「世界のグルメ→韓国を経由→日本で流行」の流れは続く
韓国のトレンドは数カ月単位で変化…!
韓国での流行は日本の流行に影響力が強く、韓国で流行っているものがすぐに話題になりやすい。コリアン・フード・コラムニストの八田 靖史 氏 に、韓国ではどのようにトレンドが生まれ、どのように広がっていくかの傾向を伺ったところ、数カ月単位という短いスパンで変化しているのだとか。
現地で流行している食べ物や料理、ドリンク、食材、調味料、訪日韓国人のニーズなど、韓国の「食のトレンドキーワード」を具体的に見ていく。
韓国料理が生活の一部になった人のためのウェブサイト「韓食生活」
YouTube「八田靖史の韓食動画」
目次
1.2024年韓国で注目された食のキーワードと傾向
2.韓国の飲食店で流行っている韓国料理
3.韓国で注目されている食材・調味料
4.韓国で流行っているドリンク
5.訪日韓国人が日本で食べたい料理
韓国・食のキーワードまとめ
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――まず、2024年韓国で注目された食のキーワードを教えてください。
「ドバイチョコレート」がブームに
韓国のトレンドは数カ月単位で移り変わっていくのが特徴です。2024年の夏には「ドバイチョコレート」というドバイ発祥のチョコレートが流行。カダイフというサクサクとした細い麺とピスタチオペーストが入ったチョコレートなのですが、インフルエンサーがTikTokで紹介したことで人気に火が付きました。
そして次に注目されているのが、グミのような食感のカラフルな「スウェーデンキャンディ」です。スウェーデンには、土曜日は大人も子供も「土曜日のキャンディー」を楽しむ習慣があるのですが、2024年初めにニューヨークのインフルエンサーがアップしたTikTokがバズったことで始まり、韓国のインフルエンサーがそれに目を付け、個人輸入していち早く紹介し、韓国内でも広まっていったというドバイチョコレートと同じ図式です。ただ、スウェーデンキャンディは韓国内で入手しにくく、本格的に流行するかは今後の動き次第。類似品が韓国で販売されるかどうかにかかっていると思います。
このように海外のものをいち早く国内へ持ってきて、さらにそれを韓国風にアレンジし、海外へ再輸出するという流れは2024年を象徴するムーブメントと言えるでしょう。
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世界のグルメを韓国化し、再び海外へ
2023年までの数年は“ニュートロ(New+Retro)”と呼ばれるような、古くからあるものを洗練させてヒットさせる動きが主流でした。韓国伝統菓子の「薬果(ヤックァ)」や、ねじり揚げパンの「クァベギ」などがその例です。
それが変化し、2024年はクロワッサンとクッキーを組み合わせた「クロッキー」など、世界のスイーツやベーカリーメニューが大きく注目されました。
これらは韓国のインフルエンサーやアイドルによって再拡散され、“韓国フィルターを通した世界のグルメ”ということで、日本をはじめとした海外でも注目されています。「ギリシャヨーグルト(グリークヨーグルト)」や「アサイーボウル」、コーヒーに生クリームをのせた「アインシュペナー」、そして「塩パン」などがそうですね。
韓国は見せ方が上手いうえトレンドの展開が早く、ワクワク感を抱かせてくれます。若い世代ほどSNSを通じてリアルタイムで韓国のトレンドに接しているので、“世界発→韓国経由→日本着”というトレンドは今後も続いていくでしょう。
■今、熱い「白と黒のスプーン」
2024年のトピックスとしては「白と黒のスプーン~料理階級戦争~」も外せません。Netflixで2024年9~10月に配信された料理対決番組で、韓国で社会現象といえるほどヒットしました。番組の内容は白のスプーンと呼ばれる有名シェフ20人と、黒のスプーンと呼ばれる無名シェフ80人がさまざまなテーマの料理で対決し、最終的に1位を決めるもの。
出演者が番組で作った「栗ティラミス」はさっそくコンビニ大手のCUで商品化され、売り切れ続出となりました。ライバル企業のGS25も同様に栗ティラミスを販売し、街でも栗ティラミスを押し出すカフェが増えています。放送時期がちょうど秋だったのも栗ティラミスの流行を後押ししたのではないでしょうか。
ただ、栗ティラミスは「白と黒のスプーン」ブームを象徴するアイテムではありますが、あくまでも主役は料理人です。GS25が「マシュマロケーキ」を販売するなど、他の出演者もコンビニ各社からコラボ商品を続々と発売していますし、「これが食べたい」というよりも「この人の料理が食べたい」という方向に移り変わっていくとみています。
そういう意味では、「ファインダイニング」と呼ばれる高級韓国料理に期待したいですね。業界が長年力を入れてきたジャンルで、国内での評価は非常に高いのですが、やはり海外で韓国料理というと鍋や焼き肉など大衆的なイメージに留まっていました。「白と黒のスプーン」の流れでスターシェフに注目が集まり、料理人の感性を楽しみに韓国のファインダイニングに行くという動きが世界に拡散したら面白いですね。
■発信地は「コンビニ」
韓国の食のトレンドにおいて、
コンビニ
はとても重要な存在です。ドバイチョコレートをはじめ、ここ数年の流行はコンビニによって広がりました。コンビニの動きが非常に早く、話題になったものはすぐに商品化して販売するんです。先述の「栗ティラミス」「マシュマロケーキ」がその例です。
手に入りにくい希少性によって最初の盛り上がりが生まれたあと、熱が冷めやらないうちにコンビニに並び、みんなが買い求めることでさらに大きく展開していく。こうした流れで、ここ数年でコンビニの役割が大きくなったと感じています。
――次に、韓国の飲食店で流行っている韓国料理を教えてください。
家庭料理や郷土料理が進化
最近はスープ料理の専門店が目立ちますね。「コムタン」や「テジクッパ(豚クッパ)」「ミヨックッ(わかめスープ)」など、韓国料理の基本である汁物を洗練させて、看板メニューとして出す飲食店が増えている印象です。
また、地方の郷土料理をソウルに持ってくる流れも。人気の「ミナリサムギョプサル」はミナリ(セリ)を豚バラ肉と一緒に焼く料理ですが、もとは慶尚北道・清道(チョンド)の郷土料理です。「コサリユッケジャン(ワラビ入りユッケジャン)」や「カルチジョリム(太刀魚の煮付け)」といった、済州(チェジュ)島の名物を出す店も日韓で増えてきました。
――韓国で注目されている食材・調味料は何でしょう?
「ミナリ」や「世界のホットソース」が人気
この2~3年流行が続いたミナリ(セリ)は、定着したと言ってもいいでしょう。ミナリサムギョプサルだけでなく、「ミナリコムタン」や「ミナリサムゲタン」、「ミナリカルビタン」といったミナリ料理も誕生し、新大久保「ミシクタン」など日本でも食べられるところが増えてきました。
日本でもトレンドになり、赤いイメージだった韓国料理が“緑化”する日が来るかもしれません。
調味料はタイの シラチャーソース や中国の 麻辣味 など、世界のホットソースが人気です。韓国にはフライドチキンのチェーン店がたくさんあり、他社と差別化するためにそうした目新しいソースでフライドチキンを味付けることが多いんです。人気が出ればインスタントラーメンやスナック菓子の新しいフレーバーとしてさらに拡散していきます。
アメリカ発の「アウトバック・ステーキハウス」で提供されている、ピリ辛のシーフードクリームパスタ「トゥーンバパスタ」もここ数年人気で、2024年10月には「辛ラーメン」のトゥーンバ味が発売されました。
ちなみに、以前は辛い調味料にマヨネーズを混ぜる「チョンヤンマヨ(青唐辛子マヨネーズ)」味が流行。干しダラにチョンヤンマヨをつけて食べるのは居酒屋の定番メニューなのですが、コロナ禍で家呑みが広まったことから再注目され、えびせんやポテトチップス、カップ麺など、さまざまな商品のチョンヤンマヨ味が登場しました。
――韓国で流行っているドリンクはいかがでしょう。
「ハイボール」ブームの流れから、アレンジが広がる
ここ数年、韓国では「
ハイボール
」ブームが続いていて、その流れから「レモンハイボール」や「青ミカンハイボール」のような派生型が目立ってきていると感じます。ハイボールブームは日本料理の流行とともに起こったのですが、フルーツ系の広がりの他に、紅茶を使った甘い「アールグレイハイボール」など、アレンジされたハイボールも多数出てきています。
日本から韓国に渡って大流行し、「塩パンたい焼き」という新たな姿で新大久保に戻ってきた「塩パン」のように、ドリンクも韓国で別物に変化して日本に逆輸入される可能性があります。
――最後に、訪日韓国人が注目する、日本で食べたい料理を教えてください。
まだ知られていない”日本の郷土料理”に熱視線
ラーメン、寿司、ハンバーグといった定番料理やコンビニスイーツはもちろん人気ですが、訪日韓国人の数(※)は2024年1~10月だけでも720万人を超え、一般的な日本のグルメは一通り制覇したという声も聞かれます。
そこで、まだあまり韓国で知られていない”日本の郷土料理”を求めている人も少なくないようです。
注目度上昇傾向がみられるメニュー名を挙げますと、名古屋の「みそかつ」や、ドーナツ型の鉄板鍋に野菜と肉を並べた九州発の「炊き肉鍋」など。商品開発のアイデアを得るために、東京や大阪ではなく地方都市に向かう飲食店関係者も多いと思います。
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韓国・食のキーワードまとめ
家庭料理や郷土料理を磨いて出すといったトレンドと、世界のフードを韓国化する、この両軸が大きい傾向だと思います。
おそらく2025年も、短いスパンで韓国から日本へといろいろなトレンドがやって来ることでしょう。韓国発のグルメはアイテムそのものというより、「次は何が来るんだろう?」というワクワク感自体が一つのトレンドと言えると思います。ぜひそれを楽しみながら、次のトレンドを期待してください。
※訪日韓国人の数の参照元
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/_files/20241120_1615-1.pdf
取材協力:八田 靖史 氏
韓食生活 https://www.kansyoku-life.com/
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