「ちょうど“こだわり食材”でメニューに箔を付けたいと思っていました。広島の食材というところもポイントでしたね」(出原氏)。食材選びの決め手はとにかく「おいしさ」に尽きるといい、宮島ムールはその点で質・味ともに満足度が高く、来店客へのインパクトも十分と高評価だ。
宮島ムールの仕入れをきっかけに開発したメニューは2品。「宮島産ムール貝の白ワイン蒸し」は、ムール貝の旨みを活かすため、味付けは最小限。シメに人気の「アサリとムール貝の洋風炊き込みご飯」はタマネギを先に炒め、白ワインで蒸した貝と米を、鶏ガラスープで炊いた一皿だ。ムール貝は火を通しすぎると縮むため、その加減がポイントだという。「貝という新しいカテゴリーのメニューができ、お客様の選択肢が増えたことがうれしいですね。今後は店の看板メニューに育てていきたいです」(出原氏)。
今年から宮島ムールは広島県の地域資源に認定されるなど、注目は高まる一方。「『広島と言えばムール貝』と言ってもらえるように、地元の廿日市市や広島市、そして県内での知名度アップも図っていきたいです」と米原氏が語るように、宮島ムールは今、広島の顔となる食材としての道を歩みはじめている。
濱本水産
広島県廿日市市上の浜1-2-8
http://www.hamasui.net
対岸に全国的な観光名所の厳島神社がある宮島を望む。風光明媚なロケーションに位置する濱本水産は、「宮島ムール」をはじめ、アサリや牡蠣、なまこなどを取り扱う。さらにそれらを加工した商品も開発し、瀬戸内の海の味覚を全国に届けている
Dining&Bar g-colon
広島県広島市中区富士見町13-13 サンビレッジビル6F
http://r.gnavi.co.jp/5m12x7vy0000/
2013年にオープンしたダイニングバー。夜景を一望できるバーカウンターは、スタッフとの会話も楽しみのひとつで、ラグジュアリーな個室はデートでの利用が多い。8月から始めた「ぐるなびデリバリー」のお弁当も好評だ
ぐるなびPRO厳選食材マーケット
http://pro.gnavi.co.jp/market/
2013年秋に開設。食材や生産者情報を探す飲食店と、こだわりを持つ生産者を直接つなげるサイト。カテゴリーから食材を探すことができ、購入や問い合わせのほか、サンプルの取り寄せ(一部商品)もできる。
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