2024/08/09 コラボ企画

横浜・関内「ウルトラスズキ」の心をつかむ4つの接客術

派手なパフォーマンスや演出でお客様を喜ばせる事だけがエンターテインメントな接客ではない。種類豊富なドリンクと、立ち飲みとは思えない本格的な料理。来店客をワクワクさせるサプライズ。そして、お客様全員に目を配る接客が心地良い空間を生み出す。オープン4年で、多くのお客様の心をつかみ繁盛店になった横浜・関内の「ウルトラスズキ」を取材した。

URLコピー

※スマイラー101号(2024年6月)より転載

横浜・関内の立ち飲み食堂「ウルトラスズキ」

「もしかして鈴木さんではありませんか?」
「え? いえ、違いますが」
「うちは店名のウルトラスズキにちなんで、鈴木さんは、お好きなレモンサワー1杯が無料になるんです」
「そうなんですか。同僚に鈴木さんいますから、今度連れてきますよ」
「ぜひ、お願いします」

初来店のお客様との定番の会話だ。

立ち飲み食堂「ウルトラスズキ」の入り口

初めての店に入るときは、誰でも少し緊張する。どんな店なんだろう、楽しく過ごせるだろうかと、どうしても不安になるからだ。「最初は表情の硬いお客様が多いんです。笑顔じゃない。だから最初は肝心なんです。ちょっと意外な声掛けで、何?となったところで、種明かしするというコミュニケーションなんですが、意外性のおかげか、この会話はキャッチボールになりやすい。心がほどけて、笑顔になってくれる。ちょっと面白いお店かもという期待につながってくれたらいいなとも思っています」と語るのは、接客担当の鈴木 賢さん。

「ウルトラスズキ」は、料理担当の瀬戸 貴志さんと、ドリンク担当の真島 卓郎さんと鈴木さんの3人で共同経営している。元々は同じ飲食関連の会社で一緒に働いていた同僚だったという。

▼ぐるなび公式アカウント▼
【LINE】ぐるなび通信デジタル
【X】  ぐるなび - 飲食店様のお役立ち情報

よろしければ、ぜひ友達追加/フォローをお願いします!

「ウルトラスズキ」の4つの接客術
1.遊び心が感動を呼ぶ
2.お客様を不快にさせない番人
3.お客様の横で一緒に楽しむ接客
4.3人のエンターテイナー

1.遊び心が感動を呼ぶ

接客担当の鈴木 賢さん

「ウルトラスズキ」のオープンは2020年6月。本当は4月オープンの予定だったが、コロナ禍での緊急事態宣言を受けて6月に延期した。前途多難な船出だった。

「時短営業やアルコール販売も自粛要請などが出されてましたから、どうしようと思ったのですが、朝カレー屋さんをやりました。スパイスは免疫力を向上させるということで、みんなに元気になって欲しいという想いを込めたスパイスカレーです。一杯1,200円で提供したのですが、医療関係者は100円にしました。もう儲けることはあきらめて、社会に少しでも貢献して、できればお店を覚えてほしいと思ってのアイデアです」(鈴木さん)。

鈴木さんをはじめとする、3人の共同経営者は、みなアイデアマンなのだろう。ウルトラスズキという店名、鈴木さん一杯無料、30種のレモンサワー、話題になりやすい仕掛けがたくさんある。聞いてみたら、案の定クチコミを狙ってのアイデアだという。記憶に残りやすく、人に話したくなるという意味では、どのアイデアも秀逸だ。

まるごとセロリレモンサワーと、銅製マグで提供されるこだわり生ビール

なかでも、これは面白いと感心したのは「まるごとセロリレモンサワー」。30種のレモンサワーのうちの一つ。レモンサワーのグラスに葉っぱ付きの太いセロリが一本刺さって出てくる。見た目のインパクトだけでなく、自家製バーニャカウダのディップが付いてくるので、セロリがおいしいつまみになるのもいい。そしてもちろん、おいしい。ユニークで遊び心たっぷりのアイデアは、そこで終わらず、口にしたときの感動もしっかりとある。それがウルトラスズキのおもてなしであり、エンターテインメントなのだ。

ぐるなびからの最新情報を受け取るのはLINEが便利!
配信頻度は、週1~2回ほど。ぐるなび通信の新記事や、旬な情報が通知されて便利です!ぜひご登録ください。
「ぐるなび通信デジタル」
ご登録はこちらから

2.お客様を不快にさせない番人

実は、今回の特集で筆者が取材をしたいと申し入れたとき、鈴木さんから「私の接客は、全然エンターテインメントじゃないですよ」と断られかけた。確かに、派手なパフォーマンスなどで盛り上げるようなことはなく、こう言っては失礼だが、むしろ普通。しかし、常連客の多くが鈴木さんの接客を絶賛し、鈴木さんに会いたいと来店する。その秘密はどこにあるのだろうか、と営業中のお店を訪問し、観察していると、鈴木さんとの会話を楽しんでいる様子が見て取れるお客様が多いことに気づく。

鈴木さんは、そのお客様の前回の訪問時のことや、SNS等に投稿した内容などを覚えていて、そんな話で盛り上げている。お客様のことをよく見ているのだろう。好みも把握しているのか、お客様が注文したメニューを、「これはおすすめしません。お客様にはこっちのメニューの方がいいと思いますよ」などと話している会話も聞こえてきた。このお客様視点での気配りこそが、ウルトラスズキの接客の秘密なのかもしれないと思い、鈴木さんに一番大切にしていることは何かと聞いてみた。

「この空間にいる全員に不満や不快を感じさせないことです。私の役割はそのための番人だと思っています」という返事。「特に、お客様と目が合う回数は意識しています。お客様が顔をこちらに向けたときに、その店員となかなか目が合わないような店は、お客様は不安になるし、不快になります。だからすぐに目を合わせるように気をつけています。注文したいのか、話をしたいのか、お客様に声をかけられる前に気づくことが大切なんです」。

3.お客様の横で一緒に楽しむ接客

壁に貼られたレモンサワー人気ランキング

先ほども述べたが、ウルトラスズキは、ユニークで遊び心たっぷりのメニューが、すでにエンターテインメントだといえる。壁には、レモンサワーの人気ランキングが貼ってあったり、選ぶワクワクを高めるように工夫されている。

そして、それはレモンサワーだけではない。「ウイスキーも30種以上を揃えていますし、生ビールにもこだわっています。鮮度を損なわないように毎日洗浄し、清涼感を感じやすい銅のマグで提供しています。ひと味違うおいしい生ビールが飲めます。料理も、『ふわふわオムレツ 黒トリュフソース』『鴨もも肉のコンフィ』『こぼれトロロのマグロタルタル』など、普通の立ち飲みとは一線を画す本格的なメニューが並んでいます。だから、次は何を食べようか、何を飲もうかとテンションがどんどん上がって、楽しくなるというのが、うちのエンターテインメントなのかもしれません」。

鈴木さんは、このエンターテインメントをお客様により深く楽しんでもらうためのアテンド役といえるかもしれない。お客様をその気にさせる接客とでも言おうか、お客様の横に立って一緒に楽しむ接客。たとえば、お客様が「おいしいですね」と言ってきた時には「ねえ、おいしいですよね」と返す。まさにお客様目線。瀬戸シェフはすごい、自分も食べて感動したと、お客様と同じ立ち位置から会話する。

「ふわふわオムレツ 黒トリュフソース」と「こぼれトロロのマグロタルタル」

4.3人のエンターテイナー

左からドリンク担当の真島さん、接客担当の鈴木さん、料理担当の瀬戸さん

一流のエンターテイナーは、観客の空気を読みながらパフォーマンスをするという。どんなに素晴らしいパフォーマンスでも一方通行の押し付けになってしまっては、感動には至らない。そして、しっかりとした基礎があるからこそ、積み重ねた技術と経験があるからこそ、そのパフォーマンスはエンターテインメントに昇華する。

ウルトラスズキのスタッフは、共同経営者の3人だけだという。いつ行ってもこの3人が店にいる。「これがうちの一番の強みだと思います。お客様は、いつ来ても前に来た時と同じクォリティーで楽しめますから」。

ウルトラスズキのエンターテインメント接客は、鈴木さんだけでなく、3人それぞれの高いパフォーマンスがあるからこそだ。役割の違う基礎と経験がある高度なエンターテイナーが3人集まったこと、それがウルトラスズキを多くのお客様が愛している秘密なのかもしれない。

取材協力:立ち飲み食堂「ウルトラスズキ」
神奈川県横浜市中区太田町4丁目45 第一 国際ビル1階
https://r.gnavi.co.jp/1b25bhp00000/map/

スマイラー101号(2024年6月)より転載

■飲食業界誌「スマイラー」

“飲食店の笑顔を届ける”をコンセプトに、人物取材を通して飲食店運営の魅力を発信。全国の繁盛店の紹介から、最新の販促情報、旬な食材情報まで、様々な情報を届けている。毎月15,000部発行。飲食店の開業支援を行う「テンポスバスターズ」にて配布中!

「スマイラー」公式サイトはこちら!

Googleビジネスプロフィールの運用代行サービスは、ぐるなびで!

ぐるなびによるGoogleビジネスプロフィール(GBP)を活用したMEO対策・クチコミ対応を含む、飲食店に特化した集客支援・運用代行サービスを紹介します。

【ぐるなび】飲食店向けGoogleビジネスプロフィール(GBP)集客支援・運用代行サービス

飲食店の集客や販促は「ぐるなび」におまかせください!
資料請求・お問い合わせはお気軽にどうぞ

「ぐるなび通信」の記事を読んでいただき、ありがとうございます。
「ぐるなび」の掲載は無料で始められ、飲食店のあらゆる課題解決をサポートしています!