新宿「貝料理専門店 はまぐり」で味わう“うま味爆弾”!「昆布焼き」の衝撃

最近、「〇〇専門店」といったマニアックな店が増えていますが、そんなブームのはるか前――今から50年以上も前にオープンし、貝料理だけで90種類以上のメニューを誇る専門店が新宿にあるのをご存じでしょうか。今回は、これからも受け継がれてほしい、そして決してなくなってほしくない名酒場「はまぐり」の看板メニュー「はまぐりの昆布焼き」にフォーカスします。

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「はまぐりの昆布焼き」

「はまぐりの昆布焼き」(1,900円)

最近、よく目にするのが、上品な貝のだしを使ったラーメンや、「貝の缶蒸し」「浜焼き」を名物にするお店。「日本人って本当に貝が好きだなあ」と思いますが、なんと貝だけで90種類以上ものメニューがあり、日本中から貝好きがこぞって訪れると評判のお店があるといます。

今回は週末の酒場巡りが趣味というフードライター・桑原 恵美子さんが、「貝料理専門店 はまぐり」の「はまぐりの昆布焼き」を紹介。貝と昆布という、うま味爆弾のような食材をかけあわせた上に、さらに最高においしい瞬間を逃がさない提供スタイルの秘密を探ります。

桑原 恵美子
フードライター。十数年間にわたり、新聞社系の媒体で大手チェーン飲食店や新オープンの商業施設の飲食店、食品メーカーを中心に取材。ぐるなび媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材。「ラクなのに美味しい 驚異の弱火調理法」(三空出版)など料理レシピ本の構成にも携わる。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html

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目次
”貝料理だけで90種類以上!おそらく日本初の貝料理専門店
“焼きの匠”が焼いてくれる、至福の瞬間
「競い合わずに済む業態は?」と考えて、貝料理専門店に
日本酒が止まらない危険な肴「みそ玉焼き」「小柱揚げギョーザ」

貝料理専門店 はまぐり(東京・新宿)

【店舗Data】
貝料理専門店 はまぐり
業態: 和食店
席数: カウンター10席、座敷22席 
客単価:8,000円前後
客層:40代~60代 ビジネス層、常連が多い
インバウンド:30~40代 増加傾向、香港系が8割
住  所:東京都新宿区新宿3-8-4
アクセス:都営線「新宿三丁目」駅から徒歩2分、東京メトロ「新宿三丁目駅」から徒歩3分、JR「新宿駅」東口から徒歩7分
営業時間: 17:00~23:00(L.O.22:00)
定休日:日曜日、祝日
https://r.gnavi.co.jp/837v7z5p0000/

貝料理だけで90種類以上!おそらく日本初の貝料理専門店

創業1972年、日本全国の貝好きがこぞって通う名酒場「貝料理専門店 はまぐり」(以下「はまぐり」)があるのは、新宿三丁目。伊勢丹新宿店向かいの路地を御苑方面に少し進んだ先の一角にあります。

海外旅行客も多いエリア。国際色豊かな飲食店が立ち並ぶなか、周囲と一線を画す渋い店構えの「貝料理専門店 はまぐり」
  • 1階はカウンターのみで10席
  • 2階の座敷は20席あり、レイアウトを変えると宴会も可能な広さ

初めてこの店を訪れた人は、メニューを見て、目を疑うはず。90種類以上あるメニューが全て、貝料理なのです。常時、20種類以上の貝を扱っているそうで、世界中にも、こんな店、ないのでは?と思うほど。

お刺身も貝だけで17、焼物が15、煮物が8、昆布焼きが4、「当店自慢」のオリジナル料理が15、揚げ物が9、サラダ・酢の物が13、鍋が5、お食事6、合計92種類!
「おまかせ刺身三点盛合せ」(2,400円)。取材時はホタテ、トリ貝、白ミル貝
  • 「串焼き盛合せ」(2,700円)。左から本ミル貝、ホッキ貝、タイラ貝、カキ、はまぐり、ホタテ
  • 「煮貝盛合せ」(2,700円)。白バイ貝、黒バイ貝、トコブシ、姫サザエ、エゾバイ

“焼きの匠”が焼いてくれる、至福の瞬間

この店に来たら外せないのが「昆布焼き」。「かき」「はまぐり」「北寄貝」「盛合せ」(2,100円)の4種類がありますが、私の一推しは「はまぐり」です。

「はまぐり昆布焼き」(1,900円)

卓上に小さなコンロが運ばれてきて、濡らした昆布、はまぐり、シメジが置かれ、ベテラン女性スタッフが点火してくれます。ここからは自分で焼くんだな、と思いきや、そのスタッフさんがつきっきりで焼いてくれるのです!

  • はまぐりの身に塩少々と酒を振り、シメジとともに、水に浸して濡らした昆布の上に置く
  • テーブルに置いたコンロに着火し、裏表をひっくり返しながら4分ほど焼く。表面が白っぽくなり、身が締まってきたらできあがり

はまぐりをひっくり返したり、火が強い場所と弱い場所を細かく移動させたりして調整しながら、4個のはまぐりが同時に最高においしく焼きあがるよう、仕上げてくれます。後から聞いた話によると、同じコンロを使っても、その時の貝の状態や大きさ、昆布の厚み、さらに空気の対流によっても火の通り方が変わってくるそう。エアコンの風の向きや、コンロの近くに料理があるかないかでも微妙に火力が違ってくるため、このお店でも「昆布焼き」ができるのはこの女性スタッフだけだそうです。

お箸を握りしめて待つ3~4分の長いこと…。「どうぞ」の声と同時にレモン汁に付けてかぶりつく焼きはまぐりは、目を見開くこと間違いなしのおいしさ。噛むたびにはまぐりの甘みと昆布のうま味、磯の香りが湧きあがって、飲み込むのが惜しいほどです。

  • じわじわと湧き出したはまぐりの汁
  • お湯少々で薄め、おちょこ1杯分の汁として提供してくれる

ここでもうひとつ、うれしいサプライズが。昆布の上に染み出たはまぐりの汁を集めて、お湯少々で薄めておちょこ1杯分の汁にして出してくれます。ひとくちの量で満ち足りてしまうのは、濃厚で上品なうま味があるからでしょう。「貝のおいしさを余すことなく味わってほしい」という、“貝愛”も感じます。

こちらも貝の大きさや水分量などによっては、火を通しても思ったほど汁が出てこないこともあるそうで「今日みたいにたっぷり汁がとれると、ホッとします(笑)」(女性スタッフ)とのこと。

火の通し方がさらに難しいのが、火の通り方が異なる4種類の貝を一緒に焼く「昆布焼き盛合せ」(2,100円)。大きくて火が通りにくいカキを火力が強い中心に置き、細かく調整して焼きあげる
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「競い合わずに済む業態は?」と考えて、貝料理専門店に

今でこそ、“貝料理専門”を名乗る店をたまに見かけますが、「はまぐり」が創業したのは今から50年以上前の1972年。2015年に先代から「はまぐり」を受け継いだ二代目店主の越後谷 広明さんによると、初代店主は下関のふぐ割烹で修業をした和食料理人で、「人と競いたくない」性格だったため、独立にあたって他の料理人がやらないジャンルがないだろうかと探し、貝料理専門店を始めたのだそうです。

ほぼワンオペで、90種類以上の貝料理を提供している店主の越後谷 広明さん。調理をしながら、店内の様子にも細かく目を配っている

越後谷さんは、秋田県出身。上京し、甘味喫茶の調理場で働くなかで、少しずつ料理の面白さに目覚めていた頃、たまたま出入りしていた同郷の氷屋さんから「はまぐり」を紹介され、働き始めることになりました。「先代からは、『創業当時は今みたいに冷蔵設備も整っていなかったので、朝仕入れた貝の半分くらいが、店を開ける前にダメになっていたこともあった』と聞いています」(越後谷さん)。しかし苦労の甲斐あって徐々にクチコミでファンが増えていき、今では全国、そして海外からも貝好きが集まる人気店に。週末は満席になることが珍しくないそうです。

「本日のおすすめ」入荷している貝メニューがメニューボードに並ぶ

日本酒が止まらない危険な肴「みそ玉焼き」「小柱揚げギョーザ」

「はまぐり」で人気メニューのトップ3に入っているのが、「みそ玉焼き」。東北で、ホタテの殻に味噌と卵、貝を乗せて焼く「貝焼き」をアレンジした料理です。貝のエキスが染みこんだ味噌と卵が混然一体となり、日本酒が止まらなくなる危険な肴。

「みそ玉焼き」(2,100円)。甘めの西京味噌、卵、葱、貝(牡蠣、帆立、北寄貝、イタヤ貝、はまぐり)を平鍋に乗せ、こちらも昆布焼き同様、コンロに乗せて目の前で仕上げてくれる

そして「はまぐり」で人気ナンバーワンのお料理が、たっぷりの新鮮な小柱をホタテのすり身でつなぎ、餃子の皮で包んで揚げた「小柱揚げギョーザ」。オーダーごとに包んで揚げるので、少し時間はかかりますが、待つ甲斐のあるおいしさです。

  • 人気ナンバーワンの「小柱揚げギョーザ」(2,580円)
  • 揚げたての熱々にかぶりつくと、中から小柱があふれる
日本酒は越後谷さんの出身地である秋田のお酒「雪の茅舎(720ml)」(4,500円)、「刈穂(小)」(800円)をはじめ、幅広くそろえている
箸置きは、巻き貝のフタ2つをくっ付けた手作り品

ちなみに海外旅行客で圧倒的に多いのは、香港からでほぼ8割以上を占め、次いで韓国やアジア圏。欧米の観光客は、年に数組程度だとか…。もしかしたら、多種多様な貝を繊細に味わい分ける食文化は、今のところアジア圏寄りなのかもしれません。

なかでも、これほど多くの種類の貝を、これほど多彩な食べ方で楽しめるのは、世界的に見ても極めて貴重な存在といえるでしょう。このお店で「昆布焼き」を食べるたびに、「日本人でよかった…」と感謝の念が湧いてくると同時に、こんな素晴らしい店があることが、誇らしく思えるのです。

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