手だれ屋敷 九段下
東京 九段下 鮮魚居酒屋
3回転するランチ客のディナー誘導に大成功
10年前、地下鉄の乗降客の増加に着目し、九段下駅徒歩1分の立地にオープン。当初は夜だけ営業していたが、オフィスビルの増加に伴ってランチの需要が急増したことから、8年前に昼の営業も開始した。
同じ時期に、周囲に増えてきた飲食店との差別化を図るため、石川県能登半島の富来漁港から鮮魚を毎日直送するルートを開拓。魚料理と一等級の米、魚のあらでダシをとった味噌汁という自慢のランチが、近隣のOLやビジネスマンに好評で、平日のピーク時には行列ができる。着席後、注文された料理を90秒以内に提供しているというスピード感も歓迎され、連日ほぼ3回転する人気だ。
このランチ客が夜にもつながり、会社帰りの一杯、部署ごとの宴会、取引先の接待などビジネスマンの需要が徐々に増加。開店時から統括店長を務める岩橋学氏は、「当初は平均3,000円台だった料理の客単価が、今は平均4,000~5,000円台に伸びました。高額の日本酒をオーダーされるお客様も多くなりました」と語る。
常連客からは、重要な接待の料理と酒をおまかせで予約されることもたびたびだ。個室はなく、半個室にもなる掘りごたつ席やテーブル席だけだが、古民家から移築した太い梁や、蔵の扉を使った重厚感のある内装、昼はポップ、夜は落ち着いたジャズのBGM、暗すぎず明るすぎない照度など、大人の空間が30代以上のアッパー層を惹き付けている。
毎日替わるメニューときめ細かなサービスで強い存在感
また、同店ではランチ客を夜につなげることに特に力を注いでいるという。まず、ランチ時に店の入口に生きた魚介をディスプレイし、新鮮な食材を扱う店であることをしっかりとアピール。また、「全国ご当地フェア」「炎の大トロ祭り」など、夜の期間限定イベントのチラシをテーブルに置いてランチ客に告知。さらに、はずれなしの「ラッキーくじ」をランチ時に引いてもらい、夜の来店時に刺身の盛り合わせやボトルの酒などの豪華賞品をプレゼントする企画も実施し、確実に夜の集客につなげることに成功している。
料理では、その日の水揚げの状況に合わせて毎日替わるおすすめの鮮魚料理を核にしつつ、A5ランクの山形牛などの肉料理も用意。スタッフ全員でメニュー開発に努め、見た目のインパクトも十分な「豚の角煮~秘密仕立て~」などのヒット商品を生み出している。リピーターに飽きられないように、ランチは2カ月に1回、コース料理は月1回更新し、各種イベントも季節を意識して2カ月ごとに新企画を打ち出して、来店動機を喚起している。
さらに、日本酒はレアな銘柄の"裏メニュー" を充実させ、常連客からのリクエストに必ず応じられるように仕入れ先を確保。誕生会や記念日には鯛の塩がま焼きやマグロの特大カブト焼きをサプライズで提供するなどのきめ細かなサービスも喜ばれている。
店舗ページでは、ビジネス層だけでなく、日本武道館などへの来場客にアピールすることも重視し、まめな更新とお得掲示板を活用している。武道館でのイベントのたびに必ず来店する"年に1回の常連客"も多く、九段下という地域に密着した居酒屋として、存在感を増している。
ここがポイント!
東京都千代田区九段北1-9-5 朝日九段マンション
http://r.gnavi.co.jp/e763300/