売りの明確化と的確なアピールで、予約好調の繁盛店

点ス‐埼玉の激戦区・大宮駅東口近くにある居酒屋。特等席を店内中央のカウンターとし、こだわりの鮮魚と炉端焼が看板メニューだ。割引や呼び込みに頼らずに予約で売上を確保し、繁盛店の道を進む。

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点ス

埼玉 大宮駅東口 居酒屋・炉端焼

活気にあふれたオープンキッチンを囲むカウンター席。手作りのおばんざいも並ぶ

お店の想いや売りが凝縮された、店内中央のカウンターが特等席

「お客様がわがままを言える店を作りたい」と、乾 義人氏が2012年2月、埼玉随一の激戦区・大宮駅東口の南銀座通りにオープン。店名はここ数年、大手チェーンの進出などにより、活気を感じなくなったという大宮の個店へのエールも込め、個店ならではの勢いを取り戻し、「個店のあかりを点す」意味で付けた。自身も大宮出身。飲食を通じ、地域を活性化させたいと願っている。

店内は古材を多用し、落ち着いた雰囲気ながら、全体的にスタイリッシュな印象だ。なかでもこだわったのは、幅が広く、奥行きもある、コの字型のカウンターとオープンキッチン。「料理人の手元を見せることで安心感を持っていただきつつ、調理風景をつまみに楽しんでもらいたいですね。また、カウンターはお客様がすぐにスタッフを呼べる場所。"待たせる"という不満を極力与えないように、状況を見てカウンターから席を埋めるようにしています」と乾氏。

メニューはこだわりの鮮魚と炉端焼の二枚看板。魚は北陸の金沢漁港から、野菜は契約農家から直接仕入れる。ほかの炉端焼業態の店と比べ、魚以外にも野菜を数多くそろえ、創作料理も充実させて店の特徴を出すように努めている。例えば刺身なら、身のしまった食感を楽しんでもらおうと、白身の魚は厚めに切って提供したり、高級魚であるのどぐろや、ウニを黒毛和牛で巻いた逸品など、「『点ス』に来たから食べられるメニュー」を出すことにこだわっている。メニューブックは「本日のおすすめ」とグランドメニューの2種類を用意し、「本日のおすすめ」は開店前にスタッフ全員で売りを必ず勉強。また、酒の試飲を行うこともある。「スタッフ同士、そしてお客様とスタッフのコミュニケーションも大切です。メニューはアルバイトスタッフの考えたものを採用することもありますし、バーベキューなどの社内行事も定期的に行っています」と、総料理長で店長の木下 充氏。店全体の雰囲気のよさが、来店客の居心地のよさにつながるという考えが浸透している。

割引や呼び込みに頼らず、コースを充実させて予約好調

ぐるなびからの宴会予約で好評なのは、飲み放題込みで4,000円からという価格と、料理の質の高さが売りの「ぐるなび限定コース」。コースの最初には食前酒として八海山の吟醸酒を提供し、看板料理の炉端焼も出し惜しみせずメニューに加え、リピーターを徐々に増やしている。「お客様のオーダー後、ファーストドリンクをお持ちした際に、『乾杯をどうぞ』、とスタッフが音頭をとります。そして乾杯時には、店中のスタッフが一端手を止めてお客様の席に注目し、乾杯の音頭に合いの手を入れるのが『点ス』流です」と木下氏。時にはほかのテーブル席の客もそれに呼応し、店の雰囲気がさらに盛り上がるという相乗効果を生んでいる。

店の立地は呼び込みが多いエリアでもあるが、一切呼び込みはしない。「割引交渉もする呼び込みは、お客様の"店を選ぶ楽しみ"を妨げることになりますし、入店後に『思っていた店と違った』ということではお互い不幸です。それよりも“店作り”に全力を注ぎ込もうと考えました」と乾氏。店の道路に面した部分は厚手のビニールで覆い、どんな店か外からよく見えるようにしたのも工夫のひとつだ。ちなみに、道路側の掘りごたつ席は冬場、本物のこたつ席に変身。懐かしさと斬新さで大好評だという。

オープンからもうすぐ1年半。味、雰囲気、接客、どれもがしっかりとした店であることが認知され、20~40代のビジネスマンを中心に、日々の売上の大部分を予約で作れる繁盛店の道をしっかりと歩んでいる。

ここがポイント!

飲み放題のウコン茶
カウンター席限定でセルフサービス式のウコン茶を用意。料理の味を邪魔しないよう、通常より薄めにして飲みやすくしてある。お酒飲みにはうれしい気遣いだ。
全国各地の野菜にこだわる炉端焼
乾氏が足で見つけた全国各地の野菜も人気。写真は新潟の「八色しいたけ」で、カサにカツオの一番出汁を注いで焼き、まず出し汁を飲んでから食べるなど、おいしい食べ方の提案でも客を飽きさせない。
「日本全国梅酒の旅」でリピート率アップ
47都道府県の梅酒を用意し、飲んだ都道府県から日本地図のカードにスタンプを押す。全国制覇すると後日、店が選んだ梅酒を一升、自宅へ配送してプレゼント!女性を狙ったが男性に人気だとか。
1合ずつ釜炊きする魚沼産コシヒカリ
北海道の山わさび醤油漬けを乗せて食す「わさび飯」。魚沼産コシヒカリを魚沼の水で、オーダーを受けてから1合ずつ炊くこだわりも人気。注文率の高い看板メニューのひとつ。
エリアの特徴
大宮は大企業の本社・支社のほか、官公庁が集まる埼玉の中心都市。JR大宮駅は新幹線も停車する東北・上信越方面へ向けての玄関口でもあり、人の流れも多い。近代的な駅ビルから一歩外に出ると、東口には昔から栄える繁華街が広がり、飲食店の入れ替わりも激しい激戦区。
点ス
埼玉県さいたま市大宮区仲町1-33-4 逸志ビル1F
http://r.gnavi.co.jp/e571205/