和×洋の融合!「にのや」の新感覚アテ寿司「うな玉バター」に見る掛け合わせ術

外食の一番の醍醐味(だいごみ)は、家庭料理では出合えない一皿を楽しめること。「きっとこういう味だろう」という予想を軽やかに裏切り、「おいしい」という感覚に驚きというスパイスを加えてくれる――。そんな外食ならではのぜいたくを驚くほどリーズナブルに体験できるのが、「寿司トおでん にのや」です。看板料理である「極み寿司」の中から、「うな玉バター」にフォーカスしてご紹介します。

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極み寿司「うな玉バター」

極み寿司「うな玉バター」(495円)

和食の代表格である、寿司とおでん。どこで食べても間違いない安心感がある一方、意外性や遊び心を味わいたい時には少し物足りなく感じることも……。ところが、そんな既成概念にとらわれないユニークな組み合わせで、”新しいおいしさ”を届けてくれるお店があります。

今回は、週末の酒場巡りが趣味のフードライター・桑原 恵美子さんが、寿司の新たな可能性を示してくれる「寿司トおでん にのや」に注目。看板メニュー「極み寿司」の中でも、トップクラスの人気を誇る「うな玉バター」の魅力を紹介します。

桑原 恵美子
フードライター。十数年間にわたり、新聞社系の媒体で大手チェーン飲食店や新オープンの商業施設の飲食店、食品メーカーを中心に取材。ぐるなび媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材。「ラクなのに美味しい 驚異の弱火調理法」(三空出版)など料理レシピ本の構成にも携わる。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html

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寿司トおでん にのや 本八幡店(千葉・市川)

【店舗Data】
寿司トおでん にのや 本八幡店
業態:寿司居酒屋
席数:47席(カウンター席、テーブル卓)
客単価:4,000円
客層:20~60代、男女比4:6
住  所:千葉県市川市南八幡4-2-10 丸昌ビル1F
アクセス:JR総武線本八幡駅南口より徒歩1分
営業時間:17:00~0:00
定休日 :無し(不定休)
https://ninoya.kodawarimonikka.com/motoyawata/
https://r.gnavi.co.jp/41dh9gtg0000/map/

目次
訪れるたび驚きがある!客を惹きつける「にのや」の魅力
寿司が奏でる、背徳な美味のカルテット
にぎわいの中でこそ、料理は輝く

訪れるたび驚きがある!客を惹きつける「にのや」の魅力

「寿司トおでん にのや」(以下、「にのや」)は、株式会社一家ダイニングプロジェクトが展開する寿司居酒屋です。2021年4月に1号店の有楽町店がオープンして以来、東京・千葉・神奈川・茨城に計13店舗(別ブランド「おでんトさかな にのや」含む)と、急ピッチで店舗数を拡大中。同社が手掛けている多彩な店舗の中で、今もっとも勢いのあるブランドだそうです。

駅から徒歩1分という好ロケーションの「寿司トおでん にのや 本八幡店」。テラス席があり店内が見える開放的なエントランス(画像提供:株式会社一家ダイニングプロジェクト)。二の家(にのや)は、創業ブランド「うまいもん一家」で培った技術やノウハウを活かす「ネクストステージ(次の家)」という意味で名付けられた
入り口を入ると、縦に長いカウンター席と、左側・店奥にテーブル席が並んでいる(画像提供:株式会社一家ダイニングプロジェクト)

私がこの店を知ったきっかけは、SNSで見かけた看板メニュー「極み寿司」の画像でした。チャンジャ×マスカロポーネ、ウナギ×卵×バターなど、寿司の枠を超えたユニークな取り合わせに「どんな味だろう?」と気になり、日本橋店へ。すると、その日はゲリラ豪雨の悪天候だったにもかかわらず入店待ちの列が絶えない人気ぶりと、店内に渦巻く熱気にびっくり。

さらに「インパクトだけでは?」という疑惑を覆すおいしさ、お会計の時にレシートを2度見したほどリーズナブルな価格にも驚きました。すっかりファンになり、後日訪れた有楽町店は、日本橋店をしのぐほどのにぎわい。食を楽しむ人たちの心の弾みをこんなにも熱く感じられるお店は、そうそうないのでは……。

  • 最初に訪れた「日本橋店」のエントランス。
  • 次に訪れた「有楽町店」。どの店も、ガラス張りの開放的なエントランスが共通している

そんな私が「にのや」にハマるきっかけとなった「極み寿司」は、「アテ寿司」と呼ばれる酒のあて(肴)になる小ぶりな巻き寿司のシリーズ。意外性あふれるラインナップの中でも、特に私が愛してやまないのが「うな玉バター」です。

看板商品「極み寿司」はネタとトッピングの組み合わせが秀逸で、どれも試してみたくなるものばかり

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寿司が奏でる、背徳な美味のカルテット

「うな玉バター」は、握りずしのネタの概念を覆す厚みのある大ぶりなウナギの蒲焼と厚焼き玉子が衝撃的。のせるバターのサイズにもこだわり、試作を重ねた

まずは、このウナギの厚みと卵の厚みを見てください!「にのや」はお刺身でも握り寿司でも、魚介類が豪快な厚切りでビッグサイズなのですが、このウナギの厚みは中でも別格。卵焼きもそれに負けないボリュームで、極めつけはウナギの上にとろけるバターのかたまり……!

冷えたバターを乗せて最後に一瞬、バーナーで炙って表面だけを溶かすことで、おいしそうな艶が出てなめらかな食感に。下に敷いた大判の海苔は「金庄」の石焼き海苔で、熱した天然石の低い温度でじっくりと時間をかけて焼き上げたもの

でも食べてみると、このバターのサイズと硬さが絶妙であることに気付きます。とろりと溶けかかったバターの外側はウナギの脂と一体化していますが、バターを塊(かたまり)で食べる背徳感も味わえ、それでいてあくまでうなぎのうま味を引き立てる存在として成立しているのです。

試作の段階では、バターを全体にかけるような方法も試したそうですが、それではバターが主張しすぎて主役であるウナギの味わいがぼやけてしまうため、最終的にたどり着いたのが現在のサイズと溶け加減だとか。ほんの少しバターのコクが加わることで、ウナギの蒲焼きのおいしさがここまで広がるのかと感動しました。

そしてもう一つの驚きが、それらを下支えする大判の海苔のクオリティー。鼻に抜ける磯の香りとしっかりした厚み、パリパリした独特の食感は、海苔の最高峰として知られる「金庄」謹製の「石焼き海苔」ならでは。

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にぎわいの中でこそ、料理は輝く

左から、株式会社一家ダイニングプロジェクト にのや業態スーパーバイザーの横山 文紀(とものり)さん、こだわりもん一家業態/にのや業態 総料理長の園部 圭介さん、「にのや 本八幡店」店長の星野 竜也さん、こだわりもん一家業態/にのや業態 業態長の藤沢 陵哉(りょうや)さん

株式会社一家ダイニングプロジェクトは、関東一円で多彩な飲食事業やブライダル事業などを多数手掛ける“おもてなし集団”。「寿司トおでん にのや」1号店がオープンしたのはコロナ禍真っ只中の2021年4月でした。

同社は、「こだわりもん一家」という全国各地の旬の食材を大切にする居酒屋ブランドを展開して支持を得てきましたが、コロナ禍には来客数が激減し、都心部の店舗は相次いで閉店せざるを得ない状況に。「こだわりもん一家出身のスタッフたちが持つ知識や技術を生かして、次に輝ける場を模索する中で、時代に即したコンセプトを取り入れ新たな業態として再構築したのが『寿司トおでん にのや』です」と、業態長の藤沢 陵哉さん。

「寿司トおでん にのや」全13店舗の総料理長を務める園部 圭介さんは、当時を振り返り「コロナ禍でも好調だったのは、焼き肉や寿司といった“ハレの日”需要に応えるジャンルでした。このジャンルなら、当社が長年にわたり切磋琢磨して築きあげてきた、鮮魚の仕入れパートナーとの強い絆が武器になるととらえ、そこから寿司というジャンルで新たな挑戦をしたいと考えたのです」と語ります。

食材は提供されなければ価値を発揮できないから、多少価格を抑えてでも、自慢の魚介を多くの人に味わって喜んでもらいたい――。スタッフに共有されているそんな考えが、ダイナミックなサイズの寿司ネタとリーズナブルな価格に反映されています。

  • 「名物・にのや巻き」(858円)は、ウニ、数の子、カニ、ネギトロなどの高級具材と、ブランド卵「真っ赤卵(マッカラン)」の卵黄の醤油漬けを混ぜ、手巻き寿司用に吟味した歯切れのいい海苔で巻いて食べる
  • かき混ぜると濃厚な卵黄と赤酢の酢飯、海鮮が一つになり、贅沢な卵かけごはんのよう。細くカットした数の子の食感が心地よい
ブランド全体の共通メニューはあるものの、店舗によってその時季のおすすめ「逸品」のメニューが違うのも特色
お通しは、3種のおばんざいメニューの中から一つを選べる

「寿司トおでん にのや」の料理の魅力の原点は、“組み合わせの妙”。意外な食材同士を掛け合わせて、新しいおいしさを引き出すことがぜいたく感につながっています。その発想は料理が好きで食べることが好きなスタッフの、日々の外食体験とリサーチの積み重ねから生まれています。

高級な寿司店や和食店で得た着想を「にのやらしさ」というフィルターにかけ、誰もが気軽に楽しめる一皿へと変身させているのです。「多彩な経験を持つもてなし好きの料理人が非常に多いので、自分たちがおいしいと思ったものを即座に具現化できるスピード感も、うちの大きな強みです」(藤沢さん)。

日本酒は、店舗ごとに品ぞろえが異なり、90ccのグラスで提供する。左から静岡県静岡市の萩錦酒造の夏季限定「HAGINISHIKI NO NIWA KASUMI(はぎにしきのにわ かすみ)」、三重県菰野町の早川酒造が醸す「田光(たびか) 雄町 火入れ」、兵庫県姫路市の本田商店「龍力 純米酒 ドラゴン3(Episode3)」 
その時季のおすすめフードとお酒のペアリングも提案

料理が好き、もてなしが好きで仕方がない人たちが、自分たちが感じたおいしさ、楽しさを信じてつくる料理だから、どの一皿にも迷いがなく、その潔さが食べる人の心にまっすぐ届くのでしょう。

「寿司トおでん にのや」でアルバイトをしたことをきっかけに、飲食業界の道へと進んだ若い料理人が多いというお話にも、納得です。「“好き”に勝るものはないと思います」という藤沢さんの言葉が、心に残りました。

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