更新:2024.9.19
「手仕込みアジフライ定食」
トーキョーアジフライ(東京・市ヶ谷)
2022年オープンするや否やたちまち話題となった、人気のアジフライ定食ランチがあるといいます。今回は、"生きがいはおいしいランチとスイーツ"というフードライターの小田中雅子さんが、東京・市ヶ谷にある「トーキョーアジフライ」の「手仕込みアジフライ定食」を紹介。アジフライにスポットをあてた発想のポイントや、定食メニューとしての工夫を深掘りします。
・自信あり! アジフライ定食に特化した専門店
・メニューはおなじみでも、8種の薬味で食べ方は自由自在
・ビビッと来た「アジフライの聖地」との出合い
・東京のアジフライブームに貢献
・夜営業始動。そびえ立つエビフライに目が釘付け! 夜限定「ミックスフライ」
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自信あり! アジフライ定食に特化した専門店
昨今、アジフライのおいしい店がブームとなり、ランチメニューに取り入れている店も多いのではないでしょうか。そんな人気メニュー、アジフライの懐の深さを実感できる店が「トーキョーアジフライ」です。
「トーキョーアジフライ」は、オープン当初はランチのみの営業(現在は夜も営業)、メニューはアジフライ定食のみというアジフライに特化した店。こだわりのおいしさはたちまち評判となり、TVや雑誌など各種メディアなどでも紹介され、朝オープンの11時から13時すぎまで満席が続き、平日でも5、6回転はする繁盛店です。
場所は市ヶ谷駅のほど近い、オフィスビルが多く立ち並ぶエリア。当初は平日のランチとして近隣のオフィスワーカーが利用するイメージだったそう。けれど、実際、店をオープンしてみると、徒歩圏に靖国神社や武道館といった有名スポットがあり、イベントや観光で訪れた人がわざわざ立ち寄るケースが多数。土曜日の昼も行列が絶えません。
メニューはおなじみでも、8種の薬味で食べ方は自由自在
ご紹介するメニューはもちろん「手仕込みアジフライ定食」。ふっくらとしたフライはフィレタイプで4切れとボリューム満点。フライに添えられているのは中骨を揚げたもの。こんがりとした香ばしい色が食欲をそそります。
アジは「アジの水揚げ量日本一」を誇る長崎県松浦漁港のもの。冷凍せず”生”で産地から直送された、刺身でも食べられる新鮮なアジを店で一匹ずつ捌き、骨を抜くなどの下処理を行っている点が最大のポイントだそう。その後、軽く塩をして一晩寝かせたものを使用。“手仕込み”とメニューに付くのも納得の丁寧な仕事が、他にはないおいしさにつながります。
さっそく揚げたて、アッツアツのフライを何もつけずに一口、ガブリ。生から手仕込みされたアジと普段食べているアジとでは、ここまでうま味も食感も違うなんて。サクサクとした軽快な食感の衣と、ふんわりしっとりしたアジの身のコントラストがたまりません。この衣が秀逸。とんかつのようなツンと立った粗目のパン粉ではなく、細目の繊細なパン粉を使用。さらに給油率も低いため、カラリと揚がって食べ心地も軽く、4切れのフライもペロリと食べられます。
品の良いアジのうま味が感じられ、このままでも十分おいしいのですが、「トーキョーアジフライ」のお楽しみはここから始まります!
用意されている薬味は8種。定食に添えられている自家製タルタルソースとわさびおろし。卓上のボックスにはしょうゆ、甘めの九州しょうゆ、ウスターソース、さらさらとした宮古島の「雪塩」、パルメザンチーズ。そしてこれらの調味料に月替わりの自家製の薬味が付きます。訪れた日は、2月に旬を迎えるアオサを使った「自家製青海苔と山葵の佃煮」。旬の食材を使い季節感を出しています。
「薬味でいろんな食べ方を楽しんでほしくて、フィレにして4切れ用意しています。素材にこだわったアジフライを、お客様の好みにあった味付けで100点満点のおいしさにしてもらえればうれしいですね」と「トーキョーアジフライ」店長の宮木聡司さんは語ります。
しょうゆ派、ソース派、タルタル派。アジフライの食べ方の好みはいろいろ。けれど、「トーキョーアジフライ」に訪れたらなら、店が提案する卵黄しょうゆ漬け+パルメザンチーズです。濃厚な卵黄とチーズの塩味のあるコクがあわさり、「こんなアジフライは初めて!」という体験が楽しめます。おいしさに楽しさをプラスする旺盛なサービス精神。人気が出るのもうなずけます。
ビビッと来た「アジフライの聖地」との出合い
「昼だけの営業で成り立つようなビジネスモデルを作りたかったんです」と宮木さんは語ります。この言葉には、コロナ禍での体験が込められています。福岡で飲食店を経営していた時、元々昼の定食や昼飲みを主体にしていたこともあり、それほど大きな痛手を受けずにコロナ禍を乗り切ったといいます。
ランチだけでも十分集客ができる東京ならば、自分のアイデアを試すのにふさわしい。そこで、オープンしたのが「トーキョーアジフライ」です。
コンセプトとしたのが「商材は一つにする」ということ。「商材を絞るメリットは仕入れのロスが少なく、オペレーションが楽という点です」(宮木さん)。そうしたコンセプトに合う食材を探す中で出合ったのが、松浦漁港のアジでした。「アジフライの聖地」として町おこしを行っている松浦を訪れ、アジフライを食べた宮木さんは「これだ!」と思ったのだそう。
「アジフライは料理としてはとてもシンプル。だけど、一口食べれば、いつも食べているアジフライと明らかに違うおいしさが松浦のアジにはあったんです」。この感動をぜひ東京の人にも伝えたい。店舗経営に乗り出す前は、和食の料理人としてキャリアを長く積んできた宮木さん。魚を見る目は確かです。
こうして、ランチのみの営業、メニューはアジフライ定食のみというユニークな店舗が誕生しました。
東京のアジフライブームに貢献
アジフライの名店や人気店がひしめく東京で、いちやくその名を高めた「トーキョーアジフライ」。その理由を宮木さんは「キャッチ―である」ことだと考えます。
店名をカタカナにし、フライが乗る皿に店名のロゴをプリント。「トーキョーアジフライ」には、老舗や和食の名店などに敷居を高く感じる若い人もふらりと入りやすい雰囲気があります。実際、近隣の大学に通う女子学生なども多く訪れ、写真を撮って、SNSにアップしていくのだそう。
現在、店を訪れる人々の年齢は大学生から年配の人までと幅広く、男女の比率もほぼ半々。価格は1,800円と決して手頃とは言えませんが、ちょっと今日はおいしいものが食べたい、楽しい食事がしたいというときに候補に挙がる店。そんなところにも「トーキョーアジフライ」の人気の秘密があるのでしょう。
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夜営業始動。そびえ立つエビフライに目が釘付け! 夜限定「ミックスフライ」
2024年1月から新しい試みとして、夜の営業を始めました。
夜限定メニューとして登場したのが「ミックスフライ定食」。細かな工夫が行き届いたアジフライ定食を作った同店ならではのこだわりがいっぱい詰まった定食です。
「どうぞ」と現れたミックスフライに思わず目が釘付け! 皿の真ん中にあるタルタルの入ったグラスにピンと立つのはエビフライ。その姿に思わず笑みがこぼれます。カキは味が濃いと評判の兵庫県産相生のもの。いずれも衣はアジフライと同じ細目の軽くて薄い衣。サクッとした衣の下にプッリプリの身がぎっしりで食べ応え抜群で、素材の味がダイレクトに感じられます。
「トーキョーアジフライ」を含めて3店舗を運営している宮木さん。なかなか店を任せる人材がいないという飲食店共通の悩みを抱えながら、新たな店舗展開も目指しているのだそう。常に現状にとどまらず、次なる一手を考える「トーキョーアジフライ」の今後に注目です。
東京都千代田区九段南3-8-10 ACN九段南ビルB1F
https://r.gnavi.co.jp/9urvzk2v0000/map/
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