粋な和食屋の”裏看板”は、サンドイッチ!「サクとろ角煮サンド」メデ・イタシ@都立大学

東京・都立大学にある「メデ・イタシ」は、食通が通う評判の店。和食屋なのに、”サンドイッチ”がおいしすぎて高注文率の一品だという。その絶品料理にフォーカスし、メニュー誕生の秘話を聞く。

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「サクとろ角煮サンド」

メデ・イタシ(東京・都立大学)

 和食屋であれば、看板メニューは当然、和の料理と思うのが一般的だろう。もちろん主力の看板は和なのだが、”サンドイッチ”がおいしすぎて、ここにわざわざ行かなければ食べられないと好評価を獲得、裏看板のような存在で名物となった店があるという。

 今回は、東横線の都立大学にある居酒屋「メデ・イタシ」の「サクとろ角煮サンド」を、週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原恵美子氏が紹介。遠くからも食べに来る人が多い名物料理「サクとろ角煮サンド」誕生のきっかけや、ジャンルを超えて、粋なメニューを生み出す秘訣(ひけつ)を聞く。

桑原 恵美子
フードライター。十数年間にわたり、新聞社系の媒体で大手チェーン飲食店や、新オープンの商業施設の飲食店、食品メーカーを中心に取材。ぐるなび媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材。「ラクなのに美味しい 驚異の弱火調理法」(三空出版)など料理レシピ本の構成にも携わる。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html

住宅街の中の隠れ家…なのに連日、大にぎわい
”飲みこむのが惜しい”と思うほどの「サクとろ角煮サンド」
美味の秘密はどこに!? プロセスを見せてもらった
飲食業界の“常識の逆”に見つけた、おいしさの真髄
「サクとろ角煮サンド」誕生の秘密を聞くと…

住宅街の中の隠れ家…なのに連日、大にぎわい

 「メデ・イタシ」は2016年8月に、東横線・都立大学にオープンした和食店。この8月でちょうど7周年を迎えた。場所は都立大学駅南口の住宅街の路地裏。通りがかりのお客など望むべくもないさびしいロケーションなのだが、店内の席はしっかり埋まっている様子。

  • 「メデ・イタシ」入り口
  • カウンター6席、4人掛けテーブル2卓。1~4人の少人数利用

 本格感のある品のいい佇まい。片側だけをあげたのれんから、食事をする人の満足そうな笑顔が見える。

 渋い色合いでまとめられた店内は、落ち着いたBGMが流れる心が和む大人の空間。席数はカウンターが6席、4人掛けのテーブルが2卓のみ。この雰囲気のせいかお客の年齢層は40代が多く、東横線沿線の居酒屋としてはやや高めとのこと。

”飲みこむのが惜しい”と思うほどの「サクとろ角煮サンド」

  • 壁の黒板は、日替わりおすすめメニュー
  • 季節替わりの定番メニュー。達筆な文字と習字紙の手触りの柔らかさが、粋で心地よい

 まさに“品書きで飲める”ほど魅力的なメニューばかり。どれを頼んでも間違いないが、筆者の一推しはオリジナルメニュー「サクとろ角煮サンド」(1,100円)。

たっぷりかけられた艶やかなタレが食欲をそそる「サクとろ角煮サンド」

 「サクとろ角煮サンド」は、食パンに白みそ入りの枝豆ペーストを塗り、軽く揚げた豚角煮をサンドして、豚角煮のタレをかけた料理。豚角煮がとろけるように柔らかく、口の中で食パンと一つになって、枝豆の甘み、白みそのコク、角煮のタレの濃厚なうま味が融合する。肉料理とは思えない、衝撃の軽さでするりと喉を通り、気が付くと魔法のように消えている。飲み込むのが惜しいほどのおいしさだ。

 複数人で訪れても、一人一皿で注文することを、心からおすすめする。

美味の秘密はどこに!? プロセスを見せてもらった

 この魔法のようなおいしさの秘密はどこにあるのか。作り方を見せてもらった。

柔らかい豚角煮の表面をカリっと仕上げる、ひと手間がポイント

 薄味に仕上げた豚の角煮に衣をつけて、油でカリッと香ばしく揚げる。豚角煮は圧力鍋を使い、合計で1時間ほど煮込んでいるという。豚角煮を揚げている間に、パンの準備。枝豆をすりつぶして白味噌と合わせたペーストを、食パンに塗っておく。このペーストを塗っただけの食パンがすでにおいしそうだ。表面がカリカリに揚がった豚角煮をパンにのせ、二等分にカットして盛り付ける。

仕上げにかける特製タレが、おいしさを引き上げる

 最後に、豚角煮のタレに本葛(ほんくず)でとろみをつけたものを全体にかけまわす。

 惜しげなくたっぷりかかったこのタレがおいしくて、パンの最後の切れ端を使ってぬぐって食べたくなる。意地汚いと言われようが構わない。それほどこの一皿には強烈な魅力があるのだ。

飲食業界の“常識の逆”に見つけた、おいしさの真髄

株式会社昭和ダイニングの代表取締役・イトウマコト氏

 オーナーで昭和ダイニング代表のイトウマコト氏は、新卒で大手外食企業に入社し、独立を目指して飲食業のノウハウを学んでいた。だが、同社で総料理長を務めていた内山昭氏が独立し、恵比寿に開いた「イワカムツカリ」(現在は閉業)を手伝ったことが、イトウ氏にとって大きな転機となる。

 29歳で食物アレルギーを発症した内山氏が目指していたのは、「本当の安心安全をさりげなく楽しめる店」。自分が安心して食べられるものをお客にも提供しようとする姿勢は、それまでイトウ氏が身に付けてきた飲食業界の“常識”を覆すものだった。

 「料理をスピーディーに出せるよう作業効率を工夫し、原価を削って安く提供することが、お客様に喜んでもらえることだと思っていました。でも、注文を受けてから作り始めたり、調理行程の中でひと手間かけたり、多少高くても自分が感動した食材を使ったりするほうが、お客様に『本当においしい』と言ってもらえる料理が生まれる。自分がやってきたことは、おいしさにつながっていないことに気付いたのです」(イトウ氏)。

 内山氏のもとで修業をしたのはわずか1年ほどだったが、「誰でも食べられる身体にいいものを、手間を惜しまずに提供する」「地方の生産者と直接やりとりをし、自分がいいと確信したものを妥協せず使う」という姿勢はDNAとして受け継いだという。

「サクとろ角煮サンド」誕生の秘密を聞くと…

 イトウ氏は食べ歩きが好きで、訪れた店の料理から自分の店のメニューのヒントを得ることが多いという。「サクとろ角煮サンド」は、「イワカムツカリ」の人気メニューだった「サクとろ角煮 掛川完熟酵母豚」をアレンジしたいと考えていた時に、「枝魯枝魯(ギロギロ) 神楽坂」の名物料理「鰻カツサンド」を食べて、この2つを組み合わせることを思い付いたという。

 「新メニューのヒントが浮かんだ時は、いつも試作を繰り返して完成させます。でも『サクとろ角煮サンド』は一発でイメージした味が完成し、『これはお客様に喜んでもらえる!』と確信したのを覚えています」(イトウ氏)。

季節感にもこだわり、席ごとにデザインが異なるものを置いている。写真の箸置きは京都で見つけたもの

 店を切り回しているのは、イトウ氏ともう一人の厨房担当スタッフのみ。どんなに多忙でも食べ歩きを欠かさないのは、「料理を作り続けていると、時々、何が正解かわからなくなることがある」からだと語る。料理人の目線と、料理を純粋に楽しむお客の目線、両方を持ち続けていることが、魅力的なメニュー作りの秘訣なのだと感じる。

 店名「メデ・イタシ」の由来は、“めでたし”になるまでの過程を楽しむという意味が込められているという。イトウ氏の食への好奇心が、そのままお客の“めでたし”につながっている…。だからこの店が、食を愛する大人たちに愛され続けているのだろう。

クラフトジン「HOLON」のソーダ割り(写真左、1,300円)は、ハーブとスパイスの香りが鮮烈で、ひと口で汗が引くような爽やかさが衝撃的だ。日本酒の酒粕を蒸留してつくる「山本 粕取り焼酎」のソーダ割り(同右、880円)は、酒粕の芳醇な香りと焼酎のキレを一度に味わえる。軽いので食中酒としてもぴったり
土鍋炊きのご飯は、イトウ氏の出身地の山形から「つや姫」を玄米のまま取り寄せ、店で開店直前に精米し「萬古焼」の土鍋で一合ずつ炊く。「塩水雲丹の焼きめし」(3,300円)や季節の炊き込みご飯も名物だが、シンプルな「山形県産 つや姫」(1,300円)がすばらしい。精米したてで炊いたご飯が、いかに普段食べているご飯と違うのかに驚く
メデ・イタシ(東京・都立大学)
東京都目黒区平町1-26-6
https://r.gnavi.co.jp/fjue85c30000/map/


東急東横線・都立大学南口から徒歩3分、住宅街の中にある隠れ家のような和食店。「身体にやさしい料理を提供する居酒屋」を目指して2016年にオープン。舌が肥えた大人が常連に多い人気店。

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