渋谷「株式会社マーボードウフ」の「羊肉麻婆豆腐」完熟赤山椒×ラム肉が織りなす黄金比!

麻婆豆腐が好きすぎるオーナーが出合ったのは、希少な国産の完熟赤山椒。その山椒とラム肉の組み合わせから生まれた新感覚の「麻婆豆腐」は、たちまち多くの人を魅了しました。キッチンカーやイベント出店、間借り営業を経て、ついに2026年6月、渋谷に実店舗「株式会社マーボードウフ」がオープン。多くの人の心を掴んで離さない麻婆豆腐のおいしさの秘密を探ります。

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羊肉麻婆豆腐

「羊肉麻婆豆腐」(1,480円)

高級中華レストランから街中華まで、中国料理の定番メニューとして欠かせない「麻婆豆腐」。日本では1960年代にテレビでレシピが紹介されると瞬く間に普及したといわれ、今では老若男女問わずに愛されています。昨今は、本場四川の本格派も登場する中、日本で独自に進化した麻婆豆腐も生まれています。

今回は、"生きがいはおいしいランチとスイーツ"をモットーに全国を食べ歩くフードライター・小田中 雅子さんが、麻婆豆腐好きのオーナー・“5歳”こと菅野 康太(かんの こうた)さんが、4年間試行錯誤を重ねて生み出した、肉のうま味と山椒の痺れが黄金比の「羊肉麻婆豆腐」を紹介します。

小田中 雅子
フードライター。新聞社系メディアのグルメ記事でライターとしてのキャリアをスタート。以後、ぐるなび媒体「dressing」など主に飲食関連のWebサイトで記事を書いている。ランチやスイーツ、パンなどのグルメ情報が得意。特にランチはその日の幸福度を決めると信じ、店選びに1時間以上かけるほど、おいしいランチ探しに余念がない。

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株式会社マーボードウフ 渋谷本店

【店舗Data】
株式会社マーボードウフ 渋谷本店(東京・渋谷)
業態:中華酒場 
席数:54席(テーブル、カウンター)
客層:平日はビジネス層、20~50代、男女比6:4
客単価:昼2,000円、夜4,000円
住所:東京都渋谷区円山町4-6 QLINK渋谷神泉 1F・2F
アクセス:JR、東京メトロ渋谷駅より徒歩6分、京王井の頭線神泉駅より徒歩3分
営業時間:11:00~23:00
定休日:無し
https://mabotofu.jp/

目次
・麻婆豆腐好きのオーナーが生み出した唯一無二の味わい
・4年間で50回以上の改良! 決め手は赤山椒とラム肉
・トマトにブルーチーズ!? 意外な食材との調和
・届けたいのは“味の冒険”の楽しさ

麻婆豆腐好きのオーナーが生み出した唯一無二の味わい

国内外の観光客でにぎわう渋谷駅前を後にし、道玄坂を上っていくと、知る人ぞ知る美食の店や、隠れ家バーなどが点在する、通称“裏渋”エリアが広がっています。そんな街に2026年6月にオープンしたのが、「株式会社マーボードウフ 渋谷本店」です。

1、2階ともにガラス張り。ブラックが基調の外観に赤字の店名が映える

“5歳”の愛称で親しまれるオーナーの菅野 康太さん。イベントやキッチンカー、間借り営業などを通じて、オリジナルの麻婆豆腐を提供し、ファンを増やしてきました。間借り営業時代には、テレビをはじめ多くのメディアに紹介され、店には常に行列ができる繁盛ぶり。そして満を持して構えたのが、初の実店舗となる渋谷本店です。

  • 1階はテーブル席とカウンター席。赤を基調にしたインテリアがエキゾチック
  • 2階の中央には大型テーブルが配され、それを囲むようにテーブル席とカウンター席がある。貸切可能でパーティーや宴会にも使われる

店があるのは、外壁がガラス張りになったスタイリッシュなビルの1階と2階。吹き抜けの天井からは色とりどりのランタンが吊るされ、夜になると明かりが灯って、通りを行く人々の目を引きます。

筆者にとって、子どもの頃から一番好きな中華料理は麻婆豆腐。都内でおいしい麻婆豆腐が食べられると聞けば、あちこち足を運んできました。そんな筆者が、「ラム肉を使った、おいしい麻婆豆腐がある」と耳にして、興味をそそられないはずがありません。渋谷本店のオープンを機に、さっそく訪ねてみました。

ランチの営業時間が11時から15時までと長く、遅めのランチ需要にも応えている

4年間で50回以上の改良! 決め手は赤山椒×ラム肉

ランチメニューの定食「羊肉麻婆豆腐定食」(1,380円)は、単品(1,480円)よりもお得で、ご飯・ショウガ香る卵スープ・ムージャン油の搾菜がセット。ご飯の大盛りは無料。ムージャン油とはレモングラスのような香りとほのかな辛みが特徴の中国の香味油

フォーカスしたいメニューは、看板の「羊肉麻婆豆腐」。菅野さんが4年間で5万食以上を作り、50回以上もレシピを改良してきたという、同店の顔とも言うべきメニューです。

麻婆豆腐に散らした緑の野菜はニンニクの芽。彩りの野菜一つとっても、全体のバランスを考え抜いてチョイスしている

数あるこだわりの中でも、味の決め手となっているのが、奈良県吉野産の「完熟赤山椒」とラム肉です。

赤山椒は、実が青いうちに収穫する青山椒とは異なり、樹上で完熟させたもの。フルーティーで華やかな香りと、上品な辛みが特徴です。かつてバックパッカーとして旅をしていた菅野さん。日本中の一次産業を訪ね歩いていたときに、この山椒に出合いました。好物の麻婆豆腐に使ってみたところ、自分でも驚くほどおいしい一皿ができあがったのだそう。

ゴロゴロとした大きさのラム肉がたっぷり。食べたときの満足感がある

もう一つの主役がラム肉です。一般的な麻婆豆腐では挽き肉が使われますが、同店ではステーキにも使えるような良質なラム肉を使用し、サイコロほどの大きさに自ら手切りして、肉の存在感を残しています。さらに産地の異なる3種類ほどのラム肉をブレンドするというこだわりよう。

口にすると、ラム肉の力強い旨みが感じられ、羊肉特有のクセは穏やかです。かみしめるほどに肉の味わいが広がります。そこに赤山椒の華やかな香りが重なり、なんとも奥行きのあるおいしさに。

  • 器は、有田焼の名窯「まるぶん」に特注した麻婆豆腐専用直火皿。熱々でテーブルに供され、保温性抜群なので、最後まで温かい料理を楽しめる
  • 麻婆豆腐のタレは予め作り置きをし、ラム肉の油とタレをなじませておく。何度も試作を重ね、最終的に豆腐はツルンとした食感の絹ごしをセレクト

本場四川流の麻婆豆腐といえば、辛さや痺れがガツンときた後、うま味が広がるイメージがあります。同店の麻婆豆腐は辛さがマイルドで、隠し味に赤味噌も使っているためか、ほんのりと和のテイストが感じられます。また、油も控えめなので、食べ心地が軽いのも魅力です。

ラム肉のうま味、赤山椒の香り、味噌のコク、そしてほどよい辛みと痺れ。辛さで圧倒するのではなく、それぞれの味が主張しながらも、見事に調和しています。ひと口、またひと口と箸が進み、気付けばすっかり夢中になっていました。

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トマトにブルーチーズ!? 意外な食材との調和

「トマトチーズ麻婆定食」(単品1,680円/ランチ定食1,780円)。パクチーの独特の清涼感が、肉やチーズのコクとよく合う

「羊肉麻婆豆腐」と同じぐらい気に入ったのが「トマトチーズ麻婆」。羊肉麻婆豆腐をベースに、トマトとブルーチーズ、パクチーを合わせています。

火を通し過ぎないようにしたトマトは、フレッシュな甘酸っぱさが香辛料の刺激を和らげ、さっぱりとさせてくれます。チーズは、ラム肉の力強い味わいに負けないよう、コクのあるブルーチーズをセレクト。仕上げには、ラム肉と相性抜群のパクチーを飾ります。

ラム肉と赤山椒というしっかりした土台があるからこそ、個性の強い食材を重ねても成立する、完成度の高い一皿です。けれど、菅野さんは「まだ完成形ではない」と言います。もっとおいしくなるポテンシャルが麻婆豆腐にはあるのだとか。

  • ディナーメニューより「よだれ鶏」(680円)。低温でじっくりと火入れした鶏肉はしっとり柔らかい。タレはうま味ダレ、ラー油共に自家製だ
  • アルコールはビールが売れ筋。「ハートランド」(800円)が代表的で、泡無し、泡だけなどのユニークな提供もしている

渋谷本店がこれまでの店舗と異なるのは、「麻婆豆腐“も”楽しめる店」であること。菅野さんが麻婆豆腐と同じぐらい情熱を注いできたひと味違う中華総菜も充実していて、コースで楽しむこともできます。共同オーナー・藤沼 正俊さんが営むビール居酒屋「PERFECT BEER」から提供する、鮮度と品質にこだわったビールと共に、自慢の麻婆豆腐や総菜と一緒に味わえるのも魅力です。

届けたいのは“味の冒険”の楽しさ

子どもの頃から料理を作るのは大好きだったものの、もともと飲食業は未経験だった菅野さん。作ったラム肉と赤山椒の麻婆豆腐を知人にふるまったところ、「身内だけではもったいない」という声に背中を押され、友人の店のイベントや、キッチンカーで提供するようになります。キッチンカーでは、2日間で1,200食も売れるなど大反響。全国を巡りながら、飲食業のノウハウを身に付けていったといいます。

”5歳”こと、代表の菅野 康太さん(写真提供:株式会社マーボードウフ)

転機にはいつも人との出会いがあったと語る菅野さん。努力や笑顔をたやさない姿勢からは、その情熱と温かい人柄が伝わってきます。そんな菅野さんだからこそ、自然と多くの人が惹きつけられるのでしょう。   

卓上には山椒を用意。挽きたては、華やかな香りがより一層際立つ

ラム肉の麻婆豆腐は、日本では珍しいスタイル。なぜ、王道とは一線を画す麻婆豆腐を目指したのでしょうか。「おいしい麻婆豆腐って、この世の中にたくさんあると思うんです。中華の達人が作る本場四川スタイルの麻婆豆腐もめちゃくちゃおいしいですよね。でも、僕が同じような王道の麻婆豆腐を作っても意味がないと考えました」と語る菅野さん。

「食べるお客様を驚かせたい。そういう驚きから感動が生まれると思うんです。僕は“味の冒険”と言ってるんですけど、今までにないようなおいしさを楽しんでほしい。その方が、作る僕も楽しいですし、食べるお客様もきっと楽しいと思います」と菅野さんは話します。

最近では、本場・中国の四川省にも足を運び、現地の料理を食べ歩いたり、香辛料を扱う市場を訪ねたりしたといいます。「山椒はさんざん見てきたので、色を見ればすぐわかるんです。品質が格段に違う。香りも日本で手に入るものと全然違う。これで山椒煮を作ったら、うまいだろうなぁ」。目をキラキラさせて菅野さんは語ります。

天井からぶら下がるランタン。配置や色、中に入った電球の種類まで一つ一つ、菅野さんがこだわった

菅野さんの“味の冒険”は今も進行中。現在取り組んでいるのは、提供スタート予定のチャーハンです。有名店を食べ歩いて研究し、お披露目の日を待つばかりの状態だそう。他にも、激辛の麻婆豆腐と、辛くない麻婆豆腐の提供を目指しているのだそう。また、1年以内にもう1店舗、首都圏への出店を考えているとか。

「麻婆豆腐を、カレーに次ぐ国民食にしたい」。そんな大きな夢を語る菅野さん。まだまだ続く“味の冒険”からどんなおいしさが生まれてくるのか。その一皿に出合える日が、今から待ちきれません。

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