鯖と日本酒にこだわる店づくりで、ビジネス層を集客

博多魚蔵 鯖郎

福岡 中央区・春吉　海鮮居酒屋

臭みのないハーブ鯖を使った「泳ぎ刺し」が看板料理に

様々な鯖料理と日本酒を堪能できる店を目指して、2014年3月、福岡・春吉にオープン。入口を入ってすぐの正面に、鯖が泳ぐ生け簀を設置し、入店した客の期待感を盛り上げる。店長の崎山智充氏は「福岡で鯖を食べるなら『鯖郎』と言われたい」と、意欲を語る。

一番の売りは、養殖ブランドの1つ「長崎ハーブ鯖」を活き造りにした「泳ぎ鯖刺し」（1,274円）だ。脂が乗り、臭みが少ない長崎ハーブ鯖を、オーダーが入った後で生け簀から揚げて刺身にするため、味にも食感にも絶対の自信を持つ。養殖魚のため、季節にかかわらず通年で提供できることも、仕入れを決めた理由の1つだという。1尾（4人分2,030円）と半身（2人分1,274円）で提供しており、「オーダー率は100％に近いです」と崎山氏は自信をのぞかせる。

また、鯖の魅力を存分に味わってもらうため、様々な料理で提供しているのも特徴的。鹿児島産「金峰ごま」を使用した「究極のごまさば」（1,382円）など、様々なゴマとの組み合わせを楽しめる5種類の「ごまさば」を用意。また、特有の香りがしっかりと味わえる、五島列島や済州島産の鯖も仕入れており、「鯖コロッケ」（702円）などで使用。刺身の味が引き立つ自家製ブレンドの醤油も用意するなど、調味料にもこだわりを見せる。さらに、「バッテラ」（810円）や「鯖サンド」（842円）などは、テイクアウトでも好評で、売上アップに貢献している。

一方、焼酎のニーズが高い福岡で、あえて日本酒を押し出して差別化を図っている。日本酒は全国から常に約70種類を入荷しており、その種類や味の特徴などを手作りのファイルにまとめて、来店客に銘柄を選ぶ楽しさを感じてもらえるように工夫。日本酒好きの客に喜ばれている。いろいろな銘柄を少しずつ飲めるように、すべて半合から提供するとともに、コースプランに付けられる飲み放題では、本醸造だけでなく純米も含めた十数種類をラインナップ。こういった取り組みが奏功し、今では日本酒を目当てに来店する客も少なくない。

接待からプライベートまで、男性ビジネス層から人気

料理では、鯖のほかにも鮮魚をはじめとした海の幸を豊富に提供。また、肉料理にも力を入れ、「極上！熊本赤牛のミスジステーキ」（1,728円）、「薩摩若軍鶏　炭火焼」（1,188円）、「なでしこ姫鶏のから揚げ」（788円）など、九州各地のブランド肉を使用したボリュームのあるメニューも用意している。

客層の中心は40～50代のビジネス層。2人がけのカウンター席、20人以上で貸切可能な掘りごたつの座敷席、テーブル席の個室があり、団体宴会や接待、記念日など様々なシーンに対応している。地元のサラリーマンの日常使いのほか、九州ならではの鯖料理を楽しめることから、県外の客を招いた接待も多く獲得。男性が8割を占めており、今後は女性にもアピールできるメニューを開発したいと考えている。

コースのプランは、飲み放題付き5,800～9,300円まで6種類と幅広く用意し、季節ごとに料理内容を変更する。これらをぐるなびの店舗ページに掲載し、ぐるなび限定のクーポンとともにアピールした結果、予約の半分がぐるなび経由で獲得できているという。なかでも、季節の食材を使った「旬コース」（全8品）が一番人気で、7,300円がクーポンで5,000円になるお得感も来店につながっている。

接客では、客とのコミュニケーションを重視。メニューブックを、すべて手書きにして親しみを持ってもらうように工夫。また、あえて料理の写真は掲載せず、スタッフが積極的に料理の説明をすることで客との交流を促し、店のファンづくりを進めている。

「目指すは日本一の鯖料理の店です」と笑顔を見せる崎山氏。今後も鯖と日本酒という店の売りを前面に打ち出し、集客アップを狙う。

ここがポイント！