更新日:2024.4.22
「出汁しゃぶ」
出汁しゃぶ おばんざい おかか 新宿(東京・新宿)
女性に支持されるメニューのある店は、リピート率が高いと聞く。どんなメニューでアプローチすれば、継続的な来店につながるのだろうか…。その一品を考察すれば、ヒントが見えてくるかもしれない。
東京・新宿の歌舞伎町にある「おかか 新宿」の看板メニュー「出汁しゃぶ」を、週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原恵美子氏が紹介。「この店へ友人知人を連れていくと全員が絶賛し、次々とリピート客になっていく」という店の逸品メニュー「出汁しゃぶ」から、ファン作りの戦略を探る。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html
・一年中満席が続く、鍋料理専門店
・店に入った瞬間に、包み込まれるようなかつお節の香り
・厚さ1/20の極薄削り節が、食べ放題!
・本番!「だし」観が一変する、衝撃的な「だし体験」
・極細の野菜と、手切りの豚肉にも感動
▼ぐるなび公式Xアカウント▼
ぐるなび - 飲食店様のお役立ち情報
よろしければ、こちらもぜひフォローお願いします!
一年中満席が続く、鍋料理専門店
筆者は2016年のオープン当時から「おかか 新宿」に通い続けていて、多くの友人や知人にこの店を紹介しているが、店選びには人一倍うるさいマスコミ関係の女友達も含めて全員が絶賛し、そのまた友人知人に紹介している。なぜこうも女性の心をつかむことができているのか。また鍋料理専門店にもかかわらず、四季を通じて一年中、繁盛しているのはなぜか。
このように満席になることが多いので、予約は必須。歌舞伎町近くというロケーションにもかかわらず全員男性というグループの姿はほとんどなく、女性グループやカップル、ファミリーがほとんど。
店に入った瞬間に、包み込まれるようなかつお節の香り
店に一歩足を踏み入れた瞬間、かつお節の上品で芳醇(ほうじゅん)な香りに包まれる。それもそのはず、巨大なかつお節削り機が入り口付近に鎮座し、絶え間なくかつお節が削られている。
「オープン前にいろいろなかつお節を取り寄せて比較しましたが、やはりにんべんさんのかつお節は、歴然とした違いがありましたね」と語る店長の中野健太郎氏。
削り節の厚さはなんと、0.01ミリ。通常の市販のかつお節が0.2mmというから、1/20の薄さということになる。そして女性は香りに敏感だ。友人を連れて行った時も、店に入った瞬間から目を輝かせて盛り上がっているし、期待値がずんずん急上昇するのがわかる。
厚さ1/20の極薄削り節が、食べ放題!
「女性はお得感に弱い」というイメージから、女性をターゲットに食べ放題を目玉にする店もあると思うが、この店は、「削りたての0.01㎜の削り節」が食べ放題。
この極薄削り節、香りも食感も普段食べ慣れているかつお節とは別次元。口に入れた瞬間に溶けて消えてしまい、かつお節の上品なうま味だけが鮮烈に口の中に広がる。「今、いったい何を食べたのか」と呆然としない人はいない。ある人が「これはかつお節の刺身だね」と評したが、まさに言い得て妙。
なくなるとすぐにスタッフがおかわりを持ってきてくれる。正直、この削り節だけで永遠にお酒が飲めるほどだが、これはほんのさわり。本番の盛り上がりはここからなのだ。
本番!「だし」観が一変する、衝撃的な「だし体験」
いよいよこの店の看板であり、オーダー率100%の「出汁しゃぶ」がスタート。テーブルに置かれる銅製の鍋に、淡く色づいただしがなみなみと張られる。カツオ、サバ、昆布などを、出汁しゃぶのためにオリジナルブレンドしている。だしのたまらない香りが広がり、テーブルはまたしても騒然とする。
ここでスタッフがそれぞれの取り皿に1センチほど、だしを注いでくれる。つまりワインと同じ”テイスティング”だが、このだしがもう本当にしみじみとおいしい。「こんなだし、飲んだことがない」とみんな口をそろえて言うが、驚くのはこれから。
なんと、すでに十分すぎるほどおいしいこのだしに、升に山盛りの削り節を一度に入れ、“追いがつお”をするのだ。“追いがつお”というテクニックは知っていても、家でやることはほぼないし、飲食店で見るのも初めて。中野店長によると、この薄さだからこそ1分程度でだしがとれる、だからテーブルでの演出が可能なのだそうだ。
「だしをとるのはどこの店でもやっていると思います。でもお客様の目の前で追いがつおをすることで、よりだしの鮮度を感じていただくのが狙いです」(中野店長)。
この後、追いがつおをしただしをもう一度テイスティング。すると、最高においしいと思ったさっきのだしが、さらに進化している。「だし物語、新章突入」と言いたくなる驚き。今まで多くの女友達を連れて行き、忘年会も数回ここでやったが、誰もが「だしってすごい…」と感動していた。
極細の野菜と、手切りの豚肉にも感動
しゃぶしゃぶというと普通は肉が主役だが、この店ではあくまでもだしが主役。肉も野菜も、“だしのおいしさを邪魔しない”ことを最も重視している。
盛り上がりっぱなしで息があがり気味なところに、さらに追い打ちをかけるのが、鍋の野菜と豚肉の美しさ。刺身のつま用の機械を使い、ダイコン、ニンジン、九条ネギ、長ネギをぎりぎりまで細くカットしている。さらに小松菜、しめじ、えのき、レタス、キクラゲのほかに、その時の旬の野菜が加わる。今の時期(6月)はオカヒジキ。筆者は以前はスーパーでオカヒジキを見ても買おうと思ったことは一度もなかったが、ここで初めてオカヒジキのシャキシャキの食感を知ってから、大好物となった。
豚肉は、鹿児島県産黒豚のバラとロース。飼育の最後にサツマイモを餌にすることで、甘みをおびた肉質になる。注文のたびに手切りしていて、箸で持ちあげると向こうが透けそうな薄さ。だからこそ一瞬で火が通り、だしに臭みがなく、アクも出ない。
追いがつおをしただしと豚肉の肉汁が混然一体となったつゆに、食べ放題の極薄削り節をトッピングするという、罰が当たりそうなほどぜいたく…。
女性はキラキラした非日常的なものやカワイイものを好む、といわれている。確かにそれもあるが、本当に求めているのは、日常につながっている非日常。できそうでできなかったささやかなぜいたくを、「これでもか」ととことん楽しませてくれることではないか…。
そして女性は、気に入った店は親しい人に教えたい。気に入れば友人知人と再訪し、どんどん新しい客を連れていく。つまり女性をターゲットにした戦略が成功すると、男性も自然に増える、ということになる。そのまさに代表的な例といえるだろう。
この店に来るたびに、それを実感する。
〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-16-3 8F
https://r.gnavi.co.jp/5macc3ef0000/
【メニュー記事 こちらもチェック!】
“すき焼きの最初の一枚”を味わう小皿!「黒毛和牛とネギすき焼き」博多小皿鉄板 べっぴんしゃん@新宿御苑
”脇役”のはずが、人気すぎて看板メニューに!「キャベ玉」まるよし@赤羽
飲食店の集客や販促は「ぐるなび」におまかせください!
「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、集客・リピート促進はもちろん、予約管理や顧客管理、エリアの情報提供、仕入れについてなど、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。
▼詳細はこちらから
0円から始める集客アップ。ぐるなび掲載・ネット予約【ぐるなび掲載のご案内】