「魁力屋」が女性の働きやすいラーメン店になれたワケ
2005年に京都で1号店をオープンした「京都北白川 ラーメン魁力屋」(以下、「魁力屋」)。お子さまからお年寄りの方まで万人受けする京都背脂醤油ラーメンを看板メニューに人気を集めており、株式会社魁力屋は2023年には東証スタンダード市場へ上場、2024年12月末現在、関西・関東を中心に151店舗を展開している。加えて、女性が働きやすい環境づくりにも注力しており、女性の正社員比率が高いのも特徴。代表取締役・藤田 宗(つかさ)氏に、これまでの歩みや業態としての強み、女性が働きやすい環境づくりなどを聞いた。
目次
・幼い頃に親しんだラーメンの屋台が原点
・メニュー絞り込みや出店場所の変更を経て強いブランドに成長
・女性採用&インナー採用を強化!
・独立志向の人材向けに社内フランチャイズ制度をスタート
・海外出店、そして100年続く企業に
・「リーダー×一問一答」&「COMPANY DATA」
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幼い頃に親しんだラーメンの屋台が原点
――藤田さんが飲食業に進んだ理由を教えてください。
飲食業との関わりでいうと、曽祖父が京都御所の南側で醤油問屋を営んでいたんです。当時は、京都の料理人たちが数多くうちに醤油を買いに来たと聞いています。そして醤油問屋を引き継いだ祖父は酒屋に業種転換。父も祖母と一緒にクリーニング店を営んでいて、商売人の家系だったんです。そうした家庭環境もあって、自分で何かお店をやりたいという思いはずっとありました。
高校卒業後、不動産の営業マンになり、22歳で父のクリーニング店を継ぎました。チェーン展開をして100店舗くらいまで増やしたのですが、自分が何を本当にやりたいかと考えた結果、たどり着いたのが「ラーメン」だったんです。その原点となったのは、僕が子供の頃、自宅近くにあった屋台のラーメン店です。夫婦2人で切り盛りしていて、いつもにぎわいがあり、お客さんがみんな楽しそうにしていました。ラーメンのおいしさもそうだけど、そのあたたかい雰囲気がすごくいいなと感じた記憶から、僕もあの屋台のような商売をやりたいと思ったんです。
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メニュー絞り込みや出店場所の変更を経て強いブランドに成長
――魁力屋の業態としての強みは何でしょう?
売りは、お子さまからお年寄りの方まで万人受けする「京都背脂醤油ラーメン」です。屋台のラーメン店が原点ですから、創業当時からターゲットとしてはファミリーで、誰が食べてもおいしい、毎日食べても飽きないラーメンを提供しようと思っていました。現在もこの幹は変えずにずっとブラッシュアップし続けています。ですから創業当時の味と今の味は全然違いますね。さらにもっとおいしくできないかと今でも試行錯誤を重ねています。
現在(2025年1月)、魁力屋ブランドで151店舗を展開していますが、最初はなかなか難しかったですね。まず滋賀に出店したのですが、早々につまづいてしまいました。当時の「魁力屋」はメニュー数が多すぎたことも苦戦の原因だと考えています。お客様に喜んでもらうことは全てやろうと思って増やしたのが裏目に出て、オペレーションに負荷がかかりすぎて、提供時間はかかるし、提供順は入れ違うしと悪循環に陥ってしまいました。
そこから実験を重ねて、メニュー数を80から60に圧縮。現在の本店である修学院店を出店するまでの2年間のさまざまな失敗がノウハウとなり、今の成長につながったと思います。
さらに、出店場所も我々の強みの一つ。最初はビルインからスタートしましたが、2006年からファミリーをターゲットにロードサイドへの出店を強化。10台以上の駐車スペースを確保するため土地面積約200坪を基準にしています。そしてお店を回しやすい箱の大きさを鑑みて、建物面積は約30坪、43席を一つのパッケージとして作っています。ロードサイドへの出店を強化した結果、コロナ禍でもあまり影響を受けませんでした。繁華街やビジネス街から人が消えて、みんな家に閉じこもる流れの中で、営業時間の短縮はあったものの、ロードサイドだったからこそお客様がコンスタントに来ていただけたのだと思っています。「お店が開いていてよかった」という言葉をたくさんいただいて、本当にうれしかったです。
また、魁力屋ブランド以外に別ブランドも展開しています。2019年6月からスタートしたのが、手仕込みから揚げのテイクアウト専門店「からたま屋」「とりサブロー」。コロナ禍で中食市場に注目が集まったこともあり、現在も業績は好調です。また、醤油ベースのタンメンと餃子を主体とした「KIBARU」も展開しています。
女性採用&インナー採用を強化!
――女性が活躍する環境整備にも努めているそうですね。
女性スタッフは、長く勤めてそのお店をよく知っている人や、気配りができて管理職としてお店をうまく回せる人が多く、我々にとっては強い戦力になると常々感じていました。そこで、総合職のようにあちこちに行くのではなく、限られた場所や短時間しか働けない人も社員として採用するようにしました。さらに3年ほど前から、スープに使う寸胴を60Lから30Lのものに変えたり、棚の位置を低くして物を取りやすしたりと、厨房の中も変更を加えていったんです。こうした積み重ねで女性が働きやすい環境づくりが整ったことで、女性社員が3割に増えました。
加えて、アルバイトスタッフを社員に登用するインナー採用も積極的に行っています。新卒採用にも取り組んでいますが、経験のために現場に行かせると理想とのギャップを感じてしまう人も少なくありませんでした。その点、インナー採用であれば、大学時代に当店でアルバイトをしてすでに現場を知っています。インナー採用を強化するために、社員を目指す学生のアルバイトスタッフを集めてセミナーを開催し、当社の良さを知ってもらい、就職先として考えてもらう機会を提供しています。
独立志向の人材向けに社員独立支援制度をスタート
――社員独立制度や社外FCも展開しているそうですね。
飲食店で働いている人の中には、独立志向が強い人が一定数います。将来、独立するために辞めてしまうのは人材の損失なので、だったらうちのお店で独立してもらいたいと2009年から社員独立制度をスタートしました。3年以上勤続し、うち2年以上の店長経験があることを条件としています。既存店を譲り渡す体制ですのでリスクも少ないのがポイント。現在、社内フランチャイズ店は25店舗になっています。
さらに上場を機に社外のフランチャイズもスタートしました。飲食事業の経験があるフランチャイジーと店舗展開をしています。
海外出店、そして100年続く企業に
――今後の展開についてお聞かせください。
まずは海外出店に挑戦したい。親日家の多い台湾から始める予定です。将来的には、東南アジアや欧米への出店も構想しています。また、国内に関しては、「魁力屋」の未出店エリアにも進出していきたいと考えています。
一方で、どれだけ店舗展開して、会社が大きくなっても、原点である「何のために仕事をするのか」ということを忘れてはいけないと社員には常に伝えています。地域から必要とされるお店を作ること、たくさんのお客様に「ありがとう」と言われるお店であること。そのために必要なのは、あいさつや掃除、素直な心、気くばり。そして笑顔で接することです。
長期的には、「魁力屋が近くにあったらうれしい」「魁力屋がなくなったら困る」と言われるような存在でありたい。100年続く会社を作っていきたいと思います。
リーダー×一問一答
■経営者として一番大切にしていること
お客様満足度と従業員満足度を上げていくこと
■愛読の雑誌やWebサイト
食リポ系のYouTube、Instagram、TikTok、X
■日課、習慣
ランニング、筋トレ
■今一番興味があること
日本国内だけでなく海外の外食事情と繁盛店、その他食べること全般
■座右の銘
プラス思考、素直、勉強好きであること
■尊敬している人
稲盛 和夫 氏(京セラ創業者)
■最近、注目している店舗名、もしくは業態
アメリカの「チックフィレ(Chick-fil-A)」
「マクドナルド」「スターバックス」の規模につぐ、人気が絶えない外食チェーン。「チックフィレ」は日曜日を店休日にしているのも特徴。
■COMPANY DATA
株式会社魁力屋
京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町670番地 京都フクトクビル 6階
https://corp.kairikiya.co.jp/
設立:2003年
ブランド数・店舗数:4ブランド、161店舗(2024年12月末時点)
従業員数:社員326人、アルバイト3085人(2024年12月末時点)
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