2016/01/07 繁盛の法則

日本人好みの甘辛いカレーでチェーン展開する専門店とは

手作りにこだわる「日乃屋カレー 茅場町店」(東京・茅場町) に学ぶ-昔懐かしく、クセになる味わいの日本風カレーを提供。「神田カレーグランプリ優勝」の商品力でビジネス街で支持される人気店。

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日乃屋カレー 茅場町店

Key Point

  1. 昔懐かしい日本風のカレーを提供
  2. 「神田カレーグランプリ優勝」を訴求
  3. 女性向けの特別なサービスを用意

カレー専門店に転じ、都内を中心に18店舗を出店

「始まり甘く、後より辛い、余韻残りし、カレールウ」をキャッチフレーズとする「日乃屋カレー」は、昔懐かしい日本風のカレーで着々とファンを増やしている。2015年末現在、都内を中心に直営とFCで計18店舗を展開するが、カレーの仕込みは店内での手作りにこだわり、さらに各FCオーナーの個性により、各店でメニューやサービスが若干異なるのも特徴である。

運営本部の有限会社ノアランドは、2011年に東京・湯島でカレーとラーメンを主力とする「日乃屋本店」を創業した。そこでカレーが圧倒的な人気を得たため、翌2012年にはカレー激戦区といわれる東京・神田にカレー専門店の「日乃屋カレー」を出店。同年にさっそく、地域の食イベント「第2回神田カレーグランプリ」に参加したところ、4位に。これを不本意と感じて奮起した同社取締役の日浦 大氏は、激戦区の中でもお客の印象に残るように、スパイシーさを強調しながら改良に改良を重ねた。その結果、2013年の第3回大会で見事グランプリに輝き、以降の店舗は神田店の味を踏襲するようになった。

「単に甘辛いだけではなくて、当店のように最初は甘くて後から辛いカレーというのは、調合から生まれる“奇跡”ですね。甘さはフルーツに由来しますが、1種だけではダメですし、甘みと酸味、さらに食材のバランスが重要なのです。詳細は、秘中の秘です」と日浦氏。

2015年7月27日にオープンした東京・茅場町店は、東京スパイスラボ合同会社の代表が経営するFC店である。代表は茅場町で18年間、営業職のサラリーマン生活を送ってきた。ランチはほぼ外食という日々であり、茅場町で自分がビジネスをするとしたら何がいいだろうという視点を持ち続けていた。なかでもカレー店、特に「日乃屋カレー」に着目した理由を、以下のように説明する。「飲食業であれば、カレー店は回転率がよく、広い店舗は必要なく、ロスも少ない。日本人はカレーが大好きですし、特に茅場町はサラリーマンが多いので、カレー店にはぴったりの街です。自分でいろいろなカレーチェーンを食べ歩いた中で、おいしい、これだ、と思った『日乃屋カレー』を選びました」。

茅場町店は、店頭に大きく掲げている「神田カレーグランプリ優勝店」の表記の効果もあり、オープンと同時に抜群の集客力を見せている。

一番人気の商品「名物カツカレー」(840円)は、良質な豚肉を使ったカツを食べやすい大きさに切ってのせ、全体にカレールーをかけて提供する。茅場町店限定の「コールスローサラダ」(160円)はさっぱりとした味わい。女性客にはカラフルで細めのプラスチック製スプーンを持って行き、好みの色を選んでもらう

各店の特徴を活かした柔軟性のあるFCを展開

地下鉄茅場町駅から徒歩2分ほどの、新大橋通り沿いの角地にある同店は、11.9坪22席の規模で、うどんチェーンの居抜き物件を利用している。「日乃屋カレー」は、チェーンではあるが、それぞれの物件のよさを活かしたり、お客が喜ぶサービスならすぐに採用する柔軟性がある。お客目線から様々なメニューやサービスを発案し、実施している茅場町店は、同チェーンの中でも顧客満足度の高い店舗である。

同チェーンでは、スパイスの調合やルーのベース作りは本部で行い、カレーのもう1つの主役として重視している米や、肉類、野菜類なども、本部と信頼関係を築いてきた問屋から各店に供給してもらう。カレー作りのほか、カツやメンチなどのフライものは、パン粉づけから各店で行う。また、カレーは数日寝かせたほうがコクが出るので、作りたてのカレーと前日からのカレーを指定の割合で混ぜて仕上げている。

カレーは16品目730~1080円で、ほとんどのアイテムに割安価格の「七分盛」を用意している。ご飯の量は「普通盛」でも300gとボリュームがあり、ご飯の大盛りは追加料金なしだが、ほとんどのお客が普通盛をオーダーするという。客単価は830円で、1日平均300人を集客し、男性が9割を占めている。

少数派の女性にも、心地よく過ごしてほしいという想いから、特別なサービスも用意している。卓上に用意してあるスプーンが、金属製でガッチリした形であるため、女性には幅が細めで食べやすいカラフルなプラスチック製のスプーンを持って行き、好きな色を選んでもらう。また、ハロウィン期間中は来店した女性限定でパイ菓子をプレゼントした。

同店がカレー専門店としてビジネス街で支持されている要因は、以下のようになるだろう。

  1. 昔懐かしく、クセになる味わいの日本風のカレーを提供している。
  2. 「神田カレーグランプリ優勝」の商品力と名声をアピールしている。
  3. 女性向けの特別なサービスを用意し、好印象を与えている。

茅場町店の当面の目標として、カレーのテイクアウト販売を伸ばしたいという意向を持っている。現在、1日15~16食のところを30食ほどにするため、テイクアウトで喜んでもらえるような秘策を考案中という。

日乃屋カレー 茅場町店
住所

東京都中央区日本橋茅場町3-5-4 マエダビル 1F
TEL 03-6661-1338
営業時間
11:00~22:00(土曜日~17:00)
定休日
日曜日、祝日