コンテスト入賞を店の強みにし、集客力を高めファンを増やす。第三者の評価が自信にも
【兵庫・芦屋】食&人の縁 うたげ
Web、店頭、店内の随所で受賞料理をアピール
こだわりの飲食店が多い兵庫・芦屋で、産地直送の厳選食材と、料理コンテスト受賞料理を集客のフックにしているのが、創作中華の居酒屋「食&人の縁 うたげ」だ。
オーナーシェフの細谷吉応氏が最初に料理コンテストに応募したのは、前職のホテル料理長時代の2009年。「朝ごはんメニューコンテスト」だった。賞金に引かれて応募した、と笑うが、「将来的な独立を考え、コンテストで入賞すれば、店の“武器”になる」(細谷氏)という狙いもあった。ホテルで使っていた宮崎のブランド豚「ととろ豚」を使った応募作品は、「忙しい朝に一品で栄養バランスのよい食事が摂れる」と高評価を受け、大賞に。「私のことをまったく知らない、第三者の専門家に評価され、自信につながりました」と細谷氏は語る。加えて、大賞受賞者として翌年、千葉・幕張で行われた食に関する博覧会で、実際に受賞作品をライブで調理する貴重な体験もした。
また、2011年には東日本大震災の被災者激励を目的とした、「ふるさとニッポン メニュー大賞」に応募。震災後、被災地に住む、ホテルで使っていた卵の生産者と一時的に連絡が取れなくなり、その生産者に想いを馳せ、卵を使った料理を考案。見事「30選」に選ばれ、テレビでも紹介されたところ、これを見た生産者から連絡が入るという、うれしい出来事もあった。
その後2012年、念願の独立。オープン後の2013年には、「シェフごはん ヤマキ鰹節コンテスト」に応募し、「一品料理最優秀レシピ賞」を獲得。それらの受賞料理はメニューに加えていたものの、受賞したこと自体をアピールしていなかったが、友人からのアドバイスでレジ前や店内にPOPを設置し、メニューブックにも掲載すると、注目度が歴然とアップ。来店時などにおすすめするとそこから会話が弾み、高い注文率につながっているという。また、毎年年末には受賞料理3品を盛り込んだ「コンテスト受賞コース」(飲み放題付き4500円)と銘打ったコースを用意しており、好評を博している。「店の認知度や印象が高まり、リピーターの獲得を含めて、集客につながっていると実感しています」(細谷氏)。ほかにも様々な料理コンテストで受賞歴がある細谷氏は、「テーマを踏まえて考えていると、あるタイミングでレシピがひらめきます」と言うが、日頃からアンテナを張り、テレビやWebなどで情報を収集し、食べ歩きや視察で舌を養うなど、努力を怠らない。「コンテストは集客につながるだけでなく、自信になる。またチャレンジしたいですね」と細谷氏。今後は、料理長と一緒に応募して切磋琢磨し、“ダブル入賞”を狙うつもりだ。
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メニューブックでは1ページを使って、名物料理とコンテスト受賞料理をまとめて紹介。目に留まりやすい工夫をしている -
店頭のボードでも、細谷氏のプロフィールと、コンテストで受賞した料理を写真つきで紹介
兵庫県芦屋市松ノ内町1-20 アルパ芦屋1F
https://r.gnavi.co.jp/kbe2500/