2020/03/17 特集

中食のニーズが高まる中、参入前に知っておきたいこと “売れる弁当の作り方”

軽減税率導入をきっかけに、中食事業へ参入する飲食店も増えている。そこで中食、中でもニーズの高い弁当に注目。「売れる弁当」を作るためのポイントをプロに聞くとともに、売上好調の弁当事例を紹介する。

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株式会社船井総合研究所 フード支援部グループマネジャー シニア経営コンサルタント 小林 耕平氏
30業種以上のコンサルティングに携わった後、宅配やケータリング、惣菜業、テイクアウトなど、中食事業の開発や業績アップに従事し、2019年にグループマネジャーに。最新技術やノウハウを活用した独自の業態開発などに定評があり、赤字企業の即時業績アップから、年商数十億・数百億円企業の次代の戦略づくりまで、幅広い領域において数多くの成果を上げている。

弁当販売のメリット、デメリットは?

中食市場は非常に好調。優位性を持てる可能性も

 現在、食関連市場の中で最も好調と言われるのが、テイクアウトやデリバリーなど「中食」だ。「中食のポータルサイトはユーザー数・加盟事業者数が年々伸び、飲食店の加盟も増えています」と、株式会社船井総合研究所の小林耕平氏は話す。背景には、昨年10月の消費税増税と軽減税率制度の導入によって、税率が据え置きとなった中食に“お得感”が生まれたことがある。

 もちろん、それだけではない。小林氏は「そもそも中食市場の増加はメガトレンド(社会の相対的な潮流)。軽減税率導入前から成長は始まっていました」と指摘する。女性の社会進出による共働き世帯の増加、未婚率上昇による単身者の増加、高齢化や低所得者層の増加などの社会の流れが背景にあり、「料理を作る時間がない」「1人分を作ると不経済」「外食より低価格」といった理由で注目度が増しているのだ。さらに、最近の中食には「簡便さだけでなく、質の高さも求められている」(小林氏)。そんな中で、作り置きが多い小売店に比べ、出来たてを販売できる飲食店が中食市場で優位性を持てる可能性がある。「その意味で飲食店の中食参入は時流に合っています」と小林氏は語る。

 では、飲食店にとって中食への参入にはどんなメリットがあるのか。「まず、デリバリーよりテイクアウトの方が参入のハードルは低い」と小林氏。デリバリーは新たに配達の仕組みが必要だが、テイクアウトは現在の店のオペレーションで十分に対応可能だからだ。大きな違いは食器ではなく、容器に盛ること。容器以外のコストや調理工程をほとんど増やさずに、新たな売上を獲得できる可能性があるところに、飲食店がテイクアウトを始めるメリットがある。小林氏は、「特にランチの集客に苦戦している店では、打開策として弁当販売を始めることも、収益を得る有効な手段になります」と語る。

 もちろん、デメリットもある。出来立てを販売しても、食べるまでには時間が経っているので料理の経時劣化が避けられないこと。また、店内もテイクアウトも忙しい時間はほぼ一緒なので、店内客へのサービスレベルが下がり、満足度の低下につながることや衛生面でのリスクもある。それでも、「立地によっては飲食店と中食の相性はかなりいい」と小林氏。一度、検討してみる価値があるのではないだろうか。

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