2022/02/03 繁盛の法則

北海道産の食材を生かして関東圏で展開を開始した生パスタ専門店とは

東京・渋谷にある「麦と卵 渋谷宮益坂店」は、北海道産食材を生かした生パスタ専門店。駅に近い物件に出店し、ランチを主体に日常使いで人気を集めている。

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麦と卵 渋谷宮益坂店

Key Point

  1. 北海道産の小麦粉と卵を使った生パスタで差別化
  2. 具材やソースにも北海道産の食材を駆使
  3. 駅の近くに出店しランチ主体に営業

脱アルコール業態として、パスタ専門店に着目

 北海道産の小麦粉と卵を使って店内で製麺する生パスタ専門店「麦と卵」が、コロナ禍にありながらも関東圏で着実な店舗展開を続けている。2020年2月に1号店の東京・吉祥寺店をオープンして以来、同年7月に笹塚店、11月に三鷹店、2021年は8月に渋谷宮益坂店、9月に神奈川・川崎アゼリア店、10月に新宿西口店を出店し、計6店舗となっている。

 独特のモチモチした食感の麺は、北海道産小麦粉に輸入品のデュラム粉を配合し、北海道・下川町のあべ養鶏場で生産されている「下川六〇酵素卵(しもかわろくまるこうそらん)」を加えて製麺する。さらに、気温や湿度に合わせて配合を微調整することで、麺のクオリティーを保っている。具材やソースも、北海道産のチーズや生クリームなどの乳製品、美瑛(びえい)産トウモロコシ、函館・道場(みちば)水産製のタラコ、厚岸(あっけし)産のアサリ、ドイツの農家が行う製法を踏襲し、札幌で製造した「農家ベーコン」など、北海道産の食材を駆使し、オリジナリティーを明確に打ち出している。

 経営元は北海道・札幌に本社を置く株式会社イーストンで、イタリア料理店「クッチーナ」「ミア・ボッカ」、焼き鳥店「いただきコッコちゃん」など、計52店舗の飲食店を札幌、仙台、関東で経営している(2022年1月現在)。1986年、札幌市内にオープンしたバーからスタートしたこともあり、アルコールとともに食事を楽しんでもらう業態を手掛けることが多かった。しかし近年は、若年層のアルコール離れの傾向もあり、アルコールの売上比が減少傾向に。そのため、よりランチタイムに集客できて、アルコールの売上に依存しない業態開発に取り組むことにした。その中で、自社のイタリアン業態で以前手掛けていた手打ちパスタと、関東で人気が高く、ブランド力もある北海道産の食材に着目。“北海道”を前面に出した生パスタ専門店を関東で展開することにした。

定番のパスタは11品目(980~1,280円)で、オイル系、トマト系、クリーム系、ミート系、タラコ系をバランスよくそろえている。一番人気の「究極のペペたま! グリルチキンと『下川六〇酵素卵』がのったオイルソース」(写真右980円)は、日高昆布しょう油を隠し味に使ったペペロンチーノ。トマトソース系では「フレッシュモッツァレラチーズと 『農家のベーコン』、 茄子のトマトソース」(同左1,180円)がよく出ている。パスタは普通盛りも大盛りも同じ価格で、約4割の人が大盛りをオーダーするという。気軽にオーダーできるサイドメニュー「下川六〇酵素卵と鶏ハムのサラダ」(同上250円)も好評

麺のおいしさを保つためイートイン営業に徹する

 予期せぬ逆風となったのが、1号店の出店とほぼ同時に世界規模で猛威を振るい始めたコロナ禍だった。しかし、パスタ専門店は会食よりも日常食としてのニーズが高く、狙い通りランチ需要に応えることで、集客に成功。2号店以降は、駅から徒歩5分以内の好立地にある20~25坪の物件を厳選しながら出店を継続している。アルコールは、ビール(瓶と缶)と、赤・白ワインのみとし、売上比は通常時でも5%以下と低いため、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令中にアルコールの提供を停止しても、大きな打撃とはならなかった。また、営業時間短縮の要請は遵守しつつも、休業は一切せずに営業を続けた。

 4号店である渋谷宮益坂店は24坪30席で、渋谷駅から徒歩3分ほどのビルの地階にあり、キャッシュレス決済にも対応するタッチパネル式の券売機を導入している。パスタはオイル系、トマト系、クリーム系、北海道産牛挽き肉100%を使ったミート系、タラコ系などの定番11品目(980~1,280円)に、期間限定商品が加わる。また、普通盛り(生麺で150g)と大盛り(同200g)を同じ価格にしているのも特徴で、来店客の4割を男性が占めている。客単価は1,050円で、既存店の平均月商は500~600万円で推移している。

 同店が北海道ブランドの生パスタ専門店として、関東圏で認知度を上げている要因は、以下のようになるだろう。

  1. 北海道産の小麦粉と卵を使って店内製造するモチモチの生パスタで特徴を出している。
  2. 具材やソースに使う乳製品や農作物、畜産物、海産物も北海道産の食材を使用し、北海道ブランドを訴求している。
  3. 駅に近い物件に出店し、ランチを主体に日常的に利用できる業態として展開している。

 なお、コロナ禍で一気に高まったテイクアウトやデリバリーへの需要に対しては、安易な対応はしてこなかった。「テイクアウトやデリバリーへのニーズは高く、問い合わせも多かったのですが、仮に購入した10分後に食べるとしても、できたてとは全く違う味になってしまい、われわれが食べていただきたい麺ではなくなってしまいます。経時劣化の少ない専用の麺を開発する方法も考えましたが、各店舗で2種類の麺を製麺できるかといったら、それも難しい。それよりも、イートインでおいしく召し上がっていただくことに集中しようという決断に至りました」と、取締役営業本部長の川西彰氏は説明する。その決断が奏功し、各店とも終日コンスタントに集客し、好調を維持している。2022年3月末までの今期中にもう1店舗出店する予定で、今後2~3年で30~40店舗の出店を目標に掲げている。

麦と卵 渋谷宮益坂店
住所
東京都渋谷区渋谷2-19-17 第106東京ビルB1F
TEL 03-6452-6569
営業時間
11:00~20:00(LO.19:30、変更の場合あり)
定休日
無休

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