2020/10/27 特集

いま好調な店はココが違う!【第3回】店を支える看板メニュー

コロナ禍に揺れる飲食業界で、集客の目玉になっているメニューとはどんなものか。8店舗中、残りの4店舗のメニューを紹介。“あの料理”が食べたいと思わせる名物の人気の秘密に迫る。

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更新日:2022.9.20

目次
魅力的なカキ料理が満載。カキ×ウニのコラボが客足回復を後押し!
「Oyster bar UOICHI」(埼玉・所沢)

インパクト大!迫力の肉盛り合わせで「お祭り感」を演出
「グリとニル 茅ヶ崎」(神奈川・茅ヶ崎)

厳選した米油&パン粉で作るエビフライを高く積み上げ、集客の目玉になる一品に!
「エビフライとハイボール うおのぶ食堂 岡崎店」(愛知・岡崎)

色鮮やかで写真映えも◎。もちもち皮の桜色の小籠包が注文率100%の名物に!
「神楽坂チャイニーズ 結華楼~Yuikarou~」(東京・新宿)

 コロナ禍に揺れる飲食業界で、集客の目玉になっているメニューとはどんなものか。“あの料理”が食べたいと思わせる名物の人気の秘密を取材。客足回復の原動力になったカキとウニを組み合わせたしゃぶしゃぶや、お祭り感のある肉の盛り合わせ、厳選した米油&パン粉で作るエビフライを積み上げた一皿のほか、注文率100%のもちもち皮の桜色小籠包などを紹介する。

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魅力的なカキ料理が満載。カキ×ウニのコラボが客足回復を後押し!

Oyster bar UOICHI[埼玉・所沢]
埼玉県所沢市美原町5-2040-2
https://r.gnavi.co.jp/f17fn4ap0000/
常時4~7種そろえるカキが自慢の魚介バル。カウンターとテーブル席を備え、客層は30~50代の女性やカップルが中心。ファミリーの利用も増え、夜の営業は平日・週末を問わず予約で連日満席に。

食べ放題やランチセットでカキ好きのファンを獲得

 埼玉・新所沢駅から7分ほど歩いた住宅街の入口に立地する「OysterBar UOICHI」は、10坪15席で月商400万円を売り上げる人気店。「カキのある生活」「最高の生ガキと未体験のカキ料理」をテーマに、全国から仕入れるカキを使った料理で、カキ好きの女性やカップルを中心に集客する。

店内の入口を入ってすぐの場所には、その日に届いた新鮮なカキを並べてアピール。来店したカキ好きの人たちの期待感を高めている
  • 産地直送牡蠣1kg(10個)2750円/全国各地の生産者から仕入れる旬のカキをシンプルに味わえる人気メニュー。生はもちろん、蒸しにも対応している。テイクアウトも可能
  • 焼き牡蠣10種盛り合わせ 3300円/「ウニのせ牡蠣醤油仕立て」「豚バラ味噌漬け巻きクレソン添え」など、ユニークな名物「トッピング焼き牡蠣」(385円)の全10種盛り合わせは、見た目も鮮やか

 中でも「生牡蠣と豚肉黄金のウニ出汁しゃぶしゃぶ」(1760円)は、ウニのスープにカキをくぐらせて味わう人気メニューで、2020年6月にはこの一品を組み込んだ「名物!生牡蠣&うにしゃぶ食べ放題」(6578円)を始めたところ大ヒット。客足回復の大きな後押しになった。「生はもちろん、豚肉や野菜と一緒にしゃぶしゃぶするのもおすすめ。これ目当てに来店する方が多いですね」とスタッフの橋本萌生氏。現在は、平日も予約で満席の日が続いている。

【POINT】カキのしゃぶしゃぶはテイクアウト、デリバリーも可能!

生牡蠣と豚肉 黄金のウニ出汁しゃぶしゃぶ 1,760円/生ガキを豚肉で巻き、ウニの出汁にくぐらせる名物。このしゃぶしゃぶを含め、生ガキ、焼きガキなどもテイクアウトやデリバリーが可能で、アフターコロナの需要に応える。
食べ放題のカキは生でも食べられる新鮮さ。しゃぶしゃぶセット1人前には、カキフライ1個、オリジナル焼きガキ2個、シメの雑炊が付く

 また、8月にはカキ入りのブイヤベース「UOICHIブイヤ」をメインにしたランチ限定の「UOICHIペアセット」(2名4378円)もスタート。「これまでランチはパスタが売りでしたが、昼からカキを堪能できると、喜ばれています」(橋本氏)と評判は上々で、ランチの客単価アップにつながっている。

【POINT】魚介たっぷり!シメはパスタかリゾットで

UOICHI ブイヤ 2人前3,278円/カキ、エビ、ムール貝など魚介がたっぷりのブイヤベース。昼のペアセットではこのほかに、本日の生ガキやカキフライなどが付く

 販促面では、店のLINE公式アカウントに友だち登録すると、その場で乾杯ドリンクをサービスするほか、いつ来ても生ガキとワインが20%オフになる特典を付け、来店客の登録を促進。2600名を超える登録者に対して、空席情報やイベントの告知を週1回発信している。着実にファンを増やす中、年末に向けてはメインの客層の女性を意識し、「少しずついろんな料理が楽しめるコースを開発中です」と橋本氏。「カキ好きな人がワクワクするものを提案していきたい」と意欲的だ。

  • 常に生ガキとワインが20%オフの特典を付けてLINE 公式アカウントへの登録を促進。リピーターの登録率は9割以上
  • 毎月11日は「UOICHIDAY」と、「UOICHI ブイヤ」を組み込んだお得な限定コース(5,000円)を提供する
スタッフ 橋本 萌生 氏
高校時代のアルバイトがきっかけで飲食業界へ。客として来店した同店に魅力を感じて、2018年に入店。接客のほか、予約管理、SNSの更新なども担当する。

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インパクト大!迫力の肉盛り合わせで「お祭り感」を演出

グリとニル 茅ヶ崎[神奈川・茅ヶ崎]
神奈川県茅ヶ崎市元町2-22 1F
https://r.gnavi.co.jp/m7dpp4c80000/
神奈川・JR茅ヶ崎駅から徒歩1分、路地の奥の隠れ家的な場所にある。2つの個室と、2階のロフトスペースにある11名まで利用可能なテーブル席が人気。女子会や記念日などの利用が多い。

思う存分に肉を堪能!肉目当ての来店が多数

 店名の「グリとニル」は、店の売りである「グリル」と「煮る」の調理法が由来。「女性1人でも入りやすい隠れ家ビストロ」のコンセプトで2017年1月にオープンした。「元々串焼きがメインでしたが、オープン後に肉需要の高まりを感じ、グリル料理をメインに据えました」と店長の森卓也氏。暖色系の照明による落ち着いた空間と、多彩な創作料理で、当初の狙い通り女性を中心に集客している。

【POINT】じっくり火を通し、やわらかジューシー!

肉カーニバル 4,378円(グリル4種盛り合わせ)/左上から時計回りにソーセージ2種、季節の野菜、ハンガリー産鴨肉、牛ハラミ、湘南ポーク。じっくり火入れして寝かせるため、注文から提供まで30分ほどかかる
ぐるなびの店舗ページの「こだわり」タブでは、自粛疲れが叫ばれていたことを受け、“ストレス発散メニュー”とユニークにアピール

 看板のグリル盛り合わせは、ボリュームに応じて「肉フェスタ」(2508円)、「肉フェスティバル」(3278円)、「肉カーニバル」(4378円)の3種を提供。「客単価を上げるために開発したメニューですが、見た目にも華やかでボリュームがあり、満足度が高いことから、幅広い客層に人気です」と森氏。直火で焼き目をつけた後、160℃でじっくり火入れをし、少し寝かせてうま味を閉じ込めるため、シニア層にも食べやすいやわらかさとジューシーさが好評だ。

前夜祭5種盛り合わせ 1,518円(2人前)/「知覧鶏タタキ」「サンマとハモのエスカベッシュ」「鮮魚のマリネ」など、その日の「おすすめのおつまみ」からピックアップ

 また、もう一つの看板である前菜盛り合わせは、グリル盛り合わせのにぎやかなイメージに合わせて「前夜祭」の名前で提供。いずれのメニューもワインや日本酒と共に頼む人が多く、唎酒師の料理長が各40種以上を季節ごとにラインナップ。料理でもドリンクでもファンを引き付けている。

店長 森 卓也 氏
居酒屋勤務などを経て2016年、「グリとニル」の経営母体である株式会社ソーシエに入社。2020年9月から現職。主に店舗のマネジメントを担当する。

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厳選した米油&パン粉で作るエビフライを高く積み上げ、集客の目玉になる一品に!

食べ飽きない軽い食感で、女性のリピーターが続出!

 愛知・北岡崎駅から徒歩8分の場所にある「エビフライとハイボール うおのぶ食堂 岡崎店」。店名どおり、売りはこだわりぬいたエビフライ。東京のパン粉専門業者から特注で仕入れるきめの細かいパン粉を使い、国産米油で揚げており、プリプリのエビとサクサクとした衣の軽い食感を楽しめる一品だ。単品(1本495円)や「エビフライ定食」(1100円)などを用意しており、特にグループ客に人気なのがエビフライを高く積み上げた「エビフライタワー」(10本1496円~)だ。「見た目のインパクトが強いので、客席に運ぶ際、ほかのお客様が興味を持って注文することが多いです」と店長の西田京介氏。多くの人が写真を撮影することもあり、SNSで情報が拡散され、来店のきっかけになっている。

【POINT】見た目のインパクトからSNSで情報が拡散!

エビフライタワー 10本1496円~/売りのエビフライを高く積み上げた一品。すべてのコースに組み込み、インパクトあるビジュアルが話題に。写真は20本(2992円)
  • メニューブックで、エビフライに使う米油の特徴やパン粉へのこだわりを紹介。ヘルシーで食感も軽いことから、女性のファンも増加
  • 店頭のポスターでおすすめのコースをアピール。写真付きで名物のエビフライタワーを打ち出し、宴会獲得につなげている

 また、2019年の夏に新たにメニューに加えた「エビフライ丼」(1078円)も好評だ。エビフライ6本をご飯の上に盛り付け、地元・岡崎市名産の八丁味噌を使った特製ダレをかけたもので、「味噌カツならぬ“味噌エビフライ”がご当地の名物になれば」(西田氏)と考えている。オープン当初、来店客の多くが男性だったが、軽くて食べやすいエビフライが浸透し、現在は6割が女性。こだわりのエビフライが、男女問わず愛される店の柱となっている。

エビフライ丼 1,078円/ご飯とキャベツの上に、エビフライ6本を立てるように盛り付け、仕上げに八丁味噌のタレをかける。エビフライの下には温泉卵があり、混ぜて食べることで味の変化も楽しめる
エビフライとハイボール うおのぶ食堂 岡崎店[愛知・岡崎]
愛知県岡崎市井田南町10-14
https://r.gnavi.co.jp/gxrjzrx90000/
エビフライのほか、地元・愛知の三河湾などで水揚げされた旬の魚介を使った料理も売り。座敷席やテーブル席など全64席を備え、20~60代のビジネス層やファミリーなどで連日にぎわっている。
店長 西田 京介 氏
高校卒業後、滋賀県の和食店で2年間修業し、父が経営する有限会社魚信へ。前身の居酒屋から「うおのぶ食堂」へのリニューアルを機に、店長となる。

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色鮮やかで写真映えも◎。もちもち皮の桜色の小籠包が注文率100%の名物に!

神楽坂チャイニーズ 結華楼~Yuikarou~[東京・新宿]
東京都新宿区神楽坂3-2 木村屋ビル5F
https://r.gnavi.co.jp/gd89900/
本場・台湾で修業を積んだ齊藤氏による点心をはじめ、見た目にも鮮やかな本格的な中国料理を提供。30代のビジネス層を中心に多くのファンを獲得しており、接待や記念日の利用も多い。

抹茶やカニ味噌を使った、オリジナル小籠包も好評!

 台湾などの名店で修業したオーナーシェフ・齊藤雄史氏の本格中華が堪能できる「神楽坂チャイニーズ 結華楼~Yuikarou~」の名物は、見た目にもインパクトのある桜色の「神楽坂小籠包」(4個715円~)。「独立する際に看板メニューとして開発しました。美しい桜並木に魅せられて神楽坂に出店したこともあり、メニュー名に地名を入れました」と齊藤氏は語る。

【POINT】上品な桜色の皮は弾力ある食感!

神楽坂小籠包(中央)、抹茶小籠包(左)、蟹小籠包(右)(写真は「3種セット」。コースのみで提供)/店の代名詞になっている優しい桜色の「神楽坂小籠包」。ほか、皮と餡に抹茶を使ったものや、カニの身と味噌を使ったものも
  • 小籠包はオーダーを受けてから一つずつ作る。光が透けて見えるほど皮を薄く伸ばしてから、餡を手早く包んでいく
  • スープは様々な食材を2日間かけて煮込んだもので、濃厚でうま味が強い。餡に使う具材も小籠包の種類によって少しずつ変えている

 皮の色は、「鮮やかなピンクというより、優しい桜色」(齊藤氏)にこだわり、さまざまな素材を試しながら、納得できる色に仕上げた。餡には、2日間煮込んだ濃厚で上品なスープを使用。皮のもちもちとした食感を楽しめるよう、光が透けるくらいまで皮を伸ばして餡を包み、数分蒸して仕上げる。これをランチの定食や、すべてのコースに組み込んでおり、「アラカルトのお客様も含めて、ほぼ全員が注文されます」と齊藤氏。このほかに、抹茶を皮と餡に使い、独特の風味と渋みを楽しめる「抹茶小籠包」(4個770円~)、餡にカニ味噌を使った「蟹小籠包」(4個935円~)も用意し、好評を得ている。小籠包以外にも、箸で簡単に切れるほど豚肉をやわらかく煮込み、黒酢とからめた「咕咾肉(クーラオロウ) 結華楼酢豚~平牧三元豚」なども高いオーダー率を誇っている。

咕咾肉 結華楼酢豚~平牧三元豚 1600円(写真はコース1人分)/締まりのよい肉質の豚肉を、数時間かけて煮込み、箸で切れるほどやわらかく仕上げた一品。黒酢が肉のうま味を引き立てる

 見た目の美しさはもちろん、舌の肥えたアッパー層も満足させる桜色の小籠包を求め、現在も多くのファンが来店。毎週末、予約で席が埋まるなど、活況を呈している。

オーナーシェフ 齊藤 雄史 氏
中国料理店「銀座アスター」の料理長だった父親の影響を受け、中国料理の世界へ。台湾の小籠包の名店などで研鑽を積み、2013年に独立、出店した。

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