フードとドリンクの売りを明確にし男性の支持を獲得「雑魚や 基~motoshi~」(埼玉)

雑魚や 基~motoshi~-メインターゲットを30代後半以上の男性サラリーマンに定める海鮮居酒屋。高級魚ではなく、アジやイワシなど比較的安価な魚をどこよりもおいしく食べられる店を目指している。

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雑魚や 基~motoshi~

埼玉 大宮区・大宮 海鮮居酒屋

宴会での利用が多い掘りごたつ席。壁にはボトルキープされた一升瓶300本余が銘柄ごとに並ぶ

店を印象付けるアジフライと焼酎のボトルキープで集客!

大宮駅東口から徒歩3 分という好立地に、2006年にオープンした海鮮居酒屋。メインターゲットを30代後半以上の男性サラリーマンに定め、「上司が部下を連れて来られる価格」として客単価を約4,000円に設定。「雑魚や」という屋号が示すように、おいしい魚介を売りに、「クエのような高級魚ではなく、アジやイワシなど比較的安価な魚を、どこよりもおいしく食べられる店を目指しています」と、店長の村田善之氏は語る。

このコンセプトを基に考案した看板料理が、オーダー率90%を誇る「アジフライ」だ。鮮度の高いアジをサクサクに揚げて、特注の器に尾を上にして立てて提供する一品。見た目のインパクトが大きいことで写真を撮る人も多く、SNSなどをとおして認知が広がったという。また、ソースはアジフライ用のものを自家製で作っている。価格は原価割れの1枚150円に設定し、多くのファンを獲得している。

一方ドリンクは、「焼酎と日本酒のラインナップを充実させて、焼酎を約20種類、日本酒を約30種類そろえています」と村田氏。特に焼酎は、グラス(500円~)か、一升瓶(3,000円~)で提供しており、新規、常連問わず、ボトルキープをする人が多い。なかには会社の宴会用に1本、プライベート用に1本と、異なる銘柄を1本ずつキープする客もいるという。店内にはそうしてキープされた一升瓶300本以上が壁の棚にズラリと並んでおり、初めて来た人に驚きを与えるとともに「焼酎がボトルキープできる」という店の特長をアピール。こうした店づくりが奏功し、狙いどおり、全体の8割が周辺企業に勤める男性ビジネス層だという。

また、ボトルのキープ期間は、1年で2度以上は来てもらいたいと考え、半年間に設定。再来店率を高める強力なフックとなっている。さらに、集客のピーク時間を過ぎた21時以降に、キープしている焼酎と魚料理を目当てに2軒目、3軒目使いの来店も徐々に増加。2014年の忘年会シーズンでは、1軒目としての宴会利用のほかに、こうした2軒目使いの来店も加わり、過去最高の売上を記録したという。

お客様ノートをトイレに置き、意見をサービス向上に役立てる

店の売りである魚介は、毎朝、村田氏が市場で仕入れており、刺身などを「日替わりメニュー」として提供。一方、グランドメニューでは、イカスミを使って真っ黒に仕上げた「イカスミのさつま揚げ」(600円)や、大きめに切った大根を揚げ出し豆腐のように揚げた「揚げ出し大根」(650円)など、オリジナリティあふれる料理で満足度を高めている。

接客では、常連客の顔と名前、好みの料理や飲み方などをスタッフ間で共有して、積極的に客とコミュニケーションを図っている。こうした接客を積み重ねることで、自然と常連客が増えると考えているからだ。

また、女性トイレには、意見や要望を書いてもらう「お客様ノート」を置いている。備品の不備や料理の感想など、女性の細やかな指摘を反映することで店のサービス向上につながった例も少なくない。また、店への応援メッセージなども多く書かれており、スタッフのモチベーションアップにもつながっている。

ランチ営業では、限定10食の「お刺身定食」(850円)が好評。数量限定にすることで、11時30分の開店直後からの来店も増えている。ランチで店の存在を知り、ディナーの常連になる人も多いという。

ぐるなびでは、「宴会特集」を利用するほか、店舗ページでリーズナブルでボリュームのあるコース料理をアピールするなどして、宴会予約の獲得につなげている。現在は、姉妹店として埼玉県川越市に「炭焼 基~motoshi~」を経営しており、別業態での3店舗目の出店を目指している。

ここがポイント!

名物の“立つ”アジフライ
名物の「アジフライ」(1枚150円)。特注の皿に“立てる”盛り付けで、記憶に残る一品に。来店客の9割がオーダー。ソースはアジフライ用として自家製で作って提供。
女性客の意見ノートを店づくりに活用
女性トイレにノートを置いて意見や感想を記入してもらう。女性目線の細やかな指摘を店づくりに活用。スタッフへのコメントもあり、士気向上につながっている。
焼酎のボトルキープで再来店を促進
焼酎は約20種類の銘柄を取りそろえ、一升瓶でのボトルキープができる。キープ期間を半年に設定し、再来店を促進。2軒目使いのきっかけにもなっている。
ランチ用のスタンプカードを発行
ランチは7種類で、すべて850円。6回目の来店で500円になるランチ用スタンプカードを渡して再来店を促す。男性客のカード利用率が特に高いという。
日替わりメニューには、その日仕入れた新鮮な魚介の刺身や煮物、揚げ物など、様々な料理をラインナップ
2~3名の常連グループに多く利用されるカウンター席。席の正面にある棚にはキープされた焼酎のボトルが並ぶ
エリアの特徴
大宮駅は、新幹線や複数の在来線が乗り入れる埼玉県内最大のターミナル駅。駅周辺には大企業の支社や商業施設などが集中している。

雑魚や 基~motoshi~
埼玉県さいたま市大宮区仲町1-48-2 あひか第2ビルB1
http://r.gnavi.co.jp/g312713/