地域密着型の店づくりを徹底し、子ども連れからシニアまで集う店に

千葉・ユーカリが丘に、2018年12月にオープンした「ファミレス&ダイニング 里山 transit」。全国の名店とコラボした料理や、来店客からの要望を反映する店づくりで、多数のリピーターを獲得している。

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ファミレス&ダイニング 里山 transit

千葉 ユーカリが丘 ダイニングバー

来店客との会話でニーズをキャッチし、柔軟に取り入れる

 "子どもから大人まで楽しめる料理店"をコンセプトに、千葉・ユーカリが丘駅から徒歩7分の商業施設内に2018年12月オープン。「ユーカリが丘で暮らす全ての方がターゲット。あらゆる層のニーズに応え、地域に愛される店を目指しています」と、営業本部部長の西山征希氏は話す。

 オープンから2年が経過した現在、ランチは子ども連れの主婦やシニア層、ディナーはファミリーや仕事帰りのビジネス層、シニア層を幅広く集客。リピート率は75%に上り、狙い通り地域から愛される店に成長している。

ユーカリが丘をイメージして「U」の形にデザインした大理石のカウンターテーブル。酒を楽しむ1人客に好評

 その秘訣は、「徹底的にお客様の声を大切にしていること」(西山氏)。例えば、ランチメニューのラインナップにもこの姿勢が表れている。オープン初日は都内で営業する姉妹店の人気メニューを中心に、あえて数を絞った品ぞろえにしていたが、来店客から「メニューが少ない」という声が聞かれたため、その翌日には、急遽メニューを追加。現在、ランチはグランドメニュー約10品に週替わりなども加え、毎日通っても飽きないと喜ばれるようになっている。

 また、車での来店が多かったことからノンアルコールドリンクの種類を増やすとともに、ワインの品ぞろえも強化。「常連のお客様から、この辺りはワインが好まれるエリアで、ワインセラーを所有している人が多いと聞いたのがきっかけです」(西山氏)。そこで、国産やニューワールド系などを取りそろえたところ、ボトルでのオーダーが増えたという。

掘りごたつ席はファミリーに人気。そのほかにテーブル席や個室もある

 グランドメニューには、日本各地の名店の味を届ける「日本全国厳選メニュー」や、ミシュランガイド掲載店のシェフとコラボした「日本が誇るトップシェフのご褒美メニュー」など、他店と協力して開発した料理も打ち出して好評。「日本全国厳選メニュー」の一つ、「世界一の唐揚げ」(638円)は、「からあげグランプリ」で最高金賞を獲得した大分の専門店「からあげ太閤」の分家「禅閤」のもので、全メニューの中で一番人気。下ごしらえされた状態の鶏肉を仕入れ、店内で揚げて提供するため、仕込みの負担軽減につながるという利点もある。

 さらに、主婦からの「いろんな料理を少しずつ食べたい」という声に応えて、2020年11月からはランチコースを開始。人気メニューを盛り込んだ全8品の「里山お試しコース」は、ドリンクバー付きで2,000円というお得感もあってヒット。コロナの影響が強かった3月でも、昼夜合わせたコース比率が20%に達しており、売上にも貢献している。

壁際のソファ席。柱が仕切りになってフロアから独立した半個室のようになっており、デート利用でも好評

コミュニケーションを深め、生産者との信頼関係を構築

 ほかにも、地元産の野菜を使っていることも大きな売りの一つ。「周辺から食材を仕入れ、地域の方に楽しんでいただくことを、当店では"持参自消"と呼び大切にしています。店で使う野菜の約40%はユーカリが丘産」と西山氏。

 野菜は2軒の契約農家から仕入れており、3月はブロッコリーやラディッシュなど30品目を「ユーカリ野菜のチーズグリル」(1,738円)などで提供。生産者から事前に出荷計画を取得するなどこまめにコミュニケーションをとり、週替わりのメニューにも生かしている。また、スタッフが畑に出向いて収穫を手伝ったり、店からのオーダーで欲しい野菜を作付けてもらうこともあり、信頼関係のもとで双方にメリットのある取り組みができている。

メインが選べる「おこさまランチ」(700円)などキッズメニュー も豊富。メニューブックは子どもが喜ぶポップアップ式に

 販促では、ぐるなびで売りのメニューや空間について発信。ほかにエリア内で配布されているフリーペーパーにも広告を出し、認知度アップに成功した。今後はSNSを活用して新規客獲得に力を入れるほか、「長期的には、当店のような地域密着の店を、他のエリアでも展開できれば」(西山氏)と、さらなる発展を目指している。

ここがポイント!

全国の名店のメニューを独自ルートで仕入れて提供
「からあげ太閤」の分家「禅閤」の「世界一の唐揚げ」(写真)や北海道「音更ぎょうざの宝永」の「味噌だれ餃子」(638円)などを提供。全国の名店の味を楽しめると好評。
来店客の要望を吸い上げてメニュー構成を最適化
接客時の会話やお客様アンケートなどで、食べたいメニューを調査。メニュー開発に生かすことで、"食べたいものがある店"として認知が広がった。
ノンアルコールやワインを充実させオーダー増!
車での来店が多いため、自家製の野菜シロップで作るノンアルコールドリンクなどを開発。また、ワインの品ぞろえも充実させ、注文増につなげている。
生産者との関係性を生かし、社会貢献&集客アップ
不ぞろい野菜などを生産者から引き取って店頭に置き、来店客に譲る「里山リサイクル」という取り組みも。社会的な意義とともに、集客にもつながっている。
エリアの特徴
長期的な町づくりを前提とした都市開発で、老若男女が暮らすユーカリが丘。駅周辺は住民が行き交う町の中心部で、2キロほど離れると田畑も広がる。
ファミレス&ダイニング 里山 transit
千葉県佐倉市ユーカリが丘4-1 スカイプラザモール2F
https://r.gnavi.co.jp/fges25zc0000/
株式会社ミナデイン 営業本部 部長 西山 征希氏
大手外食企業を経て株式会社ミナデインへ。同店立ち上げより責任者として尽力している。