2017/05/16 特集

「現場」を見ることが繁盛への直観を養う! 繁盛店視察 虎の巻(2ページ目)

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視察する店はどう選ぶ?

情報を多角的に仕入れ、多くの座標軸で見る

限られた時間内で、実のある視察をするために、店選びは重要だ。二杉氏は「実際にその店に行った人、その店のことをよく知っている人からの情報は、優先順位が高い」と語る。同業者はもちろん、ビールメーカーの営業、ぐるなびの担当営業など、店の“一次情報”を持っていて、自分が信頼する人から情報を仕入れ、視察候補店を絞り込むとよいだろう。

ただし、留意点として「立場によって視点や評価が違うことを理解しておくべき」(二杉氏)だ。同じコンサルタントでも、コストパフォーマンスを重視する人と、商品力に注目する人では評価が真逆になることもある。「大切なのは、様々な視点を踏まえたうえで、自分の感覚で見ること」なのである。

同時に、「気になった店は定点観測をすることも大切です」と二杉氏。例えば、平日だけでなく週末も行く、季節ごとの変化をみる、昼と夜の両方を体験するといった具合だ。昼間は子供連れの主婦や、女性の1人客が多い店でも、夜はサラリーマンで賑わっていることはよくある話。同様に、平日はビジネス層が多くても、週末になった途端にファミリーが押し寄せる店もある。そうした店では、時間帯や曜日で経営スタイルが大きく変わることも珍しくない。また、季節限定メニューやキャンペーンを打ち出す店も数多く、何回も訪れて「点の情報」を積み上げることで、店の持つ魅力が立体的に浮かび上がる。「視察の座標軸をたくさん持つことで、その店の本質的な強さや魅力がわかってくる」(二杉氏)のだ。

さらに、氏は店選びの1つの視点として、「先進的なエリア」に注目する意義を説く。「人口が多く、トレンドに敏感な人が多い地域のマーケットがどう変化しているのかは、地方にいても関心を持って視察したほうがよい」と呼びかける。マーケットが成熟した後に何が来るのか、次の差別化は何かを考えるうえで、先進的なエリアの視察は重要。ヒントになることも決して少なくはない。

そのほか、あえて違う“畑”を見ることも大切。「例えば、自店が高級焼肉店で、食べ放題を導入する気がなくても、たまには食べ放題の人気店に行って見るべきです」と二杉氏。そこにはきっと、自店にはないが、支持されている魅力があるはずだからだ。また、多店舗展開を目指す経営者なら、成功している多店舗企業の1号店、2号店、そして最新店舗を視察しよう。1号店の何が成功して2号店につながったのか、2号店は何を修正し何を受け継いだのか、最新店舗はどんな改良を施したのかを意識すると、参考にできることが見えてくるだろう。

いずれにしろ、「目的」を明確にして情報を仕入れ、視察店を絞り込んで貪欲に学ぶ姿勢を忘れてはいけない。

様々な人から視察候補店の情報を集め、総合的に判断する

同業者、コンサルタント、ビールメーカーの営業、ぐるなび担当営業など、実際に店の情報を持っている人の意見を総合的に判断して、視察候補店を絞り込むのが効率的な選択方法の1つ

“情報の座標軸”を変えることで、店の魅力が立体的になってくる

時間帯や曜日、季節別など、「点の情報」を積み上げることで、店の持つ魅力が立体的に浮かび上がってくる

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