2014/11/11 特集

年末だからできるコト 大掃除のススメ(3ページ目)

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トイレ

アンモニア臭の元は側面。こびりついた汚れを取る

水回りはもっとも汚れやすい場所の1つ。特にトイレは、店の清潔度を測る基準にする客も多く、日々の清掃を念入りに行うべき場所だ。しかし、便座や便器、洗面所や床などをていねいに清掃して表面的にはきれいにしていても、異臭が残る店は少なくない。

「便器両サイドの側面の壁は見逃しがちです。壁に付着した尿がアンモニア臭の元なんです。壁も日頃から清掃すべきですが、こびりついた汚れは簡単には落ちません。大掃除で集中的に側面をきれいにしましょう」(工藤氏)。

さらに見えない場所も徹底的に洗浄して、水のトラブルを回避したいところ。「ウォシュレットは分解洗浄して、トイレのタンクもふたを外して詰まりなどがないかチェックしましょう。トイレ自体の詰まりが気になるようでしたら、排水管用のワイヤーで洗浄すると効果的です」(工藤氏)。

便座やトイレットペーパーホルダーのカバー、収納スペースのチェックなど、細かい部分も大掃除のタイミングで合わせて点検すべきだろう。

その他

外観はまず窓をチェック。バックヤードも要確認

ほかにも、外観やバックヤードなど気を付ける場所は多い。特に窓。「店によっては窓の数が多かったり、窓自体が大きかったりして、手が回らないことも多いので、大掃除でチェックすべきでしょう。その際、あまり洗剤の使用はお勧めできません。プロでないと、洗剤で拭いたときに油脂が残ってしまって逆に汚れてしまうので、かえって水だけのほうがいいんです」(工藤氏)。

また、外の照明、看板などは日頃から意識するべきだが、駐車場の白線のライン引きや車止めが破損していないかの確認、側溝の掃除などは、大掃除で洗い出したいポイントだという。

また、従業員の休憩室や更衣室などの〝見えない場所〟も、大掃除で一度点検しておきたい。

「繁盛店に共通して言えるのは、お客様には見えない休憩室などのバックヤードも日頃からきれいにしていることです。そういう店はスタッフのチームワークも取れています。大掃除における自主性にもつながる話ですが、日頃からアルバイトスタッフを教育・指導し、しっかりと人間関係を築くことが大切なんです。スタッフ間の情報共有のために共有ノートを備えている店は多いと思いますが、ある店は写真付きでスタッフ紹介を行い、連絡事項も活発に書かれていました。そういうノートが整頓された休憩室にあると皆が目を通しますし、自然と更衣室などもきれいな状態を保とうと意識するようになるでしょう」(工藤氏)。

バックヤードを清潔にしておくことが、スタッフのチームワークを高め、ひいては店全体のクレンリネスを向上させることにもつながる。大掃除は店をきれいにするだけではなく、スタッフの意識向上のきっかけにもなるのだ。

店舗の裏手にあるゴミ捨て場も、意外と客の目に触れている場所。普段から定期的な掃除が必要だが、特に大掃除では洗剤をまいて臭いを除去する。放置しがちなポリバケツやゴミ収納庫などの掃除も、中まで忘れないように行おう

大掃除と合わせてやっておきたい忘年会前の整理整頓

忘年会シーズンは客数も組数も増えるので、普段使わないグラスや器が必要になる。工藤氏は「大掃除と合わせて、忘年会シーズンを見据えた整理整頓を行うことが大事」と語る。「いるものといらないものとを分けて、いらないものを処分すること」(整理)と、「誰もがわかるように秩序立てて、物を置く場所を決めて整えること」(整頓)という考え方で、什器類の置き場を決めるのだ。

例えば、シャンパングラスや宴会用の器など、忘年会で使う機会が増える食器を多めに準備して、すぐ手の届く場所にそろえる。また箸置きなどは破損や紛失で足りなくなることも多いので、繁忙期前に買い足しておくことも重要だ。

「備品費もかかりますが、忘年会シーズンに箸置きやグラスが足りなくなると、洗い場の人手を増やすことになり、結局余計な人件費がかかってしまうのです」(工藤氏)。

忘年会シーズンが終わったら、しばらく使う必要のない什器類はストックスペースに戻して、年明けに備えること。こうした心がけが整理整頓の意識を高めるのだ。

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