「真鯛のカルパッチョ」
Flamingo(フラミンゴ)(東京・恵比寿)
多くの店が出店時に迷うのが、日常使いできる“親しみやすさ”を売りにするか、シェフのこだわりを打ち出した“スペシャル感”を前面に出すか。エリアの特性に合わせることも大切ですが、やりすぎると似たような店の中に埋もれてしまうリスクも…。そんな中、大人の食通が通う飲食店の多いイメージの恵比寿で、インパクトとスペシャル感のある料理と、親しみやすいサービスを両立させて大繁盛し、予約が殺到している店があるといいます。
今回は、「Flamingo(フラミンゴ)」の「真鯛のカルパッチョ」を、週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原恵美子さんが紹介。料理で高級感を、サービスで心地よい“抜け感”をプラスするコツを聞きました。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html
・通りから店内がすべて見える、超オープンなファサード
・「フラミンゴ」のカルパッチョを知ったら、もうほかの店では満足できないかも
・特別感のある「ハレ」に近い、日常のおいしさ「ケ」を追求
・「お腹も心も満たされて、幸せな気持ちで帰って欲しい」
通りから店内がすべて見える、超オープンなファサード
グルメ激戦区の恵比寿の中でも、とりわけ予約至難の店として知られているのが、2021年4月に恵比寿にオープンした、イタリアンの「フラミンゴ」。
店長の岡田一歩氏が店をオープンするにあたり、どうしても譲れない条件として提示したのが、入り口を全面ガラス張りにすること、そして調理台とカウンターをフラットにすること。
「コンセプトが“街場のイタリアン”なので、通りかかった人もふらりと入りやすいように、店内のにぎわいを見せたかったんです」(岡田氏)。実際、通りがかりに「ここは何料理の店?」とスタッフに聞きに入り、そこから常連になったお客さんもいるとか。調理台とつながっているカウンター席も最初はオーナーに猛反対されたそうですが、お客の立場からすると、料理が完成するまでの過程を至近距離で見られ、ちょっとした振動も伝わってきて、五感で食欲をかきたれられる特等席。「15時のオープン直後はディナーを仕込んだり、パスタを打ったりしていることも多いので、それを眺めながら食事をするのを楽しみにされている近所の常連さんもいます」と岡田氏。
「フラミンゴ」のカルパッチョを知ったら、もうほかの店では満足できないかも
「フラミンゴ」の「真鯛のカルパッチョ」は、一般的な薄切りのイメージを裏切る、たっぷりした厚切り。でも力強い弾力のある厚切りだからこそ、噛むたびにうま味が湧き出し、フルーツのような爽やかな甘みの赤いソースが、そのうま味をさらに増幅させるのです。一度食べたら、もう薄造りのカルパッチョでは物足りなくなること間違いなし!
「カルパッチョという料理名は、赤色を基調とした作風で知られる画家・カルパッチョに由来しているという説があり、それにちなんで赤い色のソースを考案しました」と語る大崎シェフ。
フルーティな赤いソースに使用しているのは、イタリアでもトマトの産地として知られるサレルノ地方の特産、ダッテリーノという品種のトマト。トマトの持つ酸味が全くなく、イチゴのような甘みがあることで知られています。そのトマトを裏ごしし、オレンジの果汁、イタリアの魚醬とも呼ばれる“コラトゥーラ”などを加えています。このコラトゥーラを加えることで、真鯛のうま味がぐっと引き出されるそうです。
真鯛は鮮度にこだわり活締めにしたものだけを取り寄せ、寿司店のネタと同じように切り口のエッジをきかせて厚くカットしています。日本料理店での修業経験がある大崎シェフならではの包丁の冴え。
特別感のある「ハレ」に近い、日常のおいしさ「ケ」を追求
高級イタリアンだと、メニューを見てもどんな料理かイメージがわからずとまどうことがよくありますが、この店のメニューで面白いのは、本格的なラインナップなのに「茶碗蒸し」「かきあげ」などの身近な料理名も入っていること。「日常的な料理名だと安心して頼めるから」と、大崎シェフ。特別な日の「ハレ」の料理と日常のありふれたおいしさを味わう「ケ」の料理の中間ではあるけれど、やや「ハレ」に寄ったイメージでお料理をしているとのこと。
その代表ともいえるのが、人気メニュー「グリーンアスパラのカキアゲ~ユズとカラスミ~」。つまりはフリットですが、「カキアゲ」という料理名で一気に親しみがわきます。
たっぷり添えられた柑橘のソースの鮮烈な爽やかさが、アスパラガスの甘みをぐぐっと引き出してくれます。アスパラガス、柑橘、カラスミ、それぞれのほろ苦さのハーモニーで、ワインが止まらない!通年メニューですが、季節によって柑橘がスダチ、柚子、レモン、甘夏と変わるので、味わいはそれぞれ違う印象になります。
「お腹も心も満たされて、幸せな気持ちで帰ってほしい」
店長の岡田氏は料理人を志して飲食業界に入り、恵比寿の高級イタリアンでサービスマンとして腕を磨き、恵比寿のワインバーでソムリエとしての経験を積んだサービスのプロフェッショナル。「料理は、人。フラミンゴの主役は料理人で、僕たちサービスマンはお客様を楽しませるピエロでいい。最低限の価格設定はあるけれど、それ以外は自由に料理を作ってもらっています」と岡田氏。大崎シェフに絶大な信頼をよせています。
食べ歩きが唯一の趣味という岡田氏が目指したのが、予約のいらないカジュアルな街場イタリアンの店。そのために、予約無しでふらりと来ても立ち飲みができる小さなカウンターを設けたのですが、「狭いカウンターでもいいから食事をしたい」というお客様も多く、最近は(この席で予約はとっていないものの)椅子を用意して、食事もできるようにしているそうです。
せっかく来てもお店に入れないお客さんが多いという心苦しさから、2023年6月には、近くに「co.flamingo(コフラミンゴ)」をオープン。とはいえこちらも14席+立ち飲み4席という小さな店なので、早くも予約がとれない店になりつつあるとか…。
食事の最後に聞かれ、レシートにも印字されている「お腹いっぱいになりましたか?」という温かい言葉には、「お腹も心も満足して帰ってほしい」という願いがこめられているとか。訪れたらまたすぐ行きたくなる心地よさは自然に生まれるものではなく、その陰に、「少しでも喜んでもらいたい」という熱い情熱ゆえのアイデアや工夫がたくさん隠れていることが感じられます。
予約困難なお店ですが、狙い目は15時のオープン直後の時間帯。18時までの入店限定で提供している、メイン無しの軽めの5品コース「lunch Flamingo」(3,800円)は信じられないほど豪華なのにリーズナブル。高級レストランに不慣れな若い層のファースト・ステップになりますし、息の長いファンへとつながるきっかけになりそうです。
東京都渋谷区恵比寿南1-2-8 雨宮ビル1F
https://r.gnavi.co.jp/4g1fhysh0000/map/
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