2014/11/11 特集

年末だからできるコト 大掃除のススメ(2ページ目)

URLコピー

ホール

店内を歩き、客席に座り、客の目線でくまなく観察

来店客がもっとも店内の汚れに気づきやすいホールは、特に日々の清掃が重要。工藤氏は「スタッフが客席でまかないを食べるようにすることで、客の目線で店内の汚れをチェックできる」と語る。「実際に客席を使うと、椅子のクッションが傷んでいるとか、テーブルの脚の汚れなど、掃除だけではなくメンテナンスの面も気付くことがあるはずです」(工藤氏)。さらに、日によって座る席を変えることで、様々な角度から店内を観察できるという。

また、グラス置き場の下に敷いたクロスも不衛生になりがち。本来は毎日洗ったり、取り替えるものだが、意外と忘れがちなので注意が必要だ。さらに、日常の清掃ではカバーできないのが掘りごたつ席。こたつの下の床がカーペットの場合は汚れもわかりにくく、大掃除で念入りに点検すべきだという。

客席に座るだけでなく、ホールを歩いて客の目線で店内を観察することも必要だ。パーティションは食べ物が付着しやすく、頻繁に人が通る通路の壁は、下部に靴のこすれた跡が残りやすい。ポップ類やメニューブック、観葉植物の植木鉢や壁に飾ってある絵画なども、普段は手が回らないことが多い。

「"見えない場所"で言うと、レジ回りも見直すべきですね。お金を出し入れする部分なので、汚れも溜まりやすい。お客様から見える場所は清掃しても、収納部分は忘れがちですから、確認するよい機会でしょう」(工藤氏)。

"清潔感"の観点で考えると、ユニフォームを見直すのも必要。「クリーニングに出して衛生面はクリアになっても、ヨレヨレで穴が開いていたりすると清潔感がありません。12月は新規のお客様を迎えることも多いので、ユニフォームやのれんなどを買い変えるには最適な時期です」(工藤氏)。また、エアコンやダクトの清掃は素人には難しいので、大掃除のタイミングでプロの業者に任せるのがベターだ。

照明のカサは日常的に掃除をしている店がほとんど。しかし、意外と見落としがちなのが長さ調節でコードを結んでいる部分。また、照明上部の天井も、静電気の影響などでホコリが溜まってしまうので、確認しておきたいポイントだ

厨房

"衛生面"を第一に考えて隅々までチェックする

厨房は来店客には見えにくい場所だが、衛生面でもっとも気を遣うエリア。ここも日頃から清潔にしておくことが基本で、どの店舗も細心の注意を払っているはずだが、見落としがちな部分も意外と多い。

「電子レンジは、取り外しできるトレイは洗浄しても、内側の掃除は怠りがちです。四方に汚れが付着していることが多いので、隅々まで掃除しましょう。冷蔵庫や食器棚などの取っ手も忘れがちですね。開け閉めが多く汚れやすいので衛生面の基本となる部分ですが、意外と見落としてしまいます。冷蔵庫の中も日常的に清掃する場所ですが、広いので掃除を怠っている店も多いです。ウォークイン冷蔵庫がある店は特に、大掃除で隅々までチェックするべきでしょう」(工藤氏)。

また、ジュースなどが入った段ボール箱を、そのまま冷蔵庫内で使用している店も多いと指摘する。「パックのジュースなどは段ボールごと収納できるので、そのまま保管することがあります。いくら冷蔵庫内を清潔に保っていても、運搬中に様々な汚れが付着した段ボールは極めて不衛生ですから、商品を出して冷蔵しましょう。什器用の棚やストックスペースに段ボールを敷いている店もありますが、これもやめたほうがいいですね」(工藤氏)。

また、コップの茶渋を取るための漂白や、洗浄機内の掃除などは、大掃除だからこそ余裕を持って手を付けられる。ストックスペースも大がかりな清掃になるので、まとめてやるべき場所だ。「大きい飲食店では、宴会や御膳用の大きな器などのストックが多い。ですが、ストックスペースの中を掃除するには器をどかさないといけないので、普段は手が付けにくい場所です。宴会用の大きな器は忘年会でも必要になるので、什器の棚卸も兼ねて掃除するには格好の機会でしょう」(工藤氏)。

日常の清掃だけでは手入れの行き届かないグリストラップ(油水分離阻集器)の清掃も、大掃除のタイミングで業者に依頼するのがよいだろう。

調味料を入れておく容器も要注意。ホールにある容器は定期的に洗浄しても、厨房の容器は中身を注ぎ足すだけの状態になっていることも。特に腐らない塩や砂糖の容器は、長年そのままの状態の店も多いので洗浄が必要だ

全3ページ