韓国で約300店舗を展開する食堂チェーンの日本1号店
2024年12月、東京・神田にオープンした韓国料理店「五福オボンジップ神田店」。韓国で約300店舗を展開する食堂チェーンの日本1号店で、甘辛いタレでテナガダコを炒めた「直火ナックチ炒め」と、茹で豚肉をキムチとともに味わう「ポッサム」を売りとする。運営するのは、レジャー・アミューズメント事業を主体とする株式会社遊楽(ガーデングループ)を母体に持つ株式会社食空間研究所。韓国の本部から日本進出の打診を受けて契約を結ぶこととなった。
五福オボンジップ神田店(OBONGZIP)
業態:韓国料理
席数:56席(テーブル40席、テラス16席)
客単価平均:ランチ2,000円、ディナー3,800円
客層:20~50代の女性、男女比3:7、全体の3割が韓国人(在日・訪日含む)
アクセス:JR神田駅西口から徒歩3分
営業時間:平日11:00~15:00、16:00~23:00
土・日曜日・祝日11:00~23:00
無休
https://r.gnavi.co.jp/dz5ztphh0000/
目次
・ランチ需要を見込んでビジネス街・神田へ出店!
・食材やタレにもこだわり本場の味を再現
・ドリンクの売りは「ソメクタワー」「フレーバーマッコリ」
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ランチ需要を見込んでビジネス街・神田へ出店!
同ブランドの韓国での開業は2020年春。コロナ禍にもかかわらず、わずか数年で急成長を遂げた理由について、エリアマネージャーの東丸 博明 氏は「ドラマの撮影で使われたことからメディアやSNSで情報が拡散されたことが店舗拡大のきっかけ。それが一過性のブームで終わらなかったのは、『何を食べてもおいしい』と味の良さが話題になってリピーターが増えたからだと思います」と語る。
韓国では家庭の味を楽しめる食堂として人気が高く、ランチとディナーの来客数がほとんど変わらない。そこで、日本でもランチ需要が見込めるビジネス街の神田に1号店を開業した。「ブランドの認知度を高めるために、都内への出店は必須条件でした」と東丸氏。店舗は2階建てで延床面積は30坪。テーブル席が計40席あり、テラス席も16席設けている。
当初はビジネス層の利用を想定していたが、女性に人気の韓国業態ということもあり、来店客は20~50代の女性が中心で昼夜ともに食事利用が多い。韓国でのブランド認知度が高く、日本在住や旅行で訪れた韓国人の来店も全体の3割強を占める。客単価は、ランチ2,000円、ディナー3,800円。日本進出の情報がSNSを通じて広まり、平日でも予約で満席になるという盛況ぶりだ。
食材やタレにもこだわり本場の味を再現
看板メニューは、「直火ナックチ炒め」「ポッサム」と韓国の混ぜそばの一種「マッククス」の3つをセットにした「オボンスペシャル」(2~3人前)。売りの料理を一度に味わえるとあり、来店客の9割が注文する。
本場の味を提供するため、テナガダコ、豚肉などの食材は本国に近い食感や肉質のものを調達し、味の要となるソースは韓国の本部から仕入れている。辛さは日本人の口に合うよう少しマイルドに調整しているが、調理法などは韓国と全く同じだという。「例えば、『直火ナックチ炒め』はただ炒めただけでは同じ味は出ません。韓国では直火で炙った際に出る香ばしさを“火の味”と表現するのですが、その火の味を出すために、炒めながらバーナーで上から炙れる韓国製の専用コンロで調理しています」と東丸氏。本格的な味に仕上がるだけでなく、上下から加熱するため調理時間の短縮にもつながっている。
韓国でもFCで店舗数を増やしてきた「オボンジップ」は、すでにオペレーションが完成されており、提供スピードの早さと再現性の高さが強みだ。「『ポッサム』は豚肉が茹で上がった状態のものを保温しておき、注文を受けてから都度スライスして提供。完成されたオペレーションにより、オボンスペシャルは注文を受けてから5分程で提供することができます」と東丸氏は話す。
さらに、卓上に調理用ハサミを置き、最後の調理工程を来店客自ら行うシステムも本国そのままに取り入れている。「直火ナックチ炒め」はテナガダコ、「ポッサム」はキムチを来店客がカットしながら食し、「マッククス」はビニール手袋をはめて手で食材と蕎麦を混ぜることで完成するが、エンタメ感があると好評だ。こうした食体験も含め、「韓国の味に近くておいしい」と評判になっている。
一方で、日本オリジナルメニューも用意。日本で知名度の高い「キムチチヂミ」「海鮮チヂミ」や、すき焼きのような甘じょっぱいタレで薄切り牛肉を煮た鍋「プルコギジョゴル」といった日本人受けしやすいメニューを加え、現在は約20のフードメニューを提供する。
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チヂミ類も韓国の店舗にはないメニュー。「海鮮チヂミ」(1,400円)はエビ、イカ、ニラを焼き上げていて、認知度の高さから「オボンスペシャル」と一緒に注文するグループ客も多い -
日本オリジナルメニューの「プルコギジョゴル」(2,800円)。薄切り牛肉ときのこ、タンミョン(韓国春雨)などを甘じょっぱいスープで煮込む鍋で、ランチ時には一人用の小鍋でも提供
ドリンクの売りは「ソメクタワー」「フレーバーマッコリ」
ドリンクも生ビールやハイボール、レモンサワーといった定番だけでなく、韓国の飲食ブランドらしいものをそろえる。韓国ではビールと焼酎を合わせたものを“ソメク”と呼ぶが、話題性を狙い、爆弾酒を客席で作れる「ソメクタワー」を韓国から導入。瓶ビール3本と韓国焼酎1本を、大きなタワーに注ぎ込んで自動的に混ぜ合わせる「ソメクタワー 爆弾酒セット」(3,000円)は、豪快さが受けてグループ客から人気が高い。
また、女性に一番人気があるのはマッコリで、複数人でシェアできる「マッコリ(壺)」(1,800円)と「マッコリ(グラス)」(500円)を用意。そこに各シロップを加え、カラフルにした「巨峰マッコリ」「マンゴーマッコリ」(各540円)といったフレーバーマッコリもそろえている。
すでに2号店の計画もあり、今後は直営店を運営しながら、日本のフランチャイザーとしてFC展開を積極的に進めていく考えだ。「首都圏を中心に展開しながら、場所は絞り込みすぎずにどんどんチャレンジしていきたい」と東丸氏は意気込む。
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