目次
・分厚くカットしたタン元に青ネギを詰めた名物
「厚切りネギ包みタン」(厚切りネギ包みタンのお店 しまちゃん/大阪・堺)
・マグロ、ウニ、イクラを豪快に盛り付け、写真映えも◎
「トラエモンマウンテン」(とらえもん/東京・神田)
・予約限定!全16皿の少量多品目メニュー
「豆皿御膳」(活旬 大枡/大阪・玉造)
・「蒸し」「焼き」「揚げ」「炊き」のバリエーションでファンが増加中!
「肉汁蒸し焼売/肉汁焼き焼売」(焼売酒場 二子玉一本堂/東京・二子玉川)
・新しい組み合わせの握り寿司が来店の目的に!
「ニギる6カン盛り」(酒場リベリー ニギる。/大阪・梅田)
SNS映え、トレンド、特別感、お得感を兼ね備えることで、「一度は食べたい」→「何度も食べたい」メニューに!
コロナ禍でも集客に成功している人気店には、来店の目的になる料理が存在する。「SNS映え」などのトレンドを意識しつつ、食材や調理法、提供法にこだわった「特別感」や、リーズナブルな価格設定などの「お得感」といった付加価値を加えることで、「また来たい」と思わせるメニューに昇華させることができる。
ここでは、そんな集客アップメニューを紹介。それぞれの開発の経緯と調理や提供についてのこだわり、実際の売上や集客への貢献度について話を聞いた。
【最新の外食のトレンドもチェック!】
2022年の外食トレンドを読み解く
「厚切りネギ包みタン」(厚切りネギ包みタンのお店 しまちゃん/大阪・堺)
分厚くカットしたタン元に青ネギを詰めた名物。オーダー率100%でSNSでも情報が拡散!
大阪の南海電鉄・堺駅から徒歩8分の場所にある焼き肉店「厚切りネギ包みタンのお店 しまちゃん」。2021年7月のオープン以来、多くの客の来店の目的になっている名物が「厚切りネギ包みタン」(1,738円)だ。
柔らかくジューシーなタン元を分厚くカットし、中央に切り込みを入れてたっぷりの青ネギを詰めた一品。青ネギにはおろしショウガとゴマ油で風味を付けており、見た目のインパクトもさることながら、食べると肉厚でやわらかいタンとシャキシャキの青ネギの食感がやみつきになると熱烈なファンを生んでいる。もともと、このメニューは大阪・心斎橋の人気店「YAKINIKUEN 忍鬨(にんぐ)」の名物。同店で修業を積んだ代表の島田敏宏氏が、独立するにあたり同じメニューを提供する許可をもらい看板に据えたという。「原価率はほぼ100%で、これだけを注文されたら商売にならないくらい、大特価商品。肉厚ですが、食べやすい大きさで、若い女性からは『見た目がかわいい』と声が上がることもあります」と島田氏。オープン以来、不動の人気メニューで月商1,000万円を売り上げる原動力となっている。
このほか、濃厚な味が特徴の「龍のたまご」の卵黄を乗せた「タンユッケ」(1,320円)も人気。こちらも原価率は80%と、とろけるような食感、濃厚な卵とタンの相性も抜群で高い注文率を誇っている。
大阪府堺市堺区戎之町東2-1-7 菅原ビル1F
https://r.gnavi.co.jp/ha81r4a50000/
【今、焼き肉が強い理由は?】
好調!焼肉業態に見る これからの飲食業界 成功のキーワード
「トラエモンマウンテン」(とらえもん/東京・神田)
マグロ、ウニ、イクラを豪快に盛り付け、写真映えも◎。原価率80%のお得感で若い女性を中心に人気に!
東京・JR神田駅至近のビル地下1階に店を構える「とらえもん」。2015年4月に海鮮居酒屋としてオープンし、2016年9月にマグロに特化した業態にリニューアル。そのリニューアルに合わせて開発した「トラエモンマウンテン」(2,160円・2~3人前)が、店を代表する名物となっており、コロナ禍でも月商700万円を売り上げる人気を支えている。
寿司下駄の上に豪快にネギトロ軍艦(5貫)を積み、上からマグロの赤身や中トロ、イクラ、ウニ、ミョウガ、カイワレを盛り付けたもの。豪華な食材を使っていることや色の鮮やかさなどがSNSで話題となり、「特に若い女性はこれを目当てに来店される方が多く、ほとんどの方が写真を撮影します」と店長の落合紀羽氏。原価率は75~80%と利益度外視の価格設定で、来店客の満足度を高めている。
このほか、マグロに特化している強みを生かした人気メニューが「トラエモンセット」(950円)。赤身、大トロ、中トロ、脳天、ほほ肉など希少部位を含めた刺し身を、小さな焼き台とともに提供。「脳天やほほ肉などは、両面をそれぞれ30秒くらい軽く炙ってから食べていただくことをおすすめし、さまざまな部位の食べ比べをしていただいています」(落合氏)。こうした「提供後にお客様が自ら手を加えることで最後の仕上げをするメニューの開発にも力を入れていきたい」と語る落合氏。外食ならではの“体験”を創出して、さらなる集客アップを目指している。
東京都千代田区鍛冶町1-7-4 博栄ビルB1・B2
https://r.gnavi.co.jp/gbz0pzpt0000/
【魚介系メニューの成功事例】
ブランド銀鮭に特化した業態で、坪月商40万円を達成!
「豆皿御膳」(活旬 大枡/大阪・玉造)
予約限定!全16皿の少量多品目メニューがランチ・ディナー問わずヒット!
大阪・玉造駅から徒歩数分の細い路地にある「活旬 大枡(だいます)」。全140席の大箱で、ビジネス層の宴会などで長く愛されてきたが、コロナ禍で状況が一変。宴会が激減する中で若い女性を取り込もうと開発した予約限定の「豆皿御膳」(2,980円)が話題になっている。
刺身や揚げ物、焼き物、煮物、サラダなど12種類の総菜と4種類のミニちらし寿司を、計16皿の小鉢に色どり豊かに盛り付けたメニュー。「コロナ禍でビジネス宴会が激減したことから、少量多品目で写真映えするメニューを売りに女性を集客しようと考え、2021年6月から提供を開始しました」と、約10年前に父親から店を継いだ2代目の鳥屋尾(とやお)清氏は語る。原価率は30%だが、職人の技で一つ一つの料理の質を高めている。「コロナによって外食頻度は減りましたが、特別なメニューを多少価格が高くても食べたいというニーズは上がったと感じています。集客するために低価格競争をするのではなく、店が価格決定権を握りたいと考えてこの価格にしました」(鳥屋尾氏)。提供開始後すぐにSNSや口コミで話題となり、これを目当てに予約する女性が殺到している。
さらに、今年2月から新たに打ち出したのが「厚切りロースかつ丼」(1,980円)。とんかつは、鹿児島県の茶美豚(ちゃーみーとん)のロース肉300gを低温調理でじっくり熱を通した後、カラッと揚げており、厚みは2~3cmで食べ応え十分。「あえてカツを卵でとじず、あと乗せ用の卵とじを別皿で提供し、お客様ご自身でカツの上にのせていただくスタイルにしました。“仕上げを自分でやる”という体験が特別感につながることと、動画で撮影して拡散してもらう狙いがあります」と鳥屋尾氏。このメニューは、ランチのピークタイムを外した11:00~11:30と13:00~14:00のみで提供。これも「店が時間決定権を持ちたい」という鳥屋尾氏のアイデアによるもので、集客の目玉になるような商品をあえてピークタイム以外で販売することで、客数を分散させる狙いがある。実際、これを目当てに来店する人も多く、ランチは3回転する人気ぶりとなっている。
大阪府大阪市天王寺区玉造元町3-2
https://r.gnavi.co.jp/kaey900/
【集客アップのヒントはここから!】
飲食店の集客アップにはこれが効く!~チラシからSNSまでコストや強みを紹介
「肉汁蒸し焼売/肉汁焼き焼売」(焼売酒場 二子玉一本堂/東京・二子玉川)
肉汁あふれるジューシー焼売。「蒸し」「焼き」「揚げ」「炊き」のバリエーションでファンが増加中!
東京・二子玉川駅からほど近いビルの地階にある「焼売酒場 二子玉一本堂」。もともと総合居酒屋として2018年にオープンし、コロナ禍で客数が減る中、2020年秋に中国料理をメインにした業態に、2021年に焼売を売りにした業態にと、専門店化の方向に舵を切っていく中で、現在、集客の目玉になっているのが「肉汁蒸し焼売」(880円)だ。
焼売の餡には、うま味の強い新潟産の銘柄豚・妻有(つまり)ポークを、粗めの挽き肉と細かい挽き肉の2種類使うことで肉々しい食感を実現。ここに、タマネギと昆布だし、ラードなどを加えることで、肉汁たっぷりの焼売に仕上げている。「一般的な焼売は上部は包みませんが、肉汁が漏れてしまうので当店の焼売はすべての面を皮で包んでいます。ポーションも大きく食べ応えも十分です」と、店長の藤田かいと氏。焼売のおすすめの食べ方として、まずそのまま何もつけずに食べ、とんがら酢(青トウガラシを漬け込んだ酢)や台湾辣油、自家製ポン酢、タスマニアマスタードなどで味の変化を楽しんでもらっている。また、「蒸し」以外に、蒸し焼売の両面を焼いた「肉汁焼き焼売」(920円)、カリカリに揚げた「肉汁揚げ焼売」(880円)、自家製の濃厚白湯で煮た「肉汁炊き焼売」(680円)などがあり、焼売の注文率は100%、出数は1日150個にもなるという。
このほかにSNS映えで人気のあるメニューが、「白の麻婆豆腐」(1,180円)。4種類のスパイスと2種類の一味、山椒、八角、トウガラシなどを使った本格的な麻婆豆腐をこぼれるように盛り付け、塩味が抑えめのチーズ・グラナパダーノを客席で削りかける。「麻婆豆腐の中にはナチュラルチーズも入れ、辛いものが苦手な方でも食べやすくしています」(藤田氏)。チーズをかける様子は写真や動画で撮影する人も多く、SNSで情報が拡散され、来店の目的の一つになっている。
東京都世田谷区玉川3-20-2 B1
https://r.gnavi.co.jp/1zrjzw3y0000/
【焼売のメニュー開発のヒントは餃子にあり⁉】
坪月商32万円! 餃子を看板に、話題になる要素を散りばめ女性が集まる酒場に
「ニギる6カン盛り」(酒場リベリー ニギる。/大阪・梅田)
マグロ×タルタル、中トロ×チーズなど、新しい組み合わせの握り寿司が来店の目的に!
大阪・梅田駅近くのオフィスビル地下1階にある飲食店街に、2021年8月にオープンした創作寿司と創作天ぷらが売りの居酒屋「酒場 リベリー ニギる。」。大阪・堂山町を中心に店舗展開する株式会社ワンダライフが運営する「酒場 リベリー スシる。」(大阪・堂山町)のFC店舗として、大阪で飲食店を2店舗運営する株式会社funwriteが出店。立地する飲食店街は、長年続く飲食店が多いため50~60代が多く来店するが、同店は20代の女性が集まる人気店。その人気の理由が2大看板である創作寿司と創作天ぷらだ。
創作寿司は、一般的な寿司ネタにさまざまなアレンジを加えたものを中心に10種類以上ラインナップ。マグロの赤身にタルタルソースをトッピングした「まぐろアボタル」(220円)や「サーモンいくら?」(308円)のほか、中トロにクリームチーズをのせた「中トロクリチー」(352円)、ランプ肉のローストビーフにウニを添えた「ローストビーフのうにく」(363円)などの人気が高い。「食材とソースの組み合わせの斬新さ、SNS映えする見栄え、さまざまなお酒に合う味が人気の理由だと考えています。Instagramに投稿された画像をスタッフに見せてオーダーされる方も多く、来店の目的になっていると感じます」と、代表取締役の浅井啓介氏は語る。
また、もう一つの看板の天ぷらも王道のものから、ちょっとしたアレンジでオリジナリティーを出しているものまで、20種類以上そろえている。一番人気の「海老」(275円)を筆頭に、大葉の天ぷらにウニを乗せた「うに大葉」(308円)、明太子をシソで巻いて揚げた「しそと明太子」(308円)、アスパラガスの天ぷらにモッツァレラチーズがベースのソースとパルメザンチーズをかけた「アスパラちー」(308円)、ナスの天ぷらを生ハムで巻いた「ナス生ハム」(242円)などの人気が高い。
寿司と天ぷらの出数は、それぞれ1日約100個(貫)で、ともにオーダー率はほぼ100%。15坪40席で1日3回転しており、最高月商600万円を売り上げる人気を支えている。
大阪府大阪市北区梅田1-11-4 大阪駅第4ビルB1
https://r.gnavi.co.jp/3r64kaut0000/
【創作天ぷらの成功事例】
インスタ映えする独創的メニューを拡散し、坪月商57万円を実現!
【こちらもチェック!ヒットメニュー事例】
いま好調な店はココが違う!店を支える看板メニュー
連載「うちの売れてるメニュー」
人気です!「おひとりさま」メニュー 限定・専用プラン、“夜定食”などで来店を促進
お店の価値を高める! 利益を出す! モーニング・ランチの新戦略