2019/04/16 特集

何が変わる? どう変わる? 消費税10% Are You Ready?

いよいよ今年10月1日から、消費税が10%になり、日本で初めて「軽減税率」が導入される。何がどのように変わるのか、どんな対策が必要なのかをコンサルタントの二杉明宏氏に聞いた。

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何が変わる? どう変わる? 消費税10%

今回話を伺ったのは…

株式会社 船井総合研究所 フード支援部 部長 上席コンサルタント 二杉明宏氏
同志社大学大学院法学研究科卒業後、2000年、船井総合研究所に入社。以来、飲食業専門コンサルタントとして、10以上の業種でコンサルティング活動に従事。特に、業態開発、新規出店、多店舗展開などのテーマでのコンサルティングが得意。ローカルチェーンからナショナルチェーンまで、支援先企業は年商1億~700億円と幅広い。

景気の減速感の中での増税。軽減税率導入の影響も

 今年の秋、10月から消費税が10%になる。単に税率が上がるだけではなく、「軽減税率」という新制度が国内で初めて導入されるところが大きなポイントだ。詳細や飲食店への影響については次ページで触れるが、消費者目線で大雑把に言えば、飲食店で食事(外食)をすると消費税は10%だが、テイクアウトやデリバリーだと8%に据え置かれる。過去の増税を思い起こせば、単なる税率アップでも消費の落ち込みは避けられない。今回はそれに加えて、軽減税率が消費者心理にどのように影響を与え、消費行動につながるのか、予断を許さない状況だ。

 しかも、直近の外食業界の状況は決して楽観視できない。株式会社船井総合研究所の二杉明宏氏は、「四半期ご景気の減速感の中での増税軽減税率導入の影響もとの決算を見ると、一部の大手企業が好調を維持してはいるが、全体としては“増収だが減益”の厳しい状況」と分析する。新規出店などによって増収したが、様々なコストアップを吸収しきれず、収益率が下がっているというのが、昨今の傾向だ。コストアップの背景には、「避けがたい時代の流れがある」と二杉氏は言う。人手不足の加速によって、あらゆる業界で人件費の単価が上昇。飲食店ではパートやアルバイトの時給が上がり、採用費もかさんで労務コストが増加している。さらに、人件費の上昇は輸送費・配送費の値上げにもつながって、様々な経費がじわじわと上がっている。もちろん、食材など原材料費も値上がりし、価格の据え置きは限界に達しつつある。

 また、「働き方改革」によって、営業時間の短縮や定休日の設定が、飲食企業にも浸透しはじめている。つまり、「経費の増大が利益率を押し下げ、価格を上げざるを得ないために販売力・集客力の低下を招き、加えて営業時間の短縮で売上高を伸ばしきれない状態になっている」と二杉氏。もちろん、経費増のなかでもうまく舵取りをして業績を伸ばしている飲食企業はある。減益ながらキャッシュフローがうまく回っている企業も少なくはない。だが、景気が好転する要素が見えないまま税率アップに突入するなら、外食を巡る環境は一層厳しさを増すのは必至だ。

 では、実際に税率アップと軽減税率導入によって、何がどう変化するのだろうか。また、その対策を、次ページから具体的に見ていこう。

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