北国の環境が育む山形の新名産。甘みと旨みの幸せなハーモニー
雪に覆われる冬の山形県大石田町。「地元では、こんなに雪のある畑に出る人なんていないから、変わり者だと思われているよ」と笑うのは「大石田町新作物開発研究会」の会長、海藤 明氏だ。研究会が育てる作物は、高く積もった雪の下。雪をかき分け、畑から筒状の栽培シートを抜くと、中から1メートルを超える立派な自然薯が姿を現した。
農業が盛んな大石田町で、「冬に出荷できる農産物を作れないか」と、海藤氏が農業に関わり始めたのは30代の頃。当時はタラの芽やワサビを作っていたが、40~50代は他の仕事が忙しく活動を休止。そして約10年前、仲間を募り再び動き出した。「我々、団塊世代の関心事は健康。そこで、滋養強壮に優れた自然薯に目をつけました。長芋やつくね芋は外国原産ですが、自然薯は日本原産。大石田町で日本ならではのイモを作ることにしたのです」。地産地消や六次産業化の盛り上がりもあり、「雪国育ちの自然薯」と名付けられたその知名度は年々上昇し、生産量も増加。初年度は50本程度だった作付けが、昨年は2万本に。今年は一気に3万本へと増やす予定だ。
販売が伸びている理由は、なんといっても品質。最大の特長は強い甘みで、「農作物は寒さから守るために糖化します。うちの自然薯は、冬は雪の下で、夏は雪室でじっくり熟成させるため、甘さが増すんですよ」と海藤氏は話す。
この自然薯を昨年からメニューに加えたのが、「青山 はら八」の志村龍太氏。ぐるなびの担当営業に「いい自然薯を知らないか」と相談したところ、紹介されたのが「雪国育ちの自然薯」だった。「板前にとって自然薯は人気食材の1つ。それまでは仕入れ価格との折り合いがつかなかったのですが、『雪国育ちの自然薯』は品質のよさとリーズナブルな価格が決め手になりました」(志村氏)。「第一次生産者の想いをお客様に伝える」を店のコンセプトに掲げる志村氏は、食材の鮮度や安全性を日頃から重視しており、「雪国育ちの自然薯」が天然飼料で育っていることも採用の理由だった。形が均等で調理しやすい点も気に入っているという。
メニュー開発にあたっては、「よい食材はあまり手をかけずに、料理人のちょっとした気遣いだけで十分」というモットーどおり、シンプルな磯部揚げに。香りを活かすため乾ノリではなくアオノリを使い、ホクホク感が楽しめるようぶつ切りで調理。2~3月にかけて開催している「山形食材フェア」のメニューの中でも一番人気だ。「心を込めて作る人がいて、おいしい食材がある。それをお客様に知ってもらうためにも、生産者のこだわりが詰まった食材を使い続けますよ」と志村氏。山形と東京、互いの拠点は離れていても、食材に対する熱い想いは同じだ。
大石田町新作物開発研究会
山形県北村山郡大石田町大字横山99-1
http://www.jinenjyo.com/
農家や定年退職を迎えた元会社員ら14名で組織。20ヘクタールの畑で自然薯を作っており、首都圏を中心に県内外へ出荷。ホームページ(写真左)では「雪国育ちの自然薯」の詳しい紹介のほか、一般にも通信販売している。
青山 はら八
東京都港区南青山2-11-14 コシビル2F
http://r.gnavi.co.jp/gb4a700/
地下鉄外苑前駅から徒歩3分のビルに構えるそばと和食の店。旬の魚介や野菜を産地直送で仕入れ、そばも季節ごとにもっともおいしい産地のものを選んで提供している。そばは石臼で自家製粉。今年2月から深夜営業も始めた。
ぐるなびPRO厳選食材マーケット
http://pro.gnavi.co.jp/market/
食材にこだわるシェフ・飲食店へ、生産者とその厳選食材を紹介するサイト。食材を直接購入できるほか、問い合わせすることも可能。掲載食材に関する質問は、上記サイトまたは、ぐるなび担当営業まで
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