人参のたらこバター炒め
小料理 香しい(かしい)(東京・荒木町)
食を究めたベテランたちが通う隠れた名店が密集する、四谷荒木町。その一角に2023年6月、小料理店がひっそりとオープンしました。店主は28歳の女性で、前職はシステム関係の会社員。「荒木町では異色」と話題になりましたが、店主の明るいキャラクターと、個性的かつ伸びやかな料理で、着実にリピーターを増やし続けています。
今回は「小料理 香しい」で人気の「人参のたらこバター炒め」を、週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原恵美子さんが紹介。荒木町で異彩を放つお店の、フレッシュな魅力にフォーカスします。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html
・美食のディープスポット・荒木町に、ニュースター誕生!
・バターの香りに溺れそう…!「人参のたらこバター炒め」
・突然のチャンスに「やらない選択肢がなかった」
・「物足りない」と思われたくないので、“少な目”に盛れない
・目指すは「家庭で作れそうで作れない」小料理屋の味
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美食のディープスポット・荒木町に、ニュースター誕生!
「小料理 香しい」があるのは、四谷三丁目駅から徒歩数分のところ。車力門通りと杉大門通りに挟まれた路地「柳新道通り」です。2023年の6月にこのお店がオープンした時は、「荒木町に28歳の女性店主現る!」と、話題になりました。
店内は細長い形状の間取りで、カウンターに7席、奥に4人掛けのテーブルが2卓。カウンター席は後ろを人が通れるか通れないかのぎりぎりの幅で、店主とスタッフ、お客さんの距離が程よく近い印象です。
メニューは本日のおすすめと合わせて30種類ほどで、品書きには【おつまみ】が半分以上を占め、そのほかに【焼物】【揚げ物】【煮物】【お食事】が並びます。
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バターの香りに溺れそう…!「人参のたらこバター炒め」
飾り気がなくおおらか、どこかひねりの効いた楽しさがこの品書きからも伝わってきますが、一つだけ選ぶなら、私は断然、「人参のたらこバター炒め」。
ピーラーでリボン状にスライスしたニンジンにたらこをからめ、バターで炒めるだけのシンプルな料理ですが、そのバターの香りがただごとではないのです。一口食べた瞬間に、バターに溺れるような恍惚感…!口に入れた瞬間にとろけるようなこの薄さも、ニンジンの甘みを際立たせているように思います。
ニンジンの温かい料理というとグラッセを連想しますが、この料理の味付けはほぼバターとたらこのみで、砂糖は使っていません。食べる直前に温めてその時に、“追いバター”をするのがコツだそうです。酒の肴は野菜が少ないので、野菜を食べてもらいたいと思って考えたメニューだとか。
突然のチャンスに「やらない選択肢がなかった」
店主の香椎さんは、調理学校を卒業後、懐石料理店で2年、イタリアンで2年間修業。その後「料理界という閉じた世界だけでなく、普通の仕事も経験しておきたい」と考え、システム系の会社に就職。ごく短期のつもりでしたが、コロナ禍が飲食業界を直撃。以前働いていたお店もなくなってしまい、結局4年間も会社員生活を続けることになりました。
しかしやはり「いつかは自分の店を持ちたい」という夢をあきらめきれず、再び飲食店で働き始めた時に、その店のオーナーから「荒木町の和食店が移転で空くから、そこでやってみないか」と声をかけられました。「不安しかありませんでしたが、こんなチャンスは一生に一度しかない、やらない選択肢はないと思って、一晩考えてやらせてもらうことにしました」(香椎さん)。
店を始めてからは「自分が今、出せるものを出すしかない」と腹をくくり、「若い今だから許される」と割り切り、お客さんに料理の感想を聞きながら自分のスタイルを模索し続けました。こだわりは「中途半端になるんだったらやらない」「得意なところで勝負する」ということ。例えばお酒を提供する和食店としては珍しく、メニューにはお造りがありません。「小さな店にとっては出なかった時のロスが大きすぎるのと、周囲にはすごくハイクオリティーなお造りを出す店がたくさんあるので」(香椎さん)という理由だそうです。
香椎さんの体当たりの情熱と、オープンで明るい人柄、そして何より料理のセンスが人気を呼び、今では多くの常連さんでにぎわう人気店に。最初の3~4カ月くらいは厳しかったのですが、それでもお客さんがゼロの日は一日もなかったことが、支えになったそうです。
「物足りない」と思われたくないので、“少な目”に盛れない
この店で料理を頼んで驚くのは、一皿のボリュームが多いことと、高級食材を惜しみなくたっぷり使っていること。「少な目に盛ったほうがおいしそうに見えるのはわかっていても、できないんです。自分が外食して、『こんなに少なくてこの値段⁉』と思うと、悲しくて帰りたくなっちゃうから(笑)」と香椎さん。
そんな彼女の”大盛りスピリット”を象徴するのが、人気ナンバーワンメニューの「ずわい蟹まみれのクリームコロッケ いくら」。
カニ以外にはまとめるための最小限のホワイトソースしか使っていないそうで、カニだけで満腹になりそう。最初、「トッピングのイクラはかけすぎでは?」と思っていたのですが、食べてみたらカニの繊細な味をイクラが絶妙に引き立てることに驚きました。「中濃ソースだとカニの味が負けてしまうので、いろいろなトッピングを試して、イクラに行きつきました」と香椎さん。
目指すは「家庭で作れそうで作れない」小料理屋の味
荒木町には名だたる割烹も多くありますが、香椎さんは「うちは割烹ではなく小料理屋です」と言い切ります。「懐石料理のお店で修業してそのすごさがわかっているので、私ごときが割烹を名乗るのは失礼だと思っています。だからうちはあくまでも“小料理屋”で、ご家庭で作れそうで作れないお料理を召し上がっていただくところ。『おいしかった』と同時に、『楽しかった』と笑顔で帰っていただけるお店でありたいです」と、香椎さん。
懐石料理をルーツに持つ割烹料理には「型」がありますし、対して居酒屋は大多数の人が好むメニューが中心なのでどこも似てしまいがち。でも「香しい」の料理には、香椎さんの「おいしいもので喜んでもらいたい」という気持ちがダイレクトに現れているような気がするのです。たとえて言うなら、「料理のプロに、プライベートでご飯を作ってもらっている」感じ。それが「小料理」というものの本質かもしれないと、この店で初めてわかったような気がします。
東京都新宿区荒木町9-19 正起ビル 1F
https://www.instagram.com/kashii_yotsuyasanchome/
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