2020/07/21 特集

店やスタッフ紹介、レシピ公開、料理教室―。 イチから始める動画配信(2ページ目)

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配信ツール Instagram

営業自粛期間にインスタライブで家庭向けに料理の作り方を生配信

生産者とのトークライブやシェフ同士のコラボ企画も

 東京の地下鉄三越前駅から徒歩1分の複合商業施設「コレド室町2」1階に、2014年3月オープンしたフレンチ「ラ・ボンヌターブル」。

ライブ配信で調理法を紹介

インスタライブ配信の様子。視聴者から質問などが入ると、その場で撮影スタッフが読み、中村氏が回答。リアルタイムの交流も好評だ

 新型コロナの影響で店の休業が決まった3月末から、シェフの中村和成氏が始めたのが、Instagramでのライブ配信だ。「Instagramは、2015年頃から始めて、フォロワーは1400人ほどいました。店が休業することになり、フォロワーの方々のために何かできないかと考え、ライブ映像配信機能・インスタライブを活用し、『ハプニングキッチン』と題したレシピ公開の生配信を始めることにしました」と中村氏は語る。海外のシェフがインスタライブでレシピを紹介している動画を参考にしつつ、「最小限の材料で家庭でもおいしく作れる」をコンセプトに和・洋・中など、ジャンルを問わずオリジナルメニューを調理する様子を発信。撮影は主に店のスタッフが担当し、2カ月で50件以上のレシピを公開した。また、同じ画面で2人同時に映像配信ができるインスタライブの機能を使い、他店のシェフとのコラボ料理教室を行ったり、店で使っている食材の生産者とのトークライブなども実施。「料理の作り方だけでなく、料理人や生産者の想いやこだわりも知ってもらえればと考えました」と中村氏。コラボしたシェフや生産者のフォロワーが中村氏をフォローするなど思わぬ効果もあり、6月末時点でフォロワーは3600人を突破した。

  • インスタライブの動画はInstagram上で公開できる。過去の配信動画をきっかけにフォロワーが増えることも
  • 付き合いのある梅干しの生産者とのコラボ企画。生産者の想いをフォロワーに紹介する好機となった

 また、5月からはYouTubeでの動画配信もスタート。動画の編集や配信は知人に依頼しており、フレンチのソースを応用して作るパスタなど、身近な食材を使いつつ、より中村氏のオリジナリティが感じられる料理を紹介している。「インスタライブはあくまでフォロワー向けの配信ですが、YouTubeは誰でも見られるのが魅力。一方、インスタライブは生の臨場感があり、特別な編集も不要なので継続しやすい手軽さも特徴です」と中村氏。

細かい説明が必要なものはYouTubeで
YouTubeでは、テロップなどで補足の情報を入れたいレシピを公開するなど、目的に合わせて使い分けている

 6月1日から店の営業を再開したため、レシピ公開の配信頻度は少なくなったが、現在も週に2~3回、仕込み中や、まかないを作りながらトークするライブ配信を継続中だ。「いつかは生産地など店以外の場所からの配信や、視聴者参加型のオンライン料理教室にも挑戦したい」と中村氏。今後も動画を使った交流を継続し、ファンを増やしていく考えだ。

ラ・ボンヌターブル(LA BONNE TABLE) 【東京・日本橋】
東京都中央区日本橋室町2-3-1
https://r.gnavi.co.jp/gvgsgx9x0000/
東京・日本橋の商業施設に2014年オープン。“Farm to Table”をコンセプトに掲げ、生産者から直接仕入れる食材を使用した料理を提供。料理はコースのみ(ランチ5,000円、ディナー1万円)。
シェフ 中村 和成氏
大学卒業後に調理師専門学校へ進み、フレンチの道へ。多数の有名店で修業後、「レフェルヴェソンス」のスーシェフを経て現職に。

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