更新日:2025.3.31
飲食店のための失敗しない価格設定の方法とは?
飲食店経営におけるメニューの価格は、売上や利益にダイレクトに影響する重要なポイントです。日替わりメニュー以外は度重なる価格変更は避けたほうがよいため、開業時にしっかりと決めておきたいところ。
まずはメニュー全体の原価率が30%前後になるように調整するほか、店のコンセプトやターゲット層、客単価などを踏まえた上で、来店客が納得感やお得感を得やすい価格にすることが大切です。以下、メニューの価格を決める時のポイントや注意点を見ていきましょう。
※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。
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目次
1.価格設定の前に知っておきたい原価率の考え方
2.価格設定に必要な準備
3.価格設定、2つの黄金パターン
4.価格設定で役に立つメソッド
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1.価格設定の前に知っておきたい原価率の考え方
メニュー全体で原価率30%前後を目指す
メニューの価格設定をする上で、まず念頭に置きたいのが原価率です。原価率とは、メニューの価格に対する原価の割合を示す数値で、
原価率=原価÷売値×100
で表します。例えば1,000円の海鮮丼の原価が300円とすると、原価率は「300÷1,000×100=30」で30%となります。
メニューの原価率が高すぎると利益が出にくくなり、たとえ売上が上がったとしても、それでは赤字になりかねません。飲食店における平均原価率は30%前後といわれているため、まずはここを基準にすることが大切です。
ただし、個々のメニューを等しく原価率30%にする必要はありません。原価が高いメニューをきっちり原価率30%にすると価格も高くせざるをえず、注文が入りにくくなります。逆に、ポテトフライや枝豆などの定番メニューなら、そもそも原価が低く売価も低く設定できるので、原価率30%を下回る価格設定でも問題ないでしょう。「原価率40%だが集客に貢献する特別限定メニュー」「原価率20%の定番人気メニュー」といったメリハリを付けて、トータルで原価率30%程度となるように調整していきたいところです。
FLR比率やFD比率のチェックも忘れずに
また、原価率だけでなく、ほかのコストを俯瞰して見ることも大切です。例えば「FLRコスト」は一つの大事な基準になります。FLRコストとはFood(食材原価)、Laber(人件費)、Rent(家賃)の3大コストを指し、
FLR比率=(食材原価+人件費+家賃)÷売上×100
で表されます。このFLR比率は70%以内に収めるとよいといわれているため、食材費だけでなく人件費や家賃との兼ね合いも見てメニュー価格を設定するようにしましょう。
そして、Food(料理)とDrink(ドリンク)の「FD比率」も検討すべき指標の1つです。
FD比率は、
・食事メインのレストラン→「フード8:ドリンク2」
・居酒屋→「フード6:ドリンク4」
・ドリンクメインのバーやカフェ→「フード2:ドリンク8」
という具合に業態によって目安が変わります。
この比率を基準に、どの程度の価格設定が妥当なのかを考えていきます。ドリンク類は原価を低く抑えることができ、かつフードのような仕込みもほとんど必要ありません。フードで上がった原価率はドリンクでうまく調整するとよいでしょう。
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2.価格設定に必要な準備
食材原価の正確な把握
食材費は、商品原価の中で最も直接的なコストです。まず、メニューに使う全ての食材をリスト化し、仕入れ値を記録しましょう。さらに、ロスを考慮するため、皮や骨など、使えない部分の重量や廃棄率も見積もるのがベスト。そして、一皿あたりの使用量を正確なグラム数やmlなどで算出することで、理論原価と実際原価にギャップが生まれないようにします。加えて、レシピ単位でExcelやクラウドツールなどを使って原価表を作り、数値を可視化すると計算がしやすくなるでしょう。
コンセプトとターゲットの明確化
価格設定において、「誰に」「どんな体験を」提供するのかをはっきりさせることは非常に重要です。ここがブレていると、どんなに数字的に理にかなった価格を設定しても、お客様に「高い」「安すぎて不安」などと思われてしまいます。
店のコンセプトとターゲットを明確にしておくことで、どんなメニューをどのくらいの価格で提供すれば納得感や満足感につながるかが見えてくるはずです。例えば20代前半がターゲットのカジュアルな居酒屋で、高めの価格設定にしてしまうと敬遠されてしまうでしょう。逆に、デートや記念日利用を意識した隠れ家的なレストランなら、行き届いたサービスや落ち着いた内装、雰囲気の良さが売りであれば、ある程度高めの価格でも十分満足してもらえます。
また、味に自信がある新メニューをあえて高めに設定することで希少性を打ち出し、注文率の増加につなげたというケースもあります。自店のコンセプトやターゲットをよく考えた上で、最適な価格設定を目指したいところです。
来店客の注文シミュレーション
また、来店客の注文シミュレーションも事前にしておきましょう。1人あたりの会計が想定する客単価になるかをチェックします。例えばイタリアンなら、想定する客単価が4,000円なのにドリンク2杯、前菜1品、メイン2品で3,000円なら、1,000円のズレが生じて経営が厳しくなってしまいます。客単価から逆算して個々の価格の調整が必要でしょう。
競合店のリサーチ
価格設定を行う上で、周辺の競合店の価格帯やメニュー内容を把握することは非常に重要です。自店の価格が「高すぎる」「安すぎる」といったギャップを避けるためにも、重要なステップです。
調査対象する競合店の条件は、
・同じ業態
・同じエリア
・同じターゲット層
に当てはまるものがよいでしょう。
実際に対象のお店に行ってみて、メニュー構成や価格帯はもちろん、ボリューム感、店の雰囲気、混雑具合、サービス内容などを確認するとよいでしょう。
3.価格設定、2つの黄金パターン
①原価×相場×付加価値で決める
1つ目は、食材原価をベースに相場(競合店の価格)や付加価値で決める方法です。
例えば、原価300円の料理を教科書通りに原価率30%で販売するなら、
売価=300÷0.3=1,000円
となります。次に、同じエリア・同じ業態・同じ客層のお店をリサーチし、類似商品の価格やボリュームなどをチェックし、自店のメニューの付加価値も考慮して価格を決めていきます。味の良さ(調理技術)やボリューム感、盛り付けの美しさ、食材の希少性、店内の雰囲気、接客の良さなど、競合と比べて明確に勝っている付加価値があれば、その分を価格に上乗せし、お客様に納得してもらえる価格を目指しましょう。逆に、際立った付加価値がないのに相場よりも高い価格設定をしてしまうと、お客様からの支持は得られないでしょう。また、食材の希少性が付加価値なのであれば、メニュー表で明記するなど「値付けの根拠」を明示してあげると、お客様の納得感や満足度が高まるので重要なポイントです。
①は、食材原価を基に算出する方法なので、ポーションや食材の質を含めて、自分が提供したい料理をベースに算出することができます。ただ、メニューの価格帯がバラバラになって統一感のないメニュー構成になる可能性もあるので、価格算出後にメニュー全体の価格のバランスが取れているか、注文シミュレーションをしたときに狙い通りの客単価になりそうか、などをチェックする必要があります。
②中心価格を決めて、3パターン程度の価格に集約
2つ目は、メニュー全体の統一感を考えて「中心価格」を決める方法です。「中心価格」とは、メニューの主となる価格のこと。例えば700円のメニューが全体の過半数を占めるなら、700円がその店の中心価格。中心価格が設定できていると、来店客は予算のイメージがつかみやすくなり、メニューが選びやすくなります。
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その上で価格設定を3パターン程度に集約します。中心価格が700円なら、「500円、700円、1,000円」などのように、分かりやすい差をつけるといいでしょう。リーズナブルな500円、中心価格の700円、ちょっとリッチな1,000円とすると、初めて来店した人でも予算のイメージがつかみやすくなります。
そして「中心価格の700円」の次に「リーズナブルな500円」のメニューを充実させることで、「お得だからこれも追加注文しよう」という注文行動につながりやすくなります。
②は価格をまず決めておく方法なので、その価格に合わせるために既存メニューの食材や調理法を変えたり、ポーションを変更し、原価コントロールをする必要があります。同じ1,000円のメニューでも「原価をかけたお得感あるメニュー」と「利益につながるメニュー」を入れ、それぞれの価格帯で収益性にメリハリをつけるのもポイントです。
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価格設定で役に立つメソッド
看板メニューは収益性より集客性
一般的に、その店で付加価値が一番高いメニューが「看板」「名物」といわれる料理です。この看板商品の価格設定がお店の命運を握っているといっても過言ではありません。看板メニューにお得感があると「あの店はリーズナブル」という印象にもつながるため、看板メニューの価格設定は収益性よりも集客性を重視し、原価率は高めに設定した方がよいでしょう。
“利益額×注文率”を重視した価格設定を
看板メニューで集客して、アルコールなど収益性の高いメニューで利益を確保するのが飲食業の王道です。フードにしてもドリンクにしても、利益率が高いメニューをバランスよく設定し、メニュー表で目立たせたり、接客時に上手におすすめするなどして、注文率を高めましょう。
ただ、気にすべきなのは利益率よりも利益額です。例えば、
300円の商品Aの原価率30%→利益率70%=利益額210円
700円の商品Bの原価率40%→利益率60%=利益額420円
となり、利益率は商品Aの方が高いのに、利益額はBがAの2倍になっています。もし、商品Aの注文率がBの2倍以下だとしたら、AよりもBの方が利益に貢献しているメニューということになります。
利益額×注文率の重要性を踏まえつつ、バランスよく利益が取れる価格設定を目指しましょう。
お得感を打ち出す工夫
価格でお得感の打ち出しも行いたいところです。定番なのが「10円引く」という演出。1,000円よりも990円、600円よりも590円にしたほうが来店客にお得感を与えやすくなります。また、集客の引きとなる目玉メニューを手ごろな価格に設定することも有効。例えばランチタイムのパスタを500円とリーズナブルな価格で提供し、セットメニューとしてデザートやドリンク、サラダなどを付けて単価をアップさせたり、原価率が40%以上の目玉メニューを1日10品の限定メニューとして提供することで集客し、そのほかのメニューで原価率を調整する方法もあります。
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ここまで見てきたように、メニューの価格設定は「メニュー全体の原価率30%」の基本をベースにしつつ、売上だけでなく利益や集客といった戦略も盛り込んで決めることが重要です。ここで紹介した価格設定のポイントをおさえて、メニューの価格を見直してみましょう。